プロデューサーに戻れない話

 はじめに、これは元デレステPの私のデレステとの出会いと別れ、SideMとの出会いについて綴ったものである。自分語りがしたくなったので書いた乱文であることをご了承願いたい。あと非オタの人からしたら多分気持ち悪い。アイマスPからしたらあまり気持ち悪くないかもしれないが、気分のいい話でもないと思う。
 自分語りがしたくなったので書いた乱文であることをご了承願いたい。

 私とデレステの出会いは2016年だったと記憶している。当時私は中学3年の終わりごろだった。
 友人Aに勧められるままにアプリを入れた。最初のアイドルは渋谷凛だった。ウエストがNGの中で1番細かったので彼女を選んだ。
 中学生の頃他の友人に勧められて入れたラブライブはチュートリアルもクリア出来なかった私だが、ノーツが横一列5個なのが幸いしたのかなんとかやっていけた。でも一生親指派だった。

 SSRSRが揃わない頃、Rの佐久間まゆを何気なく使ってコミュを解放した。『ヤンデレっぽーい』という印象からやったように思う。実際その通りまゆはヤンデレだった。
 佐久間まゆのストーリーコミュは必ず最後は暗転し、何かゾクッとするようなことをまゆが言って終わる、という構成になっている。私はこれで佐久間まゆに落ちた。諸々の挙動にゾクゾクするのが楽しかったのだ。

 さて少し月日は流れて第1回のスペシャルガチャチケットキャンペーン開催時である。調べたら2016年5月だった。
 私や周りのデレステP達は色めきだった。なにせ『課金すればタダで好きなアイドルが手に入る』のである。当時私達は誰一人として担当アイドルのSSRを持っていなかった。
 迷った末に私は恒常SSRの佐久間まゆを課金して手に入れた。人生初の課金である。購入前に『未成年の方は保護者の方に許可を取ってから買ってくださいね』とちひろさんが聞いてきたが、もちろん許可など取っていなかった。
 友人Aも課金していた。確か新田美波か高垣楓にしていた。
 そこからはMV鑑賞を楽しんだ。親に黙って課金したことの後ろめたさなど秒で消えた。色々な曲のMVに佐久間まゆを入れ、舐め回すように眺めスクショを撮った。楽しかった。
 第2回以降のスペシャルガチャチケットには参加しなかった。佐久間まゆは私が唯一課金して手に入れたアイドルだった。

 さらに少し月日が流れて2016年9月である。
 直前のシンデレラフェスで貯石を使い果たした私は「トリート・トリート 佐久間まゆ」(以下ハロウィンまゆ)を引くことは叶わなかった。恐らく歴戦のP達は『無課金を貫くなら担当のガチャまで貯めてろ』『次はまゆが来ると予測されてただろks』と思われることだろうが、当時の私はソシャゲを始めて半年である。そんな考えはなかった。
 その翌年のハロウィンまゆ復刻時も50連が限界だった。流石にその時に心を決めた。
『次のまゆのカードが来るまでガチャは引かない』

 さて、さらに月日が流れる。2018年だ。私は高校3年生だった。ここまで私は無料石を貯め続けていた。『コンテンツに金を入れろ』という意見は甘んじて受け入れる。しかし私はバイト禁止の学校に通う高校生だった。親から貰ったお小遣いをそうそう課金に使うのも申し訳ない。『親の金を許可なく課金に使うな』という意見はマジで仰る通りである。
 受験生として勉強をしつつも、ある程度デレステのイベントには参加していた。報酬石のためである。それでもガチ勢のPの方々に比べれば鼻で笑われてしまうほどだろう。どんどん進化していくMVが楽しくて仕方がなかった。「イリュージョ二スタ!」のMVを食い入るように観た。『不可能さえも超えて魅せるわ』という歌詞に何度も涙ぐんだ。初の非ライブステージでのMVとなった「Love∞Destiny」や『6人目』が実装された「イリュージョ二スタ!」のようにMV進化の岐路に立つまゆが、総選挙があれば必ず上位にくい込むまゆが、勝手に誇らしかった。
「キラッ!満開スマイル」イベントはかなり走った。まゆがソロで歌うパートが大好きだった。
 
