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さようなら、ミラーレス

フィルムからデジタルへ

私は1990年代半ばまでは、NIKON一眼レフ・フィルムカメラを使っていましたが、2000年代に入ると、瞬く間にデジタル機器一色の世の中になっていました。
初めて買ったデジタル一眼レフは、PENTAXKシリーズ。どっしりした重みとフィット感が気に入っていましたが、フォーカスが曖昧で合焦点しにくいのは難点でした。
2010年以降は、PANASONICOLYMPUSデジタル・ミラーレスカメラの軽さと小ささに魅了され、一眼レフは重すぎ大き過ぎでもうなじめなくなっていました( 一眼レフは800g以上、ミラーレスなら350gほど  ) 。

以下のサイズ比較を見れば一目瞭然でしょう ;

左端が一眼レフ、真ん中3種はミラーレス、右端はコンパクトデジタル


画質重視とはいえ、 画素数と印刷の関係

デジタル画像の画質は、実際にどれくらいの大きさの紙に印刷したいかで、求める精細さが変わると思います。現在のスマホ業界の「売り」は、超高画質+画像加工機能付きで、一億万画素数という新製品もありますが、値段も上級カメラ並みの高額です。

画質は、一般的には「画素数」というもので示されています( もちろん、イメージセンサーも大事ですがここでは省略 )。私が今まで所有してきたデジタルカメラの画素数は、おおよそ1000万~1600万画素あたりでしたが、たとえば、A1 ( 59 cm × 84 cm  )サイズの作品の中にかなり大きく引き伸ばして使っても画質が粗いと感じたことはありません。
もちろん私の場合は、撮影した画像を作品の構成要素としphotoshopによる加工処理をして使っているだけなので、化粧した女性の肌色などの微妙な階調にこだわる美容ファッション系の大判ポスターに印刷するような緻密さを求める必要は全くありません。

精密機器を手掛ける世界的電機メーカー EPSON ホームページに掲載されている印刷データを参考にすると;

ハガキ      130万画素 以上
KGサイズ    130万画素 以上
2L判            130万画素 以上
六切             300万画素 以上
A4                400万画素 以上
A3                700万画素 以上

このデータは、印刷した場合の画素数と画質の精細さとの関連比較です。たとえば、はがきサイズぐらいの印刷なら130万画素以上あれば十分きれいだということです。
スマホの中で最も安い私の basic 機種でも1000万画素あります。A4 ( 約 21cm×29cm  )ぐらいの大きさの印刷ら400万画素レベルで大丈夫のようで、ただし、街角の広告ポスター A1ぐらいの大きさの印刷なら2000万画素以上が望ましいというこでしょうが、世間一般の利用ではそこまでは要らないということになります。

何を撮るかではなく、とりあえず写メしておく

80年代までのフィルム時代は、カメラで何をどう撮るかが重要であり、それと同じくらい焼き付けも大事でした。
どこに行き、何をどのようなアングルと露出で撮るのか、やはり三脚を使うか、・・など、いろいろ思案しながらの集中作業であり、何日か後に、現像と焼きつけを依頼した写真ラボで刷り上がった写真を受け取って見て、そこで初めて、今回の撮影は成功したかどうか判明するのです。

デジタル画像となった現在、そのような過程は一切無くなりました。

現在の私の場合、撮った写真をそのまま「原稿」として使うことはなく、写真はフォトショップ用の「画像素材」となります。マニュアルで撮る必然性も無くなり、基本はオートで撮るようになりました。ただひたすら日常の生活圏で偶然に目を引いた被写体をとにかく撮っておく、それだけにしかカメラは使わなくなりました。

これはもう、「撮る」という意志的行為ではなく、「メモとして写しておく」程度の日常習慣です・・・・

・・と、前置きした上で、以下に、散歩しながら何気なく写した「メモ画像」が作品にどう加工されて使われるのか、そのプロセスを例示してみます:

地面下に埋設されたライト1

この画像は、夕方、市内の公園広場の地面に埋め込まれた夜間ライトを真上から撮ったもので、これを素材としてフォトショップでいくつかコピーして形や色を自由に変えて加工すると、次のような基本イメージ画を一枚の画像から作り上げてゆきました:

次に、同じ時間帯に撮った別の夜間ライトの画像を使います:

地面下に埋設されたライト2

この画像も加工して最初の基本イメージ画に合成すると、以下のような下絵1の完成となります:

下絵1

この段階で、全く別の画像素材( 透明ガラス器を透過した太陽光が紙の上に作り出す模様)を使って、全体の構成を本格的に考えます;

この画像の切り抜きを変形加工し、また別の画像素材(濡れたガラスの緑色の表面部分)に重ねると以下のような下絵2の完成;

下絵2


この下絵2に、最初に作った下絵1を重ねて背景色を濃くすると、以下のような仕上がりとなります;

この作品を創ったのは、2010年ごろ。元の画像が何なのか推測しにくい点では、かなり抽象度の高い仕上がりとなっています。

ミラーレスからコンパクトへ

ミラーレスカメラには、広角などの単焦点レンズも2つ買って、5、6年間ぐらいはお世話になりました
しかし、その後、カメラで何かを追い求めて撮るという行為から、ただメモ写しに利用するだけになり、このミラーレスすら重くてかさばるように感じるようになってしまったのです。

すると、次に何が起こるかといえば、お決まりの「下取り買換え」コースです。

さっそく市内のカメラ買い取りチェーン店にて下取り査定してもらうと、カメラ本体は常にニューモデルが発売されているため購入時価格の1割以下の査定(!)、しかし、どの機種にも合う単焦点レンズは常に需要があるとのことで購入時の5割以上の査定額となり、ミラーレスの半分以下の大きさの、SONY 高機能コンパクトデジタルカメラ購入資金の一部となったのでした。

それにしても、今までミラーレスカメラは大変に重宝して、本当にお世話になりました。

さようなら、ミラーレス、 貴方と過ごした日々は素晴らしい思い出です、ありがとう!

そして、2023年現在、・・

ガラケイスマホに替えて1年以上経ちました。スマホの撮影機能をメモ代わりによく使うようになったので、sony コンパクトの出番は作品用素材撮り以外には無くなっています。昭和時代までの「筆記具でメモ取り」は、令和の今、「スマホで写メ」が当たり前になりました。

スマホの撮影機能もずいぶん進化し、上級機種には広角・超広角・望遠機能が搭載され、自動調整機能のおかげで誰でもセミプロ並みに撮れてしまいます。さらに驚くのは、動画でも映画並みに仕上げてしまうことです!!
スゴイこととなりました。でも、みんなが、ある水準以上の仕上がりを簡単に達成してしまうので、人に抜きん出て目立つことも難しくなっているようです。だから、奇抜な、時には違法なシーンをを追い求めてしまう傾向があるのでしょう。

月がきれいに見える夜、SONY のカメラを持って、ひさしぶりに散歩に出ました。私のスマホは安い basic type なので、夜空に向けても露出不足のためにボヤケてきれいには撮れませんが、SONY を向けると、月に見事に焦点を合わせ、肉眼に近いイメージの鮮明で趣のある画像が撮れました。まだまだ私にとって、カメラは創作に欠かせぬ必需品で愛おしく思います、一方、スマホは電話とメールとネットの通信機能は便利なのにあまり愛おしさが湧かないのはなぜでしょう・・・?

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