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LIFE SHIFT2を読んで~100年時代の行動戦略~

おはようございます。りくです。

話題作の『LIFE SHIFT 2 100年時代の行動戦略』2021/10/29 アンドリュー・スコット , リンダ・グラットン)を読み終えたので、学びをアウトプットしていきたいと思います。長め(4000字)です。前半は個人の行動戦略、後半は企業の行動戦略(人事戦略)をまとめました。

なお、前作にあたる『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(2016/10/21 リンダ グラットン, アンドリュー スコット)のふりかえりを投稿したので、よろしければこちらからご覧ください。

では、『LIFE SHIFT 2』の世界へGO!!


1.パンデミックが変革を加速


前作『LIFE SHIFT』が出版されたのは2016年。その後、わたしたちは世界規模の感染拡大を経験。そして『LIFE SHIFT 2』の序文では、このパンデミックが変革を加速すると説いている。その理由はこうだ。

現状維持の力が弱まった

社会のあり方が激しく揺さぶられた。さまざまな不都合が明らかになった。たとえば、多くの日本企業はデジタル化に後れを取っていた。現状への揺さぶりは、おのずと変革を推進しやすくなる。

日本が経済成長をより必要とした

パンデミック対策で政府の債務が膨張した。そして飲食や観光などの主要産業が大きな打撃を被った。長寿化の進展とテクノロジーの進化を経済成長の原動力にしなくてはならない。

適応に対する学びの機会になった

パンデミックは変革を加速させると同時に、個人・企業・国にとって、将来のリスクへの対応力を試すストレス・テストの機会になった。(ひとびとはどこに身を置くべきか、見定めるようになっただろう)

2.100年時代の行動戦略ー人間としての開花


こうした中で100年時代を生き抜くには、人間とはなにか、という問いに向き合っていくことになる。変革が加速がするということは、テクノロジーの驚異的な進化が次々と雇用を奪っていくことであり、人間としてどのような能力を身に付けていくべきかに向き合うことになるからだ。わたしたちは、誰もが社会的開拓者として、新しい社会のあり方を切り開く覚悟をもつ必要が出てきたのだ。

では、人間としての可能性を開花させ、新しい長寿のあり方を生み出すにはなにが必要なのだろうか。『LIFE SHIFT 2』は3つの「人間らしい発明」を記した。

①『物語』自分の人生のストーリーを紡ぐ

テクノロジーの進化と長寿化の進展に伴い、人生で経験する移行の回数が増えた。これまでは3ステージモデル(「教育」→「仕事」→「引退」)に沿えばよかったし、そこに意味づけはいらなかった。しかし変化の激しい時代に生きる人間は、いくつかの重要な問いに向き合う必要がある。

「わたしはどのような職・キャリアにつくのか」
「わたしはどのようなスキルが必要になるのか」

人生の進路を考えるには、現在の自分を足場として、「ありうる自己像」を描き出すことだ。未来の道筋がどのようなものになりそうか思い描く。社会の変化に合わせて、新しいストーリーを書き換えていく。

そのストーリーは、技術や制度の変化によってどんな影響を受けるのか。そのストーリーの前提は、自分の思考によって狭まりすぎてはいないか。そのストーリーの実現のために、必要な時間を再配分できているか。

そうして描いた人生のストーリーは「再帰的」な性格を持つ。現在のじぶんがどのような行動をとるかによって、将来どのような足場の上に立ち、どのような選択肢を得られるかが決まるということだ。

(わたしの場合は?こちらの記事でストーリーを綴った)

②『探索』学習と移行に取り組む

人生のストーリーは、特定のゴールへ向かうものではない。「ありうる自己像」を描くとは、将来の自分の選択肢を持つことであり、その幅を狭めることではない。探索し、発見していくのである。選択肢を増やした上で、学習し、移行を重ねるのだ。

そのためには、生涯に渡って学び続けることが必要になる。しかしながら、受身で移行を迎えるような場面というのは、強いストレスや不安を感じることになり、そのような時期の学習能力は大きく減退する。移行の危機にさらされてやろうと思っても、大人の学習は難しい。

この問題を克服する方法は、学習の対象に強い興味と情熱を抱くことだ。やりがいを持つことで、潜在的な不安の悪影響を小さくできるのだ。心理学の研究でも、内発的動機が、もっとも充実した学習を可能にするという。要するに、好奇心にそそられて学ぶのが近道ということだ。

(わたしの場合は?こちらの記事で大人の学びに触れた)

③『関係』深い絆と有意義な人間関係

人生の期間が長くなり、移行の機会が増えつつある中で、人との関係も考え直す必要がある。マルチステージの人生は、柔軟性が高く、成長と進化を遂げるチャンスも多い。しかし、人間関係を深めるための投資をしなければ、細切れの人生になり、漂流状態になってしまう。

人間関係の核をなすのは家族だ。核の外側には、親しい友人たちがいる。さらにその外側には、それほど長期的ではない人的ネットワークが存在する。仕事と娯楽の両面でメンターやロールモデルの供給源となる人間関係だ。その他、地域コミュニティや隣人という人間関係もあるだろう。

