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台にアニバーサリー|#毎週ショートショートnote

たらはかにさんの企画に参加します。
『台にアニバーサリー』
どうぞよろしくお願いします。

ママが天国へ行き半年ほど経ったある日、

「ここにおいで」

パパに呼ばれたのは、
玄関をあがってすぐの花瓶台の前だ。

「見て欲しいんだ」

いつもママ、パパ、私の誕生日、
ママとパパの結婚記念日、
綺麗な花を飾ってあった。

フラワーアレンジメントの資格をもつママが、
とても綺麗に活けていた。

でもママが居なくなってからは、
その台には花瓶だけが置かれていた。

「お花は飾らないの?」

「悲しくなるから飾らないんだ」

パパはママが居なくなってから、
心がどこか遠くへ行ってしまったみたい。
パパのことずっと心配だった。

「君が生まれた時に買ったんだ」

パパはその花瓶台の角をやさしく撫で、
その脚の長い花瓶台をそっと床に倒した。

花瓶を置く台の裏面に
びっしりと文字が書いてある。

近づいてみると、私が生まれた日、
私が初めて喋った日、初めて立った日…

たくさんの記念日が書き込んであった。

「パパ…私が今日からお花を飾るから」

涙が溢れ出た。

パパは笑いながら泣いていた。

(了)

【411文字】


私の父は何にでも購入日を記入していました。
ちゃぶ台の裏にも書いてあったことを思い出し、この作品を書きました。

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