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もとはといえば。ここからはじまった。

阿久根で「濃いえのき」を作っている三笠えのきの松崎さんに木を分けていただいた。商品のネーミングもさることながら、インパクトのある松崎さん。そして目が印象的だった。その松崎さんのつくるえのきは、炒めても炒めてもシャキシャキ感が残る、そしてなめこのようにえのきの頭部分は粘着力があり、一度口にしたら市販のえのきは物足りなく、あまり買わなくなった。えのきは主役になることができると知った。

その松崎さんが、薪用に保管していた木を分けていただいた。原木椎茸の植え付け用にくぬぎを使うと聞いていたので、てっきりくぬぎだとこの時点では思っているわたし。

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そして、阿久根内の中村木材店に持っていき、厚さ8センチほどにスライスしてもらい。。。

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皮を丁寧にはぎ。。。

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と半分皮をむいたところで、もう半分はうまく皮がはがれなかった。木の個体差なのか。自分の手では手におえず、大野組のおとうさんに助けを求めた。のみですこし削りつつ、電動のやすりで細かい部分は削ってゆく。

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この硬い木はかしだね〜とおとうさん(なんと90歳)。くぬぎじゃなかったらしい。

木のことを つとつとと話してくれた。木が土の水分や養分を吸う夏場に木を切ると、皮がはぎやすい。皮の内側にその養分たちの通り道があるから、切った後もそこに隙間ができはぎやすいのだとか。でもその分虫がつきやすい。木に美味しい養分が残っていることを知っているのだ。

そして年輪の中心が、少し中心からずれている。これは、年輪の間隔が広い方が日当たりが良く、枝振りがよかったからその分、いっぱい養分も水分も吸い、成長するからなんだって。でも、年輪の間隔の狭い方が、木材としては強いのだそう。日当たりよくなくても、ちょっとづつ成長を続けた木の方が強い。なんだか人と似ていると思った。

木材として屋久杉が高い理由。航空部隊だったときのはなし。大工の仕事をで阿久根内の新築をいっぱい建てたこと。

おとうさんの歩んできた人生を、おとうさんの見てきた景色を、おとうさんの知恵を忘れてしまいたくなくて、すぐにnoteに書き記した。

もとはといえば、えのきの松崎さんの木から、多くの人の手を渡って、ここまできた。この平になった木は、近々発表するわたしのカフェでプレートとして使う予定だ。これにケーキをのせたり、ちょっとした焼き菓子をのせたり。

ひとつひとつ使う物に、そこにいた人の思い出が宿り、景色ができあがっていく。阿久根がすこしずつ「わたしの町」になってゆく。

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