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女風体験(20)〜家出とお泊まり 後編〜

「んん…」

タツキさんが体を洗ってくれている。
洗面器たっぷりに、特製の泡withローションを作ってくれた。
ふわふわと体にまぶされるとちょっとくすぐったくて、ショートケーキになった気分だ。

「汗、たくさんかいちゃいましたね…」
「はい…お風呂入る前だったのに…」
「りんさん反応良すぎて…
 いつもつい責めすぎちゃう…」
「…んんっ…」

向かい合ってキスをしながら
両方の乳首を泡でやわやわとこすられる。

「ふぅん…っ」

甘い声が漏れてしまう。
そして右手が泡を広げながらゆっくりと足の間に向かう。

「あぅんっ…」

ローションなのかなんなのかもうわからないけれど、ぬるぬるぬるぬるなぞられるうちにまたあっという間に昂まってしまう。

「ああああっ!」

浴室に自分の高い声が響く。
崩れ落ちそうになるのをタツキさんが抱き止めてくれる。
その肩にしがみついて、びくんびくんと痙攣する波をやり過ごそうと必死になる。
抱き合ったまま、温かいシャワーで泡を流してくれるタツキさん。

「先にお湯、つかって休んでてください」

まだ足がガクガクしている私が転ばないように手を貸してくれて、湯船に浸かるのを助けてくれる。

ああ…幸せ…!

温かいお湯の中でじんわりと幸せが浸透してくるのを噛み締める。

好きな人が、
求めるだけ応えてくれて、
求めて欲しい以上に求めてくれる。
女としてこれ以上の幸せがあるだろうか。

頭を洗っているのを初めて見た。
軽くパーマがかかっている髪がくるくると艶やかに濡れている。
ふと手を伸ばしてなでなでしてしまう。

「流してもいいですか…?」
「いいんですか?
 ありがとうございます!」

しゃわしゃわしゃわしゃわ…
柔らかい髪…
わんちゃんみたい。
んーーーっ幸せっ!

「洗ってもらうの
 気持ちいいですね!」
「あっ…よかった…です…」

最後に髪をオールバックにしてにこっと振り返ったタツキさんに、また射抜かれてしまって口ごもる。

タツキさんに後ろから抱えられながらお湯に浸かるの、大好き。
でももう知ってるの私。
この体勢がめちゃくちゃキケンってこと。

「あああああんっ…!」

案の定、乳首と耳とお腹のセットで
責め続けられる。
両足は外側から足をかけられて固定されている。
少しずつ色を変える浴槽内の照明に、自分がまるで鮎のように身をよじり、暴れ、抵抗して、諦めて、最後には脱力してゆらゆらと浮遊する様が、何度も何度も浮かび上がる。
5回目にお腹を押さえられそうになった時、我慢できずにその右手首をつかまえた。

「ん?」

不思議そうなタツキさんの声をスルーして、そのまま右手を足の間まで引っ張る。

「タツキさん、挿れて…」

そのまま中指を中に誘導する。

「痛くない…?」
「痛くない…たくさん、濡れてるから…」

安心したように一斉に動き出す指。
上半身をよじってキスをする。

「はっ…はぁあっ!
 んんんっ!
 んんんーーーっ!!」

❀❀❀

「全然変わんないですね!きれい!」
「えっそんなことないですよっ
 あんまり見ないで…っ」

両頬を手で覆う。
すっぴんを見られるなんて想定してなかった…。

濡れた髪で白いバスローブをまとって並んで歯を磨いている光景が
なんだか夢のようだった。

一緒にベッドに入る。

「あれ?どうやって電気消すんだろ」
「これかな?」
「普段どうやって寝てます?」
「私、真っ暗にしてます。
 あ、真っ暗、怖かったりします?」
「いやそれはないですっ…笑
 あ、でも、ラブホで1人で真っ暗は
 怖いかも!」
「えーじゃあちょっとつけてても
 いいですよ?」
「いや大丈夫ですっ!1人じゃないし!」