そうした人間関係についても計画を点検しよう。こんな問いになる。
「人間関係・コミュニティに関する十分な時間を確保できているか?」
「パートナーや家族と、お互いのストーリーを話し合ったか?」
「パートナーや家族とのストーリーは、適応力をもてるか?」

(わたしの場合は?両親・兄弟とは家族会議を行う習慣がある。父との関係性はこちらに書いた。将来のパートナーや家族とも、対話する習慣を持てるようにしたいものだ。)

3.100年時代の人事戦略ー企業の課題


『LIFE SHIFT 2』では企業の課題にも章が割かれている。ここからはわたしが人事として印象に残ったポイントに触れる。企業の慣行、規範、文化は、人々が光り輝けるかを大きく左右するものになってくる。

マルチステージの生き方を可能にする

これまでの企業の人事制度に深く根を張っているのは3ステージモデルだ。教育を終えるとすぐに企業に採用され、将来性の社員が昇進し、出世の階段を登っていく。やがて50代後半~60代後半で退職の日を迎える。一斉行進のプロセスであり、年齢を基準とした非常にシンプルな制度だ。

しかし、マルチステージの人生を生きる人々は、一斉行進型の3ステージの人生とは異なり、さまざまな活動を人生のさまざまな段階で割り振ることになる。その生き方を企業で可能にするには、企業が年齢とステージの結びつきを断ち切る必要がある。

入社年齢を多様化する

ほとんどの企業は20代前半の人には門戸を広く開けているが、それ以降の年齢の人たちには扉を閉ざしていることが多い。入社年齢の多様化は容易ではないが、さまざまな業種や職種で経験を積んだ人を評価するような、広い視野を持つ必要がある。

また、履歴書の「空白期間」への見方も変えるべきだ。移行のための探索期間として、空白の期間が生ずる人が増えていくことを、マルチステージの人生では理解、むしろ称賛すべきですらあるということだ。

新しい退職の形をつくり出す

長寿化とは、私たちの年齢の可変性がきわめて大きいということだ。70代になっても経済的な生産性を維持できる可能性がある。(わたしの父も70代で現役バリバリだ)

最近、アメリカで55歳超の1500人を対象にした調査では、約7割が、時給が10-20%下がっても柔軟な勤務体系(パートタイム等)で働くことを望んでいるという結果が出ている。年齢と昇進、給料の関係について率直な議論を進めるべき時期がきている。

働く女性を支援する

ワーキングマザーにとって、子育ては金銭的ペナルティを伴うことが多い。女性の賃金は、第一子が生まれるころに落ち込みはじめる。復帰後も、仕事を離れていた期間を無価値のように扱われたり、年齢を重ねていることを理由に不利な処遇を受けることもある。母親たちに対して支援を強化する必要は大きい。ネットワーク発足、女性採用枠、メンタリングなどだ。

しかしこうした女性支援施策は大きな成果を挙げていない。その理由は、仕事の世界の不平等の本質は、家庭における不平等から来るものだからだ。男性が家族の世話をすることへの支援がされないと、キャリアを追求する女性に重い負担がのしかかっているという構図だったのだ。

男性の子育てを支援する

父親の育児休業取得率には国によって大きな違いがある。例えばスウェーデンでは、父親が平均7週間取得している。これは国ごとに政府の政策や方針、社会規範が異なるためだ。

企業の方針も変わり始めている。ネットフリックスでは、最大で1年間の有給の育休制度を度乳した。両親は働くことも、働かないことも選べる。父親が家庭に深く関わると、父親自身にとっても人生の満足度を高めるという研究結果も出ている。

なぜ企業が変わるべきなのか

これらの課題(まだまだある)に取り組むには、企業はさまざまな面で旧来のやり方を改めなくてはならない。どうして企業がわざわざそのような変革に乗り出す必要があるのか?

その大きな理由は、人材の確保である。変化の激しい環境であるからこそ、機敏な働き手を確保しておくことが企業の競争力となる。柔軟な働き方を実践し、仕事の仕方をすばやく変えていく必要が高まっているからだ。また、働き手とは、消費者の鏡でもある。消費者に応じた企業の商品づくりとしてのマッチングという意味でも、幅広い年齢層での雇用が重要であると考えられている。

働き手の、人間としての可能性を開花させること。それが、企業が成功するためにも不可欠なことであるというのが、人生100年時代の人事戦略の前提となってくるということである。


企業戦略を踏まえた行動戦略を


企業人事をしていると、企業課題に出てきたような働き方に関する相談が急激に増えています。制度の見直しも待ったなしである、と感じています。企業の変化のスピードもさまざまでしょう。わたしはわたしのできる範囲で、よりよい企業にしていきたいと改めて思いました。

そんな企業の人事戦略の方向性・スピードも捉えながら、個人の行動戦略を立てていくのがよいのでしょう。『物語』『探索』『関係』を軸とした人間としての開花をするためのアクション。わくわくするストーリーを描き、好奇心にしたがって冒険し、大事なひととのつながりを育む。そんな人生を送っていきたいものですね。

長くなりましたが、以上です!
それではよい一日を!
Have a nice day!!

りく




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