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ツイッターは休止する、ほか

ここのところツイッターきついな、かといってフェイスブックもオープンだしリアルな人間関係もある。とはいえそれに鍵をかけたらブログと変わらない。じゃまあ、noteかな、ということで再度こちらに戻ってきたところである。お久しぶりです。

ツイッターというのは、議論すればするほど、相手を論破したいと思えば思うほど、自分の陣営を忖度すればするほど分断が深くなるもので、自説を広く開陳しているようで、実は同時にその分断の傷を深くもしていて、しかもそのプロセスが可視化されているので実に厄介なのである。クソなリプライを送られることにも疲れたし、議論のならなさにも疲れ切った。

炎上ビジネスしているわけでも、バズられた報酬で食べているわけでもないぼくが、気合を入れて論戦を張るメリットがもはやないし、むしろデメリットの方が多くなってしまった気がする。見たら、使い始めてちょうど10年だそうで、それを機に休むことにした。多分再開するにしても純粋に「告知アカ」になりそうな気がしている。今後は、ここに日々の雑考と、誰に向けてともなく、報告がてら「週報」を書いていくことにした。

フリーランスというのは確かに自由だけれど、案の定孤独である。孤独な者同士の寄合所は必要だし、自分の書くことから、ほう、あいつはこんな働き方をしているのか、なに、あそことつながってるなら色々絡みありそうじゃんとか、そんな感じで人のつながりが採掘されたり、地方で働く人たちのヒントなどになるかもしれない。そんなことを期待して書いていく次第だ。

アイキャッチ画像は雑誌「TURNS」。ぼくの担当する「青天の霹靂」というタイトルの連載が掲載されている。別に今週「TURNS」が発売されたわけではないのだけれど、今のところ一番目立つかもしれない仕事なので、ちょうど写真フォルダにあったし、今週のアイキャッチとしてセレクトした。ぜひ読んでくだされい。

10月7日。ローカルメディア「いごく」の取材で、小名浜町内の就労継続支援B型の事業所「しおさい」を訪問。ここで作っている「麺」がとにかくうまいのだ。10月22日に郡山で障害福祉事業所のフェスがあり、そこで、いごくチームがブースを出すことになっていて、いわき市内の事業所で作ったものを使って何か美味いものを出そうぜ、ということになっている。それで施設を訪問して、麺の製造過程を取材しようというわけだ。

今春から浜松市のクリエイティブサポートレッツの取り組みに参画させてもらっていることもあり、こうした事業所での「振る舞い」にはなんとなく慣れてきた気がする。特別配慮する必要もなければ忖度する必要もなく、別に普通に振る舞ってればいいとぼくは思っていて、ふざけてるやつがいれば笑うし、真面目にみてなくちゃいけない時にはそうするだけである。

障害福祉や介護福祉は、今後、地域のクリエイティブやコミュニティデザインの領域でますます光が当たっていくと思う。なぜかというと、そのポテンシャル、学びの多さに比べ、光がほとんど当たっていないからだ。これまである種の「NIMBY」施設のように思われてきたけれど、これからは福祉の業界とコミュニティデザインとが融合していくはずだし、その兆候はかなりでてきている気がする。

それらの現場では、確かに専門知識や技術を用いた「支援」も必要だけれど、社会に出て行こうと思えば、地域の人たち、一般の人たちの参画も必要になる。そこでは、支援というより、一段階浅い関わり、ぼくの言葉で言うところの「共事」が求められていくのかもしれない。一緒にいるとか、ちょっと手伝うとか、見守るとか、そう言う感じの。ソトコトの指出編集長の言うところの「関係人口」的な浅い関わりは、人対人のコミュニケーションにも当てはめられていくのだろうと感じている。

10月8日。国立環境研究所(国環研)のステークホルダー会合に出席するため東京へ。国環研のこれからを考えるため、外部の人たちを呼んで、色々とアイデアを出してもらったり、課題を指摘してもらったりする会合で、福島県の人がぼくだけなのを考えると、ぼくはまあ地元代表的な立場で呼ばれたということなのだろう。

他のメンバーは超有名会社の経営者や投資銀行のマネージャー、あの団体に所属する研究者やあの分野の著名ジャーナリストといった人たちの中で、なぜかぼくだけがヘキレキ舎代表。かなりの居心地の悪さを感じつつ、国環研が関わっている三春の「コミュタン福島」の広報だとか、地域の企業との連携とか、地元のステークホルダーとの対話とかに力を入れたほうがいいのでは?と言うことをざっくりと提案してきた。

周囲の話を聞いていると、環境省からの独立性を保ちながら、企業の経済活動にも資するような研究をもっと増やして欲しいという声が多いようだった。環境問題対策待ったなしのなか、企業が目指すべき方向性・ビジョンに関わるような、将来設計を後押しするような研究が求められているということだ。流通や食品業界の問題意識も高い。「レジ袋」以外にもっと着手しなければいけない問題があるじゃねえかという気もする。

