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解決策じゃなくても、希望も社会を一つにできるのだと感じた。

選挙が終わった。特にのめり込んで見る人がいなければ、「もぉ、うるさいな〜」くらいにしか思わないのに、注目している人がいるとこんなにも熱気のある二週間なのかと、驚きだった。

今回、香川1区の次に、日を追うごとに注目してしまったのが、岐阜5区・立憲民主党の今井るるさんだった(25歳)。地元の前市長や市議、大臣経験者(皆60代)の間に並んだ、20代・政治経験なしの候補者である。

いや、この2週間、日を追うごとに今井るるをひたすら追いかけてしまった。

最後は惜しくも大ベテラン議員に一歩及ばずだったが、20代だから、女性だから、下駄を履かせてもらって善戦できたと思っている人には、ぜひこの2本の動画を見てみてほしい。

▼活動総集ムービー的な。街頭演説をぜひ

(特に30秒から見てほしい!)

▼選挙中盤のローカルニュース動画

(1'12〜見てほしい!)

惜敗したものの、大物になる予感がするといろんなところで言われているが、25歳の初陣で、この該当演説と立ち居振る舞い、ホントに逸材だと思う。

選挙期間中、日に日にどんどん力強くなる今井さんを見て、最初、25歳は、さすがに若すぎるんじゃぁ・・・なんて思った自分を、少し恥じた。

とっさの受け答えが光る

街頭演説や有権者とのコミュニケーションは言わずもがなだけれども、2本目のニュース動画で、密かに必見だと思っているのが、当選10回のベテラン候補、古屋氏とのやりとりである。

他県の応援をする立場ながら、今井さんの追い上げ報道を受けて、急遽地元に個人演説をするために帰ってきた古屋さんが、噂の今井陣営の選挙カーと、道路ですれ違うところ。

自分は盤石と思っていた元大臣からしたら、ほぉこの小娘か、って感じで、古屋さん(69)が、自分の選挙カーに「止まって」と声をかけ、「おぉ〜がんばって。古屋ですよ。グータッチ〜」と車から今井陣営に挨拶をするんですね。

びっくりして出てきた今井さんは、「ありがとうございます!頑張ります!よろしくお願いします!」と体を二つ折りにして、ウサギのように、ぴょん、ぴょん、と頭を下げる。
(邪気がなくて、本当にカワイイ...どんな腹黒人間でも牙を抜かれそうなくらい)

そこに居合わせたテレビ記者に、「さっき、どう思った?」と、古屋氏の印象を聞かれたときの、とっさの答えが。、。、

「初めて対面したので、そうですね...(言葉を選びながら)すごい、さわやかな方でした。......よりさわやかに頑張ります〜!💪 」

わかりますか?この咄嗟の言葉の凄さ!

「すごく、爽やか」というワードチョイスがあっぱれな理由

映像を見ての通りですが、そのコミュニケーションに対して、「すごく、さわやか」て、あんまり出てこない言葉だと思うんですよ。古屋さんは、余裕を見せながらもなんか上からだと思うし、感じるものは「さわやかさ」というよりは、「老練さ」や、「貫禄」の方な気がする。

でも、25歳の新人(よく言えば「これから」、悪く言えば未熟)vsベテラン議員(よく言えば「頼りがいがある」、悪く言えばマンネリ)の構図で、相手の余裕とか力強さって、そのままに言葉にしたら、自分にないものを肯定し、それによって相手を際立たせてしまうことにもつながる。

そこで、るるさんが、瞬間的に選んだ言葉が、「さわやか」という、魔法の言葉。

69歳の相手にも25歳の自分にも言えるような形容詞を使い、重ねて「より爽やかになれるように、がんばりますーっ!(手を突き出してまたなんとも微笑ましいガッツポーズ)」とニコッとして、自然に流れを自分のほうに引き寄せ返すことができるのって、いやぁ本当にすごいセンスの塊だと思うんです。「優しかった」じゃ、より優しくとは、言えないし。

そういう偶然の出来事とか、記者の一瞬の問いかけからも、流れをちゃんと自分側に引き寄せることの重要性を本能的にわかっている、天性の感覚。

流れを引き寄せて勝つんだというガッツを胸に秘めているからこその、機転。

「相手に敬意を見せながら、飲まれず最後は自分にもう一度引き戻す構文」って、すごい難しいのに〜〜〜!

深夜まで結果のわからない大接戦

選挙の結果は、結果が明確な地域ほど、すぐに速報が出る。でも岐阜5区は、8時、9時、10時、10時半をすぎても、まだ結果が出ない残り少ない地区だった。

11時をまわり、ようやく、古屋候補に静かに当確がでた。そんな深夜にもつれ込んだのなんて、本当に接戦で、最後までわからなかった小選挙区だけだ。

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25歳の初出馬で!世襲じゃなくて!25歳の女性が、保守の強い岐阜で!!!自分以外全員69、68、61歳の元市議・市長・大臣の間で!!!!

これをあっぱれと言わないでなんと言う。

敗戦のニュースには、ちょっとだけ、「今井さんの言っていることは、どれもいいことだった。でも、どうやって実現するのか見えなかった」「もっと政策語れないとね」みたいなコメントがあった。(とはいえSNSの98%はポジコメ尽くしだった)

たしかに、日々彼女のTwitter上でシェアされる選挙演説で見ている限りは、彼女はあまり政策そのものは語らなかった、ように見えた。

でも、それが敗因だとは思わない。

むしろ、演説は、最大の強みだった。

実際私も、25歳、女性、地元出身、非世襲という属性で彼女を応援し出したのではなく、SNSで演説を見て俄然惹かれてしまった人間だし、演説に感動した、という声は、ネットでたくさん見かけた。


政策を語るだけが演説じゃなくて、誰が、どんな想いで、どんな理由やきっかけで、何をする、がスピーチ。

今の国会に20代の政治家はいない、女性の議員もまだまだ少ない
←→「今井るるという25歳の女性が、これまで代弁者のいなかった声を届けに、国会にいく」
政治なんて関係ないよ、という人たちに向けて
←→「いつか誰かがなんとかしてくれるではなく、私たち一人一人が立ち上がらなければならない。一緒に、『自分たちで』未来を作っていこう。投票に行こう」
「25歳の小娘に何ができるのか」と言われたこともある。「この地域はもうだめだ。政治になんて関わらない方がいいよ」と言われたこともある。
←
→でも、私は諦めたくない



そこにはいつも、心を掴む一行(問題提起)があって、それに対して、「今井るるを選ぶ」アクションの先の「期待感・可能性」が、しっかりつながって見えた。

25歳が政策を詳しく語る戦い方よりも、現状との対比でWHY ME、自分が既存の政治家とどう違うのか、を最前線に打ち出して、大きな変化のための小さな一歩はまず国会に行くこと──と選挙のゴールをシンプルに打ち出した戦い方は、大成功だったのではないか。

新しい選挙の形を見た気がした

これまで、政治って、どうしようもない世襲議員か、もしくは稀有な志と能力を備えたすごい大人(田村智子さんにしろ、小川淳也さんにしろ、50代)が社会を助けるようなもののどちらか、のように思っていた。

でも今回るるさんの周りに広がる人の輪や言葉を見て、自分のドキドキも含めて、「希望を与えること」って、こんなにも社会を一つにできるんだな、と思った。

いや、素晴らしい選挙活動だった〜!!!今井さんの今後に期待。


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