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パンチラインを欲し続けるわたしたち

適当な男 JUNJI TAKADA
他人は気にしない生き方
適当な男 JUNJI TAKADA
Fly boy 自由気まま

[ JUNJI TAKADA / KOHH ]

令和になってもシャッフルでこの曲が流れてくると、なんだか懐かしい気持ちになってKOHHの2nd albumを聴きながら河川敷を散歩したりすることがある。トラップと高田純次というワードが混在したこの曲自体の強烈なインパクトはKOHHが知名度を確固とするために一役買った名曲だが、ものの30分で制作されたと語られるこの曲そのものが適当の在り方を表しているのかも知れない。
パンチラインとは偶然が生み出す美学もあると思う。

週の半ばに録画したずん喫茶をみるのが何よりもの楽しみだ。
レギュラー放送になってからは週末の番組をわざわざ温めておいて、次の週に自分が一番疲れていると感じる瞬間に観ることにしている。疲労がしみじみの染み渡る水曜日の夜なんか、帰宅したあと自炊する自分に花丸をあげたくなるほどほうほうのていで、そんな夜にハイボールをちびちびと飲みながらこの番組を観るのが唯一の自分の生活を慈しむ時間なのだ。

飯尾さんのパンチラインは脊髄反射と思いやりからできている。

繰り出される脈絡のない話に散りばめられたワードセンスは持って生まれた飯尾さんの才能と、サイレントブレイクまでに費やした苦い時間がもたらした経験の『技』だと思うが、一貫してポップなのだ。
それが見聞きしていてただただ気持ちいい。
喫茶店と関係あるようでないようなざっくばらんな距離感の褒め言葉もちょうどよく、ほろ酔いのわたしは深夜に思わず声を上げて笑ってしまう。

このぬるま湯みたいな他人のたいしたことない話を能動的に見聞きする時間があるからこそ、日頃サジェストされたTwitterのトレンドや、トップニュースに表示される興味のないゴシップもその毒気のある味付けの濃い部分だけを差し出されているのだと思い知ることができるのだ。
ずん喫茶は盛り上がる面白いバラエティ番組ではないが、1週間のうち忖度のないギャグを聞き流すくらいの時間があってもいい。10回観て1度くらいは寝る前に思い出して思わず楽しくなるような飯尾さんのおしゃべりに出会えるかも知れない。そんなひと匙のギャグもわたしにとってはパンチラインよりも沁みる夜があるから。

適当な男 KAZUKI IIO
見習って楽しめこの生き方

わたしの憧れる大人のひとりである。

ずん喫茶
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/zunKissa/

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