連作短編|揺られて(前編)③|可奈子
朝食はトーストとハムエッグにした。
体を重ねた翌朝は、味噌汁や焼き魚は相応しくないように思う。なぜだか分からないけれど…
半熟の目玉焼きが好きな夫の為に、焼き過ぎないようにフライパンの前に立ち、ハムの焼ける香ばしい匂いが漂う中、夕べの夫婦の交わりを思い出し、何かかわったことはなかったか、頭の中でその行為を繰り返してみる。
夫はいつもより激しかった。何かを打ち消すかのようにぶつかってきたといってもいい。仕事は順調なはずだし銀行の業績も悪くない。
きっと女のことだ…
結婚