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百合姫読切感想・考察集⑩「二等辺三角関係」

※ヘッダー画像は「みんなのフォトギャラリー」から「hosiart」さんの画像を使わせていただきました。ありがとうございました。


久しぶりに執筆する。

 まぁ元来飽き性の自分のことであるから、どこかでこうなることはnoteを始める時から予想出来た…というのはいかんせん言い訳が過ぎるだろうか。

 せめて自分の中で決めた間隔で執筆していければいいのだが、特に誰が見ているわけでもないので、書きたいときに書く、という形で今後もやっていくのだろう。

というわけで、今回はコミック百合姫2022年1月号の読切から、しろし先生の『二等辺三角関係』の感想を書いていきたいと思う。毎回長く書いても続かなくなりそうなので、短めに書ければいいな…。

・3人のキャラクターに難あり?

 まず何といっても小雪のキャラクターに難がありすぎる。雨宮と「転校生」のペアを作るための措置だとしても、全編通した「性格の悪さ」が露骨に出すぎているのではないか。

 小雪の性格という部分はある種物語の根幹部分を作る要素である。つまり、どうしてこの2人はこんな人(というと語弊があるが)のことを好きになったのか、と疑問を呈さずにはいられなくなる、ということだ。

 「転校生」に関しては、まだ付き合って日が浅いことや、一目惚れという点を考慮すれば分からなくもない。しかし、付き合いの長い雨宮についてはどうだろうか。

 「転校生」が落とした500円玉を「懐に入れようとした」と咎めるような感想を抱いたり、小学生の際に漫画を借りパクされたことや、全然話を聞いていないことにツッコむ点など、悪い部分にはしっかり言及している。それを含めて雨宮が小雪のことを好きだというのであれば、それは幼馴染であること以上の「何か」がなければ自然ではないと思う。しかしそのあたりが本作では言及されていないため、どうしても読み手に不信感を与えてしまう。

 端的に言ってしまえば、登場人物全員に対して魅力を感じにくいのである。3人とも欠点ばかりが目立ち、その欠点を解消しないどころか肯定的に捉えることが物語の前提みたいになっているのだから、読んでいてどうしても「なんで?」という感情の方が先に到来してしまうのだ。言い方は悪いが、3人ともバカっぽく見えてしまい、あまり百合という本質を感じにくかったというのが本音である。

 もっとも、小雪と言うキャラについては、その「(よく言えば)マイペースさ」は十二分に描写されていると言えよう。遊園地に行くことを断るラインについても、2人に送るのが筋だろうに、何故か後から誘った雨宮のみに送っている所や、本作の展開が殆ど小雪がその場にいなくても進行していた所など、とにかく好感を持ちにくく描かれている。それは狙い通りなのかもしれないが、3人全員がこれだとなぁ…という感じである。

・展開の強弱と「ターニングポイント」の有無

 作中の描き込みについてもどうなのだろうか、という部分がある。例えば小雪が尊敬している中学時代の先輩と共にいた女性は、いかにもその先輩に気があるような感を出しているが、果たして必要なのだろうか。この女性を登場させることで、小雪のマイペースさを引き立たせるという効果があるように思えるが、このシーンはそもそも別の対比が成り立っている。つまり、先述のようにマイペースで天然で、最後には約束を上書きしてしまう小雪と、「あんまり相手できない」「他の予定とかいいの?」と気遣いや確認の出来る先輩という、ボーイッシュで人気の出そうな、同じような見た目をしながらも性格は正反対な2人の対比である。そこに態々もう一人登場人物を追加するのは蛇足ではないだろうか。

 また、展開についても淡々と始まり淡々と終わった、という感じが否めない。終わり方については特に「これで終わりか」と思った人も多いのではないだろうか。終始目玉になるコマが無く、展開の強弱や「ここが大事!」という部分が感じにくかった。もっとも、こういった作中の最初から「好き」の方向が決まっている作品だと、登場人物の感情の「ターニングポイント」が付けにくかったり、放課後のひと時という短い時間の中では展開の強弱をつけることも難しい。強いて言えば、小雪が先輩の元に逢いに行くシーンが場面転換の部分なのだろうが、小雪の「マイペースさ」が良く描写出来ていることで、逆に小雪の行動が「ターニングポイント」と認識しにくいという反作用を及ぼしてしまっているように感じた。

・終わりに

 久しぶりに読切作品の感想を書いたが、なんというか、結構批判的になってしまった。勿論作者様の想いや表現を捉えきれていない所はあるだろうし、「その指摘はあたらないだろう」と思う人もいるだろう。

 まぁ、その辺は個々人の感想と言うことで勘弁していただきたい。そもそもこんな駄文見てる人もそうそうおらんし大丈夫やろ(適当)

 というわけで、ここまで読んでいただいてありがとうございました。


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