凛子

流れ去ってしまいそうなことを静かに残すnote。 好きなものは、お茶、読書、洋楽、英語…

凛子

流れ去ってしまいそうなことを静かに残すnote。 好きなものは、お茶、読書、洋楽、英語、PC、自分を癒すモノ。 ひきこもり属性、うつ病/発達障害でHSP気質。 感性の似通った人と繋がれるといいなぁと書いたり読んだりしてます。

マガジン

  • 低空飛行note

    • 98本

    ひきこもり・メンタル系の当事者会〈低空飛行net〉から生まれた書きものサークルです。表現したい、発信したい、そんな何かを載せられるnote。物好きなメンバーが気の向くままに更新中。

  • エッセイになりたい

    何やら思うことがあって自分の頭の中を深堀していった記事。 ネガティブなことも何かに活きるのだろうな、知らんけど…

  • 猫狂いのつぶやき

    野良猫を保護作戦実行中。 猫が好きすぎて、あふれ出して止まらない猫にまつわる言葉を吐き出す場所。

  • 日記

    ほんとにただ感じたこと考えたことを残しておくところ。 書かないと忘れちゃう回転の速さが怖いわ。

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雨だよ、おばあちゃん

天上で特大のたらいをひっくり返したかのような雨が降った。 ほんの一瞬、自宅にまだ繋いである固定電話が鳴らないかと思う。 「雨は漏ってないかね?大丈夫?」 土砂降りになるといつもそこにかけてくる祖母はもういないというのに。 私は祖母の残した家に住んでいる。彼女が一人で暮らしていくことが覚束なくなり、いよいよ老人ホームに入るとなったとき、空き家にしておくのは不安だね、という話の流れで私が住まわせてもらうことになった。 当時、私は精神的にボロボロのひきこもり状態な上に、両親との不

    • 人といてやわらいだ世界

      「このハイライト、あの人のブルベの肌に似合うよな。」 「これ、あの人の好きな青、だろうか。ちょっと緑っぽいかな?」 私の頭がつぶやくとき、いつの間にか他の誰かがそこ加わっていることに最近気づいた。 ひとりでいるのに、私の世界にはひっそりとした温かさが存在している。 それは変化と呼ぶには些細なことで、あまりに曖昧かもしれないが。 ずっと他人を思考回路に入れることが怖かった。 思い描く他人は、いつだって強くて、攻撃的で、異物を見るように遠くから顔をしかめている。 人との関わりの

      • スミレのマカロンが食べたい

        「スミレは香りが良く、ほんのりと口から鼻に広がっていくのがとても良く出来ていて……」 透き通るような金髪を丁寧にセットした、わたあめみたいな日本語を話す店員さんがそう紹介してくれた。 私の記憶では色とりどりの可愛らしいパレットみたいな並びの中で、スミレは少しくすんだ、薄紫色の控えめな姿だった。 なんでだろう。あの時買わなかった、ピエール・エルメのあのマカロンが今頃になって無性に食べたくなってしまった。 薄紫のマカロンを思い描いて、その色と同じような、なんだか切ない、霞がか

        • 「俺、猫飼ったんすよ」

          結局救ってくれるのも人なんだな、とバカみたいに簡単に和らいだ胸の内を他人ごとみたいに感じながら、そう思った。 人と関わりたくない、会いたくない、触れたくない、とひきこもって安全に私を守る城壁を強くしようとしていた。壁の一部を取り除いてそーっと他人を入れてみると、内側も外側も陽のあたる湖面みたいに穏やかだった。 嬉しくて気が抜けてしまった。 先日、体調を崩して長く休んでいた事業所に戻った。 行く、話す、と決めたのに、直前まで本当にこれがやりたいことなのかと悩み、胃が波打つよう

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          思いっきり夏バテして、食欲がゼロになり、食べられないので当たり前だが頭も回らなくって、読んだり書いたりが全然出来なかった…ようやくちょっと回復してきた。やっぱり食事は大事。

          思いっきり夏バテして、食欲がゼロになり、食べられないので当たり前だが頭も回らなくって、読んだり書いたりが全然出来なかった…ようやくちょっと回復してきた。やっぱり食事は大事。

          日記:好きな作家に出会った〈イーユン・リー〉

          久しぶりにどっぷりと、ため息のように漏れる「好きだ」という感覚にひたる。イーユン・リーの「独りでいるより優しくてーKinder Than Solitude」を読んでいる。 彼女の言葉と物語が私の肌感覚を撫でるように心地いい。数ページ読むと、求めていた久しぶりの感覚にあたまの中で火花が散ったようだった。 あぁ、私にもっと言葉で伝える力があったらいいのに。とにかく今、イーユン・リーがすごく好き!ということを世界の誰かに言っておきたいのだ。私は恥ずかしいほどに遅読なので、この本を

          日記:好きな作家に出会った〈イーユン・リー〉

          今日わりと真面目な予定(ピアサポーターの業務)があるのだけど、調子悪い方面にいて頭が回ってない。やばい。原稿は作ってない。でも行くしかない。変なこと口走りませんように…。

          今日わりと真面目な予定(ピアサポーターの業務)があるのだけど、調子悪い方面にいて頭が回ってない。やばい。原稿は作ってない。でも行くしかない。変なこと口走りませんように…。

