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『浦島太郎』~後編~


物語の一部始終を見ていた浦島太郎はひとり、しめしめと思いながら

二人を見守っていた。 

ある日、浦島が浜辺を歩いていると、

産卵して海へ帰ろうとする亀を見つけた。

浦島は、こんな機会を逃すものかと必死に亀にしがみついた。


何とか竜宮城へたどり着いた浦島は、目を疑った。

目をくらませるほど神々しい宝の数々。

浦島は、胸を躍らせた。

しかし、竜宮城の者は誰も浦島を歓迎しなかった。

浦島には見向きもせず自分たちの仕事を黙々と進めていた。

浦島もまた、そんなことには目もくれず目の前のお宝に

目を輝かせていた。

すると、そこにある姫君が現れた。

名は、甲姫(きのえひめ)​といった。

乙姫とは似ても似つかない横暴でとてもわがままな性格だった。

浦島が甲姫に話しかけると、

これまた二人は意気投合。

二人が城の食べ物やお宝を食らい尽くすのに一年もかからなかった。


そんなある日、浦島もあの男と同様に地上が気がかりになってきた。

そして、甲姫と地上に帰り、結婚することを決めた。

帰る際も、二人は抱えきれないほどのお宝を持っていこうとした。

皆一様にあきれた。

二人が海から帰ると、地上は50年以上のときを経ていた。

浦島と甲姫はそんなことには気づかず、持ち帰ったお宝の山に夢中だった。

お宝の山にひときわ光る玉手箱があった。

浦島と甲姫は、きっとすごい金目のものが入っているに違いないと思い、

わくわくしながら玉手箱を開けた。

すると、中からもくもくと白い煙が出てきた。

そして、二人の顔は見る見るうちに老いていった。

浦島は、甲姫の顔を、甲姫は、浦島の顔を見て驚愕した。

そして二人は初めて、今の地上が50年以上経っていることに気づいた。

それから、目の前にあったお宝の山が一瞬で消えてしまった。

二人は意気消沈し、しばらくの間途方に暮れていた。



これは、後日談ですがあの男と乙姫は後に、一匹の犬を飼うこととなった。

その犬は何とも不思議な犬で、

「ワン!ワン!」

と吠えたところを男が掘ると、大判小判がざっくざっくと出てきた。

またまたそれを見ていた浦島太郎。

その犬を勝手に連れ帰ってしまい甲姫とお宝がある場所を探すように

催促した。

しかしながら、その犬は浦島たちの言うことを聞くことはなかった。

そのことに激怒した浦島と甲姫は、犬に暴行を加え殺してしまった。


男と乙姫は、たいそう悲しんだ。


それからも、

犬の遺体を埋めたところから生えた木で作ったうすで、

もちをついていくとみるみるうちにうすのなかが沢山の米で溢れた。

二人はこれはきっとあの犬からの贈り物だととても喜んだ。


またまたまたまた、それを見ていた浦島夫婦。

今度はそのうすを盗んだ。

しかし、米があふれ出ることはなかった。

浦島は、額に青筋を浮かべ、うすを灰にしてしまった。

男と乙姫は、犬の形見といっても過言ではないうすを、灰にされてしまい

絶望していた。

しかし、残されたものが灰しかないものですから、

男は一粒も残さないように家に持って帰った。


家に帰ると男は、庭一面にまき散らした。

すると、なんということでしょう、

庭の枯れていた木などに灰がかぶるとみるみるうちに

桜の花が満開に咲き誇り、

まだ冬だというのに男と乙姫の家だけ春景色となりました。

それがたまたま通りかかったお殿様の目に留まり、

「これは、非常にめずらしい。どれ、そこの枯れ木にも

花を咲かせてみておくれ。」

と、男に言った。

男は木に登り枯れ木に灰をかけた。

これまた、うつくしい桜が満開に咲いた。

お殿様はたいへんお喜びになられて、男にたくさんの褒美を与えた。

またまたまたまたまた、それを見ていた浦島太郎。

今度こそと意気込み、お殿様の前に現れ、

「お殿様、わたくしはそこの男よりももっと美しい桜を

咲かすことができます。」

「ほう、では私にみせておくれ。」

浦島は、男の灰を横取りし、自慢げに木にふりかけた。

しかし、一向に桜が咲く気配もなく、投げられた灰は、

さらさらと地面に落ちていくだけだった。

浦島はやけになり、灰をすべてふりかけてしまいました。

するとその瞬間、運悪くも風がびゅっと吹き、お殿様の顔に灰が

降りかかってしまったではないか。

お殿様は、大激怒。

浦島は、地面に頭を擦り付けて謝ったが、

お殿様のお怒りは収まらずそのまま

牢屋に連れていかれたとか。。



あれ、、話のタイトルって『浦島太郎』だよな。

でも最後って、有名な昔話のあの話?


                    『浦島太郎?』~後編~ fin.


筆者より

いかがでしたでしょうか。

後編はなかなか話が長くなってしまいました。

タイトルに「?」がついていた意図をくみとっていただけることは、

できたでしょうか。

あれ、浦島太郎ってあの話のあいつだったの!!??

そんな驚きが、読んでいただいた皆さんに少しでもあれば幸いです。(*'▽')

ご感想、アドバイスのコメントお待ちしております。♪

                               林 林


                             








 




 







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