 2018年5月当時、どのくらい貯められていたか定かではないが、「100連分達成した!」みたいなことを言っていた覚えはあるので少なくともそれ以上だろう。
 『思ったよりも少ないな』とか言わないで欲しい。これでも頑張ったのだ。

 さて、結論から言うと私は貯石をはたき、2万円の課金をし、ひいてはほぼ全てのアイドルを特訓してコミュを解放して得た報酬石(要はへそくり)全てを使っても「魅惑のショウタイム 佐久間まゆ」(以下サーカスまゆ)を手に入れられなかった。当然の結果である。天井に届かなかったのだ。
 18歳以下の課金額はひと月に2万が限度である。それに気づいたのは1万ほど課金した後であった。2018年5月当時、私は18歳になる約半年前だった。
 ありとあらゆる方法を試した。キスでガチャを引いたり、願をかけたりかけなかったりした。何よりも狂っていたと思うのはそれを友人Aに話し、最後の方は動画に撮って見せていたことである。中々イタい行動ではあるが私達はマブダチ()だし何よりAも怖いもの見たさで「見てみたいわ(笑)」と言っていたのでこのぐらいは許されよう。
 最後の10連ガチャは深夜の2時に引いた。当時自分の部屋を持っておらず妹と同室だった私はイヤホンを耳に刺した状態で就寝し、深夜2時の目覚ましで起きた。最後のガチャは新規SRもなかったと記憶している。ガチャ更新当日の深夜のことだった。その日の午後3時のガチャ更新を待たずして私はデレステをアンインストールした。

 まゆを嫌いになったわけではなかった。しかしアプリを開いたホームにいる「フィールマイハート 佐久間まゆ」にどう接したらいいかわからなかった。へそくりさえも使い果たした私は今後来るであろうまゆの限定復刻や新規SSRにどう対応すればよいのかわからなかった。
 そして何よりも、まゆを引こうとする過程で手にした他キャラのSSRを愛せる自信がなかった。
 彼女達もまた誰かの担当である。しかしその瞬間の私は明らかに彼女らを見てがっかりしてしまっていた。

 佐久間まゆが好きだった。
 まゆのストーリーが、声が、歌が、得意ではないらしいダンスが、ハイライトがある瞳も無い瞳も好きだった。
 「パステルピンクな恋」が、「Love∞Destiny」が、「イリュージョ二スタ!」が、「キラッ!満開スマイル」が、「エブリデイドリーム」が、好きだった。
 色々な衣装で、色々なMVで、色々なアイドル達と共に踊るまゆが好きだった。
 二次創作の怖いまゆも、二次創作の病んでないまゆも、好きだった。
 佐久間まゆが好きだ。佐久間まゆに狂っている自分が好きだ。
 佐久間まゆに狂っていることが楽しかった。

 心のどこかで『まゆなら自分を愛しているプロデューサーの元にやって来てくれる』と信じ込んでいた。『コンテンツに金を入れずして何が愛だ』と言われるだろうが、そもそも佐久間まゆは砕いた石の数で愛を測るようなアイドルでは無い。そんなキャラはデレステには(ちひろさんくらいしか)いない。
 親に黙って課金をしてもなお、まゆを手に入れられず、また他のアイドル達への愛が揺らいだ私は、もはや『佐久間まゆの担当プロデューサー』や『アイマスP』ではいられなくなった。


 さらに時は流れる。大学入学を機にTwitterを始めるとガチャ更新と共にしばしば新規SSRがトレンド入りしている様を見るようになった。
 最初はそれを見ることすら胸が痛んだが、アイドル達の可愛さを前にすれば些細なことだった。
 大学で知り合ったアイマスPの女友達から今のデレステがどのようになっているか知った。物凄い進化だった。Grand verの「M@GIC☆」を見た時、誇張抜きで涙が出た。デレステというコンテンツの進化と賑わいを、眩しいような思いで見つめる自分がいた。
 なんか格好つけた言い方をしたが、つまるところ『元彼ヅラ』である。古参ぶるファンよりさらにタチが悪い。
 そんな状態で、自分はアイマスPに戻ることは(精神的にも、また引き継ぎコードを紛失してしまった件でも)できないが、心の底からデレステというコンテンツと、佐久間まゆを応援していた。

