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次の時代

2019/10/17

モノがお金で買える時代は終わった。
お金さえあれば何でも買うことの出来た時代、人は1日の多くの時間を「仕事」と呼ばれるものに費やしていたという。
驚くことに、朝9時から夜9時頃まで雑居ビルの湿った個室の中で過ごし、日光を浴びることもなく臭いのこもった地下鉄に揺られながら通勤することに何の疑問も感じなかったそうだ。
時間を犠牲に手に入れたお金で余暇を買うことに余念がなく、お金こそ至上、高級なモノほど価値が高いと思い込んでいた。
だからだろうか、今でも百貨店にはその名残がある。
その頃は高学歴ほど高級取りになれる可能性が高かったため、当時の人間は「勉強」という名の暗記ゲームに明け暮れていたという。
結果的に、暗記ゲームが得意な画一的な人材ばかりが育成され創造性を失った日本は瞬く間に衰退していった。
ずいぶん前におばあちゃんから聞いた話だが、今の日本からは想像することも出来ない。
今はお金以外にもモノを手に入れる方法がたくさんある。
信頼ポイントやシェアアプリ、交換コードなど昔からあるものを含めると数え切れない。
学歴が高い人ほど価値が高いわけでもない。今と昔とでは入学試験の方法もずいぶんと異なる。
この数十年の間で日本が世界中の多くの国に遅れをとってしまったことは間違いないが、それでも私は今の日本のほうが好きだ。
自分の力で生きているという実感を持つことが出来るし、生きることが大変なのは今も昔も変わらないかもしれないけれど、毎日が嘘偽りなく楽しいからだ。

#物語 #20191017