【HSBG】薬剤師+死霊祭司のコンボについての解説と考察

全国一億人のバトグラプレイヤーの皆さん、こんにちは。rinkと申します。


突然ですが皆さん、不正受給、してますか?

してる? 結構。してない? 勿体無い。やり方が分からない? この記事を読めばバッチリです。

……この記事に「ハースストーン」のタグが付いていなかったら通報されそうですね。

今回は、2022/6/28アプデ以降、バトグラで猛威を振るっている「妙ちくりんな薬剤師」+「死霊祭司」によるコンボ、通称「不正受給」について、内部仕様の考察を含めた詳細な解説をしていきたいと思います。

「使ってはいるけど、イマイチ理屈が分かっていない」という方々の参考にもなると思います。

はじめに:不正受給コンボとは?

骨を埋めうんたらかんたら

☆4「死霊祭司」は、「血の宝石」を付与されているミニオンから「血の宝石」を抽出し、別のミニオンに移し替える雄叫び能力を持ちます。

その際、通常の挙動であれば、「血の宝石」を奪われたミニオンのスタッツは、奪われた「血の宝石」の個数分マイナスされます。

例:11/11 血の宝石×8の状態の☆3「ブリストルバックの無頼漢」から血の宝石を抽出→3/3に戻る

ところが、「血の宝石」を付与されているミニオンに☆2「妙ちくりんな薬剤師」(以下「薬剤師」)の効果を適用し、その後「死霊祭司」で血の宝石を別のミニオンに移し替えると、血の宝石を抽出されたミニオンのスタッツが減ることなく、そのまま保持されます。

さぁ〜〜〜おいしいなんたらかんたら

例:11/11 血の宝石×8の状態の☆3「ブリストルバックの無頼漢」に薬剤師の雄叫び適用後、血の宝石を抽出→11/11のまま

結果的に、ボード全体の収支として見ると、薬剤師の効果を適用したミニオンに付与されていた血の宝石分のバフを丸ごと獲得していることになります(血の宝石がx個なら、+x/+x)。血の宝石の量にもよりますが、これは4Gを消費して行う即時バフの量としては破格中の破格です。

その挙動がグリッチじみていること、またあたかも血の宝石のバフをタダで繰り返し得ているように見えることから、このコンボは通称「不正受給」と呼ばれ、広く普及しています。シーズン7現在のキルボア種族の強さの一因でもあります。

「不正受給」の仕組み

さて、このコンボはどのような理屈で成立しているのでしょうか? この挙動の原因は、HSにおけるミニオンのスタッツを変更する仕組みにあります。

ミニオンのスタッツを変更する方法の違い

HSにおいて、ミニオンのスタッツを変更する方法には、以下の二種類のパターンが存在します。

  1. ミニオンのスタッツに補正を付与する

  2. ミニオンのスタッツを一定の値に変更する

ほぼ全てのバフ効果は、1に当たります。例えば☆2「ナスレズィムの監督者」は、悪魔に対して「+2/+2」の補正を与えます。

ご満足いただけない人

2の例として、代表的なものは☆6「ウーサー・ザ・ライトブリンガー」です。

ウーサーならどうする

ウーサーは、雄叫び対象のミニオンに補正を与えるのではなく、そのスタッツそのものを「15」に変更します。

具体的には、☆5「バロン・リーヴェンデア」にウーサーの効果を適用した場合、「+14/+8の補正」ではなく、「スタッツを15/15にする」という内部処理がなされています。

スコ-ジガキサマヲホロボスデアロウ

他には、ヒーロー「ヴォルジン」「ザイレラ」のヒーローパワーも、この「スタッツの直接変更」にあたります。

入れ替え効果の処理

では「スタッツを入れ替える」という効果は、1と2どちらに分類されるでしょうか?

答えは2です。

薬剤師の雄叫び効果は、正確には次のように処理されています。

「雄叫び発動時の対象ミニオンのスタッツA/Bを参照し、対象ミニオンのスタッツをB/Aに変更する」

このことを念頭に、実際に「不正受給」コンボではどのような処理がなされているのか、ミニオンに対するバフの記録(以下「レシート」)に着目して、確認してみましょう。

「不正受給」中の挙動

今回は例として、☆1「マイクロマミー」(スタッツ1/2)に、血の宝石を4つ入れたものから、不正受給をする際の挙動を見てみます。

ンオ-ン

まず、血の宝石を入れた状態のマイクロマミーのレシートはこのようになります。

血の宝石:補正+4/+4

この時点でのスタッツは5/6です。ここに、薬剤師の効果を適用します。スタッツは6/5になりますね。

血の宝石:補正+4/+4→入れ替え:スタッツ変更6/5

今回は分かりやすいように、ここにさらに血の宝石を2つ入れてみます。スタッツは8/7まで伸びます。

血の宝石:補正+4/+4→入れ替え:スタッツ変更6/5→血の宝石:補正+2/+2

ここから、死霊祭司の効果で血の宝石を抽出します。死霊祭司によって血の宝石を抽出されると、レシートから血の宝石による補正が全て失われます。

つまり、抽出後のレシートはこのようになります。

入れ替え:スタッツ変更6/5

さて、マイクロマミーのスタッツはどうなるでしょうか?