          日記:出くわす甘美

          久しぶりにマフィンを焼いたらめっちゃ美味しくできた。 オートミールとココナッツのマフィン。 作ってる時から「なんか今回の子(マフィン)は上手くいく気がする」と思っていた。楽し気に鼻歌なんかにメロディーを乗っけながら、ていねいに手を動かしているしている私がいるからだ。 私はだいたい面倒くさがり屋出力最大レベルで生きていて、料理も気が向いたらやる程度。そのくせその「気が向いた」時でさえも、これ終わったら何しようとか、本当はこんなもんじゃなくて別のリッチなものが食べたいのにとか、

          日記:出くわす甘美

          私のカウンセラーさんに宛てて

          カウンセラーさんが体調を崩されてお休みに入るという連絡を受けた。1年近く、小さな部屋で静かに会話をしていたあの女性は今どんなつらさの中にいるのだろう。もう、会えないままに過去の人となるのかもしれない、と思うと、それは治療だったと分かってはいても、やはり穴がひとつ抜け落ちたような寂しさを感じる。 ある日のカウンセリングで、誰にも話していなかった記憶と想いをまたひとつ、その女性に話した。それはかつての自分の言葉をある意味で打ち消し、惨めさと愚かさを認めることだった。 彼女は小さ

          私のカウンセラーさんに宛てて

          病んでるってきついけど感動もする

          初めて「助けてほしい」という言葉が頭に浮かんだのは7年前。やけに静かに感じた夜だった。スマホを両手で握りしめ、メッセージの入力を促す、点滅するカーソルをじっと睨みつけながら、とうとう私は認めた。 自分はうつ状態にあるのだと。 数えられないくらい長い間、自分なんてつらいと思う資格がないと思っていた。 世界にはもっと大変な状況で苦しい想いをしている人がいる。もっとひどい苦難を生き延びて笑っている人がいる。 精神を病んで助けを受ける権利というのはそんなところにあるのだ。 もっとも

          病んでるってきついけど感動もする

          本と、ぬいぐるみと、ひとりではないこと

          心臓は落ち着いて鼓動する。足取りは軽い。じっくりと時間をかけて暗転していく空に焦ることもない。 私のかばんには上質な紙で仕立て上げられたハードカバーの本が2冊入っているからだ。彼らと一緒にする散歩は独りの不安感を押し下げてくれる。 歩き出すと、じんわり汗ばむ肌の上を涼しい風が吹いていく。蒸した空気が世界に充満している。夕暮れの草と土の混じったにおいを通り抜ける。遠く、敷きつめられた雲から差し込む太陽の薄い光が、いびつな形をしていて、何かの後光が照らしているようだ。 小さな余

          本と、ぬいぐるみと、ひとりではないこと

          グレーの日、グレーの世界

          魂の殺人、というらしい。妙な言い当て方を考えついたものだと思う。 魂なんていうのを担う組織はないし、どこにも見つけられない。でも、ある、と信じて人は大事に抱えていようとする。ほとんど無意識であっても。 だからそれが壊されそうになったとき、精神的ショックとか、深く傷ついた、とかいう言葉で言い表すのは激しく違うと感じるのだ。大事に覆いをかぶせて、そこにあると思っていた何かが、ボロボロになっているのを「魂」という言葉で表現されるのを、なるほど、と思った。 朝から豚肉の厚切りステ

          グレーの日、グレーの世界

          日記:帽子で凹み、自己像を語る

          コツコツコツ。ぱちりぱちり。 開けた掃き出し窓からちいさくちいさく響いてくる音。 庭に置いた皿から小鳥が皮つきの餌をついばみ、せっせとむいて食べているのだ。おそらくスズメだが、そう思って見に行くと全然違う鳥だったりもする。でもこんな時間だし多分スズメ。 皮つきのキビやアワを食べている間、彼らは妙に静かだ。しっかりと、黙々と。カニ食べてるときと一緒だ。手間かかって忙しいから余計なことは言ってられないのだ。 重くなった空とさっきから勢いを増し続けている風。気をつけないと消えて

          日記:帽子で凹み、自己像を語る

          とうふドーナツ -母と私のこと-

          私は彼女を母と呼びたい。何が起きても、何かが欠けていても、その関係がいびつなものでも、その人は大切な私の母なのだ。このこじれた関係性に別の俗称がついていても、その呼び方はしたくない。 子供の頃、空が真っ暗になってみんなは家にいるだろう夜時に、母は私を連れて駅前のスーパーに行くことがあった。たまにしかないけれど、定期的に訪れるその時間を好きだったように思う。 母は、もし残っていればほとんど絶対に、お豆腐屋さんが入っている売り場で、”とうふドーナツ” を買ってくれた。 「へへ、

          とうふドーナツ -母と私のこと-

          日記:あたま爆発とおしり

          たまに「うわーーーなんかあたま爆発しそう!」というときがある。 5月6日夜、今がその時。 この症状に名前はついているのだろうか? 「なんか…あたま爆発しそうでしんどいです。」 と医師に伝えても 「それはつまりどういう状態ですか?」 と聞き返され、 (だから!あたまが爆発しそうな感じの状態です!) と心の中で叫ぶ。 無理やり言葉を変えるならば、「頭が忙しすぎる」ということも出来る。 ただこれも、「それはつまり…(略)」の問答へと向かってしまう。 今診