あんなに意地悪なのに、
かわいいんだよなぁ…。
腕枕してくれる。

「変わったシチュエーションでのプレイ
 とかあります?」
「あ、私いろいろあるかもっ!
 公園とか車とかはもちろんだけど」
「もちろん笑」
「海の中とか、夜に大学忍び込んで
 教室でとか、会社の階段でとか笑」
「わーっすごい!攻めてますねっ!」
「タツキさんはないの?」
「ぼく、あるかなぁ…バイト先の
 居酒屋の個室とか、夏期講習の1番
 後ろの席とか笑」
「あるじゃないですか充分っ!」
「はははっ!」

初体験の話とか、どんなとこで1人でしたことあるかとか、暗闇の中でめちゃくちゃ盛り上がって涙が出るほど笑い合って、
その度にキスを交わして。

「あ、あと私、
 ヨーロッパに1人で行った時ね、
 長距離フライトって
 夜暗くなるじゃないですか。
 で、隣の人いなかったし、
 1人でしちゃったことあります笑」
「えーっ!?だって暗くたって
 バレちゃわないですか?」
「毛布かぶってたから
 わからないかなって」
「へえ…毛布かぶってたから、ね…」
「あっ…!」

タツキさんの手がお布団の中を進んで、
ゆっくり私の中に入ってくる。

「…りんさん、ほんと、いつもすぐ…」
「言わないでっ…」
「ぼくも嬉しいんですよ…」

首筋を舌がなぞり、乳首を吸われ…
やがてぴちゃぴちゃと舐める音が下から聞こえてくる。 

「あああっ…ん!」

視界が効かない暗闇の中、
研ぎ澄まされた感覚は、
小さな吐息がふりかかるのも、乾ききっていない髪がひんやり通り過ぎるのも、鼻先がふと突起を掠めるのも、全てを大きな波に変えてしまう。

「ああっ!んああっ!
 もうっ…あああああっ!!」

弓なりに強張って脱力すると、
するするとバスローブを脱がされる。
いつの間にかその紐で、手首を後ろに纏められてしまっていた。

「タ…っ…タツキさんっ!
 もうっ寝ないと!」
「寝ないとですね…明日りんさん
 朝からお仕事でしょ?」
「そ…だからっ…ああっ!」

腰を持ち上げられて、顔を枕に付けたまま四つん這いの状態にさせられる。
両手首は後ろ手に縛られたまま。

言ってることとやってること
違いすぎないっ!?

「あああっ!」

ずぶりと三本の指が入ってくる。
後ろから、奥へ奥へ押し込むように。
奥へ、奥へ……

「あああっ!タツキさんっ!
 も…許してっ!」
「んんん?」
「も、うっ…ムリっ!」
「ムリかなー?」

必死の訴えをかるーく受け流すタツキさんが憎らしくて、体の奥が熱くなる。

「はあっ…はあああっ!
 も…ムリったらぁあああっ!!!」

ぐったりしている私の手首の紐をほどいてくれる。
そしてまた、長い長いキス…。
ふと手の平がタツキさんのものに当たる。
びくん!
びくん!
と左右に揺れるそれは、
先がぬるぬると濡れていた。

えっ…
タツキさん、どきどきしてくれてるの?

かぁっと体が熱くなる。
キスをそっと振り解くと、
一気にそれを口に含んだ。
口の中でも硬くなったそれが踊るのがわかる。
めちゃくちゃ愛しいっ!

「ちょっ…りんさん!
 もう寝ないと…!」
「…何言ってるんですかっ笑」 
「はあっ…」

タツキさんはあっという間に果てた。
そしてまた私はそれを飲んでしまった。
自分の体内にタツキさんの一部が入って来て同化するのが幸せだった。

「もうっ…りんさん…
 だめでしょ?」
「…イヤでした…?」
「気持ちよかったですけど…
 めちゃくちゃ…」

照れ隠しに笑うタツキさん。
しょうがないなぁって顔をしたくせに、
また、覆い被さって来て…

いやもうほんとに。
限界でしょ…。

結局この後さらに6回の絶頂を味わい、
心身共にくたくたになってタツキさんに身を寄せた。

「おやすみなさい」
「おやすみなさい」

これ、言い合える幸せ…!
うっとりして目をつぶる…。

が!!!

