中村彝と『ルカ福音書』のザカリア
中村彝の未刊行の葉書(多湖宛、大正10年8月2日着)に『ルカ福音書』の一節に関連した箇所があることが分かった。
もともと聖書の一節に関連した言葉かと察せられたが、はっきりとは分からなかった。それは彼の葉書のこんな文脈の中に書かれていた。
「僕ハ大によくない。去年の暮から臥たきりだ。…それでもどうにか生きてだけハ居る。たゞ生きてるといふだけだ。昔日の元気ハ全くない。毎日眠いばかりで睡(ネム)ってばかり居る。時々喀血もする。この喀血もこの頃ハ平気なもんだ。熱も出る。熱も慣れっこ