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良い写真を撮りたい人に伝えたい条件。

こんばんは。こやまです。

先日、友人に勧めてもらったスーザン•ソンタグ著の『写真論』を読みました。

なぜ急に、読みたいと思ったのか。写真を勉強したい、知りたいと思ったのか。

私は今まで『好き』という気持ちだけで、写真を撮ってきました。

本当に、それだけでここまで来てしまった。

人間の生きている時間は、せいぜい80年ほど。毎年咲く桜の木だって、健康なうちに見ることができるのは、あと何年だろうか。家族とは、あと何年だろうか過ごせるだろうか。祖父母にはあと何回会えるのだろうか。

そんな、自分の人生の短さと、人の命の儚さを感じながら生きてきました。

そんな人生のひと時を一緒に過ごしてくれる人たちとの素晴らしい思い出を残したくて、ポートレートを撮り始めました。

初めてポートレートを撮った時、私は本当に下手でした。それは技術的なことではなく、『会話がままならない』という人として致命的なことでした。緊張しすぎて、何を話したらいいかわからない。もちろん写真は、何枚も撮ったにも関わらず心に響くものはありませんでした。

ポートレートが苦手だ、とひたすら自分の欠点を探す日々。

そんな中で、私はある1人のモデルさんに出会いました。

彼女を見た瞬間に引き込まれました。

それは容姿だけでなく、不思議と彼女を見た瞬間、直感で『この子の魂は、なんて美しいんだろう』と思ったのです。

普通、そんなものは見えませんし、感じないものだと思います。

勇気を出して、撮影をしたいと申し込んだところ彼女も承諾してくれました。

私は撮影までの何日も前から準備をしました。その子を撮るための場所、当日を想定したテストのために現地へ行って時間配分の確認、どんなものを使ったらいいかなどたくさんのことを考えました。

当日、その子に使ってもらうために『青い薔薇』を買うために何駅も電車を乗り継ぎました。

彼女は私のよりもずっと若く、可能性に満ち溢れている。それがすごく嬉しかった。

その一番大切な時間をもらって、撮らせてもらえることが幸せだった。

当日、私はとても緊張していたけど『青い薔薇』を選んだ理由を一生懸命、彼女に伝えました。

そして撮影に入ると、スイッチが入ったかのように彼女が走り出しました。

踊るように、歌うように。

目の前で繰り広げられる光景は本当に美しく、呼吸をするのを忘れてシャッターを切りました。

シャッターを切っている時は、本当に幸せな気持ちでした。

きっとその幸福感は、私の思いを『彼女が汲み取ってくれたから』だ、そんな風に感じました。

あの時を振り返ると、『鏡のように、私の思いを反射してくれたのかな』と感じます。

もし、良い写真を撮る条件に『人の感情』というものが左右されるなら。

私が見つけた答えは、『その人を、許容する、受け入れる』ということが一番大切なことなのではないかと思います。

撮影者も被写体の心を通わせることができれば、写真はいくらでも変わる、良くなっていく。


何気ない家族写真が良いと思う理由も、今までは明確にはわからなかった。

でも今ならわかります。『愛おしくてたまらない』という感情で撮った写真は、本当に伝わるのだと。

写真を上手に撮ることは、勉強すればできるかもしれません。

でも、良い写真だと自分が満足できる写真を撮るためには、いろんな人と話して、どんな人かを知って、その人のことを好きになる、愛すること。

愛おしく思うことが、良い写真へ繋がるのかなと思います。

撮影者も、被写体も、『相手を許容し、受け入れること』、心を通わせた写真こそ、きっと素敵な作品になるのだと感じました。


写真は、嘘偽りなく、映ったものが全てだと思います。でもそれが、鑑賞者に対して『伝わるのか』『ただ美しいだけなのか』が大きな差を生むことになる、そう感じます。


きっと、そこにたどり着くことは本当に難しい。

でも、私が次に目指すべきところはそこにあると思います。

これからも、いろんな人に会って、いろんな話がしたい。まだまだ未熟者ですが、成長を見守っていただけたら嬉しいです。

読んでくださりありがとうございました。

りんこ





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