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ロジャー・トラウトマンは『お前のギターを聴かせてくれ、ロジャー!』とシャウトして自らギターソロを弾いた

ソウル・ミュージックは聖性に満ちた切実で清らかな音楽であるとともに、芸能と水商売の音楽でもある。一発当たったら二発でも三発でも同じ事をやり続けるのがソウル魂だ。


1981年、ZAPPのロジャー・トラウトマンは『do it,roger』というディスコ・ヒッツをモノにした。


『ロジャー、かましちまえよ!と自らハッパをかけ、ひたすら長尺のギターソロを弾きまくる』という、JBですらやらなかった反則技を用いたこのエレクトロ・ディスコはよく売れた。ちなみに2015年のクラブ・ヒッツ、tuxedoの『do it』という楽曲はこれが元ネタになっている。


そして1984年、ロジャー・トラウトマンは自身の1stソロアルバムに『PLAY YOUR GUITAR,BROTHER ROGER』という楽曲を入れた。


タイトルを見てまさかと思うかもしれないがまさにそのまさかで、これは『do it,roger』の続編なのである。3年越しの続編。


2コードのループという楽曲構成はもちろん、メロディやアレンジまでもがほぼ同じ。


しかもこの楽曲において、ロジャー・トラウトマンはまたも自ら、『ブラザー・ロジャー、お前のギターを聴かせてくれよ! Playin', keep playin'!』とかなんとか言って、また長尺のギターソロを弾きまくる。


全く、何もかもが同じなんである。


この曲が当時ディスコで話題をさらったかどうかは寡聞にして知らないが、まあたぶん、そんなにヒットしてないと思う。つうか同じ曲だし。


でも、ロジャー・トラウトマンはどうしてもこれがやりたかったんだと思う。


『お前のギターを聴かせてくれ!』って叫んだあと、自分でひたすらギターソロを弾きまくるという、おめでたくて馬鹿極まりない、自己完結型ハピネスのダンス・ミュージックを。つまりは、ピースってことだ。


おまえはおまえのギターを弾け。少なくともおれは弾いたぜ。


ジャケ写のロジャー・トラウトマンの問いかけるような眼光から、そんなメッセージを僕は受けとっています。

Playin', keep playin'!






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