確かに、血の宝石によるバフは全て取り除かれています。しかし、薬剤師によるスタッツ変更効果はそのまま残っています。死霊祭司の能力でスタッツ補正が失われても、雄叫び発動時に確定している薬剤師のスタッツ変更効果の数値に干渉することはないからです。

よって、このレシートを処理した場合、マイクロマミーのスタッツは【6/5】となります。しかし、血の宝石はちゃんと6個分抽出することができます。

以上が「不正受給」の仕組みです。この挙動はよく「スタッツの固定」と呼ばれますが、正確に言うとスタッツ自体を固定しているわけではなく、「バフ効果の変数にスタッツの数値を当てはめることで保存する」という行為をしているのです。

トリプルをした際の挙動について

この「スタッツの保存」ですが、ある特定のタイミングで失われてしまうことが分かっています。それは「スタッツ入れ替えを適用したミニオンをトリプルした場合」です。この原因も、HSの処理の仕様を理解すれば理由がはっきり分かります。

ミニオンをトリプルした際、ゴールデンミニオンのスタッツはトリプルの元となるミニオンに適用されているバフを合算して計算されます。

しかし、例えばトリプルするミニオンにそれぞれ下のようなバフが適用されている場合、一体どのような順番でバフを計算するのか判断がつきません。

バロンA…ウーサー:スタッツ変更15/15→マミー:補正+1/+0
バロンB…血の宝石:補正+2/+2→ウーサー:スタッツ変更15/15
バロンC…ザイレラ:スタッツ変更2/2

この問題に対してHSでは、トリプルによって生成されたゴールデンミニオンに対するバフは、元となったミニオンの、本来のスタッツとの差を「補正」と見なして合算し、「補正」として付与する、という処理をすることで解決しています。

つまり、上記の例の場合、このような処理がなされます。

バロンA:スタッツ16/15▶+15/+8補正
バロンB:スタッツ15/15▶+14/+8補正
バロンC:スタッツ2/2▶+1/-5補正
金バロン:元スタッツ2/14に+30/+11補正▷スタッツ32/25

重要なのは、ゴールデンミニオンのレシートは元のミニオンのものを全て引き継いでいるが、元のミニオンでは「スタッツ変更」として処理されていたものが、ゴールデンミニオンでは「スタッツ補正」として処理されている、ということです。

この金バロンから、死霊祭司で血の宝石を抽出すると、レシートから「血の宝石」の部分が取り除かれます。同時に、ゴールデンミニオンにかかっている補正が-2/-2されるため、補正が+28/+9となり、スタッツが減少します。

「不正受給」は本当に「不正」なのか?

さて、このコンボは果たして「バグ」なのでしょうか? 答えは「NO」です。

「不正受給」という字面の印象から、この挙動をグリッチ利用だと思い込んでいる方々も多いかと思います。しかし、この挙動は王道HSでも確認されている、れっきとしたハースストーンの「仕様」です。

同様に、トリプルを挟んだ場合の挙動を「バグ」と表現しているプレイヤーも散見されますが、こちらも前述の通り、仕様を忠実になぞっていることが分かります。

類似の事例として、同シーズンに確認された「超電磁による一時的バフの永続化」が挙げられますが、「超電磁」によるスタッツ変更はあくまで「超電磁ミニオンのスタッツ分の補正」であるはずなので、こちらは明確なバグにあたります。

また、このコンボが強力すぎるとして修正されるとしても、仕様変更が非常に困難であるため、当分の間このコンボは存在し続けると思われます。

そもそもこの挙動は、薬剤師が実装されるはるか以前からヒーロー「ヴォルジン」において確認されており、現在に至るまで仕様の変更がなされていないため、開発側も意図した挙動であると思われます。(ブリザードがそこまで考えてるわけないだろ)

プレミ量産ヒーロー

つまり「不正受給」は、ゲーム上不正でも何でもないということです。ブリザードからのお小遣いだと思って、貰えるもんは貰っときましょう。

というわけで皆様、今後もより良い不正受給ライフを。薬剤師は退場してもいいですよ。

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