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Vol.5.28 ブルーハワイに思いをはせて

近所のたこ焼き屋さんを通りかかると、かき氷の看板が見えた。

9月になったとはいえ、まだまだ暑い。

一時期は台湾かき氷なんてものが流行っていたがそのブームは落ち着いたのか最近ではあまり聞かなくなった。

でもカフェに行くと、夏のメニューとして在籍しているのをよく目にする。
かき氷専門店までくると、やはり台湾かき氷の置き土産なのかもしれない。

そんなかき氷に「ブルーハワイ」というシロップがある。

私にとってブルーハワイはとても不思議なシロップだった。

遡るは子どもの頃、家族や友達といった夏祭り。

祭りの屋台で見なかったことはないほどかき氷はいつも必ずどこにでもあった。

赤いイチゴに黄色のレモン、緑色のメロンに透明のミゾレ。

その中でも一際目立っていたのは青いブルーハワイだった。

ブルーハワイってなんだ?

子どもながらに色から味を予想しようとしたがまったく見当がつかなかった。

他とは違って果物でもないし、ハワイって国なのに味なんてあったのか?

そもそも青だからソーダ味とかじゃないの?

とひそかに混乱していた。

しかしだからといって、思い切って頼んでみようという勇気が出ることはなく、定番のイチゴを食べていた。

それからもブルーハワイに挑戦したかもしれないが、よく覚えていない。

ブルーハワイは父親や大人の男の人がよく頼んでいたから、なんとなく男の人が食べるものなのかなと勝手に解釈した。

そもそもブルーハワイの起源は、諸説ある中の有名な一説を挙げるとすると、ワイキキのヒルトン•ハワイアン•ビレッジで誕生したカクテルから由来となっているそうだ。このカクテルはラムをベースにブルーキュラソーという青色のリキュールを使用し、パイナップルジュースとレモンジュースをシェイクしたもの。

しかし、かき氷で使われるシロップは基本的に果糖ブドウ糖液糖という甘い液体にそのシロップの名前に近い香料と着色料を加えたもの。

つまり、基本的にみんな味は同じ。

てっきりイチゴは果物の苺から、メロンは果物のメロンからシロップを作っていたと思い込んでいた私はその衝撃の真実を知った時は驚きを隠せなかった。(だからブルーハワイもなんの果物なのかから始まった)

どうも人間は食べた時に味わった味でこの食べ物と認識せず、色を見てどんな味かを無意識ながらもあらかじめ予想をするようだ。

これは赤いシロップをイチゴと思えば、脳がそれに反応してイチゴ味と思わせるそうだ。(なんて恐ろしい)

まあ何はともあれ、今ではかき氷のシロップはグレープ味の華々しい誕生を機にあずき抹茶や練乳かけ、はたまた氷の時点で味がついているなんてものもあって一昔前では考えられないかき氷が次々と誕生している。

昔からあったものを廃らせることなく形を変えてアップデートしていくかき氷はなんて不思議な食べ物だ。

そしてブルーハワイ。

私が子どもの頃、ハワイは楽園の地で憧れの旅先でもあった。(今でもそうだと思うが)

もしかしたら、遠く離れた憧れの地を日本で少しでも味わえるようにかき氷のシロップにブルーハワイを加えた人がいたにかもしれないと思うと、プ○ジェクトXなんてものができそうな気がするなぁと呑気に妄想しては、勝手に楽しみにしている。


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