最高にロマンチックな中で聞こえて来たのはまさかのタツキさんのいびきだった!

「私いびきかいちゃったらごめんなさい」
「いや、ぼくもかくんで」
「いやいやいや…イメージ無いですよ
 全く!」
「いやーなんなら結構大きいかも笑」
「ええー?そうなんですかぁ?笑」

なんて、またまたぁ!みたいな会話を確かにしたけれども。
まさかこんな大きないびきをかくとはっ!
こんなアイドルみたいな顔でっ!
天使みたいな寝顔なのにっ!

…全く寝れない…。
おやすみって言ったのが既に午前6時。
起きるのは8時10分。
うーん…ま、いっか。
起きてりゃいいんだもんね。
1日くらい徹夜しても大丈夫。
それより貴重なタツキさんの寝顔&いびきを味わお!

とか思っちゃえるほど私はこの人にハマってるんだなーやばっ!

いろいろ考えていたらぎゅっと手を握られてびっくりした。
すりすりすりすりずっとしてくれる。
…いびきかきながら笑

いやまじで好き。

頭をなでなでしながら寝顔をじっくり堪能させてもらう。
いびきが止まったのは結局7時過ぎだった。
だから1時間くらいは私も寝たのかな…。

目覚ましで起きてそっと布団を出る。
振り返ると、タツキさんが、
うーんと言いながら頭までお布団をかぶる。
まだ眠いよね。
寝かせてあげよ。
かわいすぎて襲いたくなる気持ちを抑えて熱いシャワーを浴びる。
メイクして髪をセットして、
メロンパンとヨーグルトの朝ごはんを済ませて、どうしよっかな…着替え…ちゃわないでもう一回お布団にそーっと潜り込んじゃお…

ガバっ!

「んんっ!?」

タツキさんに襲われた!
いきなりキスで口を塞いで覆い被さってくる。

寝たふりだったのっ!?

「おはようりんさん!」
「んっ…おは、よ、タツキ…さんっ」
「したくなっちゃいました!」
「んんんんっ」

なあにこの幸せ!?
お泊まり最高かよっ!

全部剥ぎ取られて朝日の差し込む中
何回も何回も何回も何回も…

「ねっ…もうっ会社遅れちゃうよっ」
「んーーじゃあもう一回だけっ!」
「わっ!…んんっ!」

朝の歌舞伎町。
まだ閑散とした寝ぼけたような街を手を繋いで歩く。
タツキさんはタクシー乗り場まで送ってくれた。
ありったけの想いを込めてハグをする。

「タツキさん、ありがとう…!」
「ぼくこそありがとうございます!
 りんさんお仕事がんばって
 くださいね!」

窓を開けて、手を振り合いながら別れた。
昨日の夜のどろどろとした悲しみは全部どこかに行ってしまっていた。
久々に朝帰りの眠い背徳感を味わいながら仕事をして、一日中めちゃくちゃ辛かったけれどめちゃくちゃ幸せだった。

タツキさんは、そしてタツキさんとの一夜は、絶望と悲しみの砂漠の中で出会ったオアシスのような存在だった。
タツキさんのおかげで砂嵐が止んだ。
視界が晴れて、帰るべき場所が見える。
感謝でいっぱいだった。
ありがとうタツキさん。
本当にいつもいつも、支えてもらっているよ。怖いくらいに…。

一緒にいたのは9時間。
睡眠時間(私は)1時間。
イった回数…25回。

…ああもうっ!
タツキさん、大好きっ!!

ちなみに。
アラーム兼睡眠アプリの録音機能に入っていたのは、タツキさんの大きないびき…ではなくて、
その前に2人で盛り上がった会話と延々続く喘ぎ声だったっていう、思わぬサプライズ…。
2人でそれを聞いて、照れながら笑い合った記憶も一緒に、大事にするんだ。

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