9日、10日は、溜まったテキストを書き進めつつ、友人が所属するヨガスタジオの先生たちの撮影をこなした。ちなみに書き進めていたテキストは、福島第一原発のタンクに貯蔵されている「トリチウム水」に関する論考で、朝日新聞の運営する「論座」に公開された。ちなみにリンクはこちらである。

ぼくは「科学的に安全なのだから論」には与しない。これはやはりある種の公害問題なのであって、その原因企業と、もっとも割りを食う当事者との間で調整が真摯に行われるべきで、それでいうと漁業者は一貫して「陸上保管」であり、その意向は伝え続けてきていて、だからこそ小委員会で議論が続いているのである。「漁業者が考えるべき問題」と押し付けてきたのだから、政府は漁業者の選択を支えるのが筋というものでしょう。

あと大きいのは漁業の再生と自立の問題。正直、賠償がこれ以上増えると漁師のモチベーションを大きく下げることになる。現場では「水揚げを増やして欲しい」という声の方が大きいくらいなのに、賠償を増やしてどうするんだと。ここは賠償を一刻も早く脱して、水揚げを増やすのが何よりの「国益」だし、自立こそ経済的である。詳しくはリンク先を。5,000字くらい。

もうひとつ、知的障害に関わる施設などが所属する全国団体「全日本手をつなぐ育成会連合会」が発行する機関紙「手をつなぐ」にもテキストを寄稿した。障害・表現・地域コミュニティ、みたいなキーワードから連想される1,600字ほどのテキストである。主に、クリエイティブサポートレッツでの日々について書いた。

障害福祉は、言い方が悪いかもしれないけれど、本当に面白い。ぼくは支援者ではないから気軽なもので、レッツに行くと、利用者と一緒に遊んだり昼寝をしたり工作をしている始末で、それでいて、「この人はこんな風に感じているんだな」とか、「なんでこういうところにこだわっちゃうんだろう」とか、たくさんの問いが生まれる。自分とは異なるやり方で世界を知覚しようという人たちの出会いや協働は刺激的だし、なんというか、優れたアート作品を見たあとのような視界の転換(アングルシフト)が起きる。それが地域にも漏れ出していくといいよね、という話を書いた。読まれるといいな。

10月11日。編集部員として関わる「いごく」の次号のテキストにいくつか手をつけ、午後からはいわき市生涯学習センターが開講している「いわき学」の講師をしてきた。テーマは「創造的復興」で、1時間半ほどのプレゼンにまとめた。中身は、『新復興論』の中身に沿いつつ、ぼくの感じる復興の矛盾点、2度目の喪失の問題、地域の自己決定能力の話を経て、じゃあいわきの誇るべき文化って何よ、潮目じゃね?という話になっている。

驚くべきことに、このいわき学講座、毎回100名を超える受講生が参加していて、いずれもシニア・シルバーの方たちだが、それだけ学ぶ意欲のある人たちということだろう。ボランティアなどにも興味のある人たちも多いらしい。いやあ、いわきにこんなに学ぶことに熱心な人たちがいるとは!  なんだか希望をもらった気がした。地域づくりに取り組んでいる若い人たちと結びつけたら面白いんじゃないかな。いやあ、すごい講座だ。

明日からは台風が来る予定なので仕事はしない。基本、土日は自分の関わるイベントが行われることが多い。とても雑多だ。けれど、自分の関わるイベントや企画が雑多でも、一本「筋」を通しておくことで自分の活動に一貫性が持てるし、そのなかに「思想」めいたものを据えておくこともできる。独立して今年が5年目になるが、それが本当に大事だなと思う。

日々、クライアントワークしていると、はて、おれのやりたいことってなんだったっけ? お客さんに褒められて嬉しいけれど、まだまだ自分を出し切れてないな、ということはちょくちょく起こり得る(特に独立したての頃は)。けれどクライアントワークだといっても、一本「筋」は通しておくべきだし、その筋こそ自分の商品価値なわけで、クライアントの意向に合わせたとしても、巧妙に思想を添えておくのが大事だ。フリーだからこそ、自分の仕事の「筋」は、しっかりと据えておきたいものである。

ぼくは活動テーマが「共事」なので、どうしたら参画者が増えるか、どうしたらその参画者の持続性が持てるかを常に考えるようにしているし、地域の課題などを取り扱う時には、どうしたら無関係だと思っている人たちに「オレにも関係があったのか」と気づかせられるかを考えている。当事者性は1になればあとは勝手に深まるもので、0から1を作るのがとても大事。そういうチャンネルを作り続けたいところである。

それでいうと、こういう講演の仕事などは、自分のスキルを棚卸しする機会にもなるし、プレゼンの資料の作成を通じて「筋」を自覚する機会にもなるので、みんな、仲間を集めてトークイベントをやり合ったらいいんじゃないかな。自分の考えを他者から「批評」される機会って、フリーランスだからこそ必要な気もするしなあ。

台風19号が日本の南にやって来ている。いわきの人たちは楽観主義に過ぎるので、「どうせ大したことねえべ」と思っている人が25万人くらいいそうだが、もちろん、ぼくもそのひとりだ。多分いわきの被害は大したことないと思う。どうかみなさん、ご安全に。


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