 さらに時が流れた。2020年、絶賛コロナ禍である。大学1年生のうちは皆が無意識に抑えていたオタクらしさが、外出自粛によって明らかに復活していた。かく言う私もひょんなことから刀剣乱舞に復帰し、女オタクらしさを取り戻していた。
 しかしデレステに対しては相変わらず元彼ヅラをしていた。友人Aがフェス限のまゆを引いた時は歯を食いしばって「おめでとう。まゆを大事にしてくれ」とリプライを送った。Aは「君がかつて溶かした2万も確かにデレステというコンテンツに還元されているんだよ」と言ってくれた。少し泣いた。「Go Just Go!」のCMの北条加蓮verでまゆが加蓮と一緒にいたのを見て「Love∞Destiny」のイベントコミュを思うと感慨深かった。

 さてそんな中(正確には2019年末頃だったか?)、友人AはSideMにハマっていた。バンナムフェスがきっかけである。夏休み中、私とAと他の友人の3人で、Zoom上で『推しプレゼン大会』なるものを開いた際、Aは『SideM』というコンテンツそのものをプレゼンしていた。その中で紹介された『ヒプノシス舞田』というMADがある。デレステの一人合作動画を彷彿とさせるノリの、デビルマンのテーマの継ぎ接ぎMADだった。


https://www.nicovideo.jp/watch/sm33250031

 『うわこういうの懐かし〜www』と思いながら見た。数日後に思い出してまた見た。またふと思い出した時に見た。6回目くらいになった時に思った。
「舞田類くんかわいいな」

 これはどの界隈のオタクにも当てはまるが、誰かが自分のコンテンツに興味を持った瞬間の行動の速さと言ったらない。舞田類が気になり始めているなどと言ったが最後、友人Aに沼に引きづりこまれるだろうと思った私はとりあえずMADをつい見てしまっているとだけ趣味垢でこぼしてみたところ、案の定Aはすぐさま別のMADも勧めてきた。そのMADもまた、狂っているアイマスPらしい動画でクセになった。

 10月30日、Aが「アニエム全人類観て欲しい…無料で公式のを観られる最後のチャンスかもしれないし…」とツイートした。少し迷った末にAに「SideM、今アニメやってるん?」と聞いた。

 そうして私はYouTubeでのアニメSideMの期間限定公開を観た。とりあえずS.E.M回である5話まで観ようという思いだった。
 Beit回の4話で既に半分落ちた。
 順調にアニメを9話まで履修した。お目当てだったS.E.M回はもちろん、W回もHigh×Joker回もよかった。ボディーブローのようにじわじわとドラスタやJupiterが効いてきた。色んなキャラが気になりだした。
 そんな状態でアニエム10〜13話公開を迎えた。何度も動画を止めて呼吸を整えながら視聴した。とても疲れた。しかし最高だった。

 SideMのプロデューサー達の最も大きな特徴は『Mマスが人生』であることだと思う。彼彼女らはアイドル達の生き様や仕事への向き合い方、信念に自分の人生を重ねたり、指針にしたりしているように見える。
 私はと言うと、そこまで深いことを考え出すと身が持たないのでそうは成れないと思っていたが、12話での桜庭のとある台詞に自分を重ねてしまった。

 もうここまで来たらエムマスのプロデューサーになるしかないのではないかと思った。

 しかしもう私はプロデューサーには戻れないように思う。
 今でもアイドル達が「プロデューサー!」と呼ぶ声に感じ入る物がある。
 しかしあの時私はプロデューサーを引退したのだ。
 まだ『佐久間まゆの元担当プロデューサー』を名乗っていたい自分がいる。

 深く考えずに、SideMを、時にはデレステというコンテンツを楽しんでいたい自分がいる。
 しかしそれではプロデューサーではなく『ファン』である。

 私はまだプロデューサーに戻れない。








 しかしこんな長文を書いておきながら、再来月あたりにはあっさりエムマスを始めていそうな自分がいるのも事実である。

 


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