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【読書ログ】『土に贖う』 河﨑 秋子

こんばんは。
身体を冷やすからといって一度控えていたコーヒーを、やっぱり止められずにいる、凛です。

その流れで余談ですが・・・
「今日も頑張ろう!」と仕事始めに飲むコーヒーって、最高じゃないですか?^^
一時期控えてはいたものの、最近は少しだけタフな仕事が増えたせいか、その感覚が恋しくなってしまい…復活させちゃいました。
今日は月曜日、「新しい週も頑張っていこう」という気持ちで、やっぱりホットコーヒーで始めました。

さて、だいぶ話が逸れましたが、今回の本はコーヒーに関する本ではないですよ〜(笑)!

養蚕やミンク養殖、ハッカ栽培など、北海道でかつて栄えた産業とそこに挑んだ人たちを描いた短編小説です。

それぞれのお話から感じることはありましたが、私に一番突き刺さる言葉が出てきた「温む骨」について書こうと思います。
この本のタイトルになっている「土に贖う」というお話の続編のような位置付けで、「土に贖う」の主人公である佐川の息子・光義が主人公です。

もともとは道内最大手の銀行で銀行員を務めていた、光義。
とあるきっかけで陶芸を始め、いろいろあった末にあるときから陶芸が仕事に。
陶芸家として、お客様が求めるものを忠実に作り上げていく・・・光義はそれを自分の持ち味であると思うものの、どこかでこう思っていました。

僕には芯がない。

『土に贖う』 河﨑 秋子より引用

この言葉が出てきたときに、私の心にズンっとくるものがありました。

何を隠そう、私のコンプレックスとまったく同じなんですよね…(苦笑)。
私自身、光義と同じように、人が望むことに応えることはできても、「私はこうしたい!」みたいな、自分の心に強く湧き上がってくるようなものは、昔からあまりない人です。

光義自身が新しい作風を作ることへの恐怖に気づいたときの

「新しく作るべきものが見えたとして、磨かれるべきものと自覚できたとして、それを成す力が、技術が自分になかったら、俺は、どうしたらいいんだろう」

『土に贖う』 河﨑 秋子より引用

この言葉も、刺さるものがありました。
もしかしたら私は・・・この「それを成す力が自分にないこと」に直面することを避けているのではないか、と思ってしまったんです。

では、そんな光義はその後どうなるのか・・・は、ぜひ手に取って読んでいただきたいのですが、私は陶芸ととことん向き合い続ける光義の姿から「何度だって、挑み続ければいい。そうすることでしか見えない景色がある」と思わせてもらいましたし、このまま”諦念”のような思いを抱えたまま生き続けてはいけないなぁと思わせてもらいました。

同時に、その過程の光義の心の動きから、

誰しも表に出せない怒りやもどかしさ、心からの願い…などを抱えていて。
だけど、日々を穏やかに過ごすために、その思いを積もりに積もらせてしまうことがある。

そんなことに、改めて気づかされました。

もちろん、それをすべて誰かや何かにぶつけるべきではないと思います。
ただ・・・もしかしたら、その積もりに積もらせた思いに自分自身がとことん向き合い、ひとつずつ力にしていくことで、見えてくる”何か”があるのではないかと思いました。
(またも上手くまとめられている気がしませんが…!苦笑)


このお話ともうひとつ、ハッカ栽培のお話が個人的には好きでした。
荒波に揉まれながらもまっすぐにハッカ栽培と向き合い続け、それが幕を閉じることになっても、「そこまでやってきたことは無駄ではなかった」と思えるリツ子の生き様が、私にはすごく清々しく見えて。
もっと先に、リツ子のように感じられる自分で在れたらいいな、と思わせてもらいました。


などなど、いろいろと思うことはありますが、今日のところはここまで。

最近、「1万円選書」で選書していただいた本を読み進めていますが、やはり奥が深い本が多いと感じていて。
この本も然り、一発目だけでは拾いきれていない”何か”があるような気がしてなりません。

時間を置いて、繰り返し繰り返し味わって読んでいきたいものですね^^


本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
少し遅くなりましたが、今週も素敵な1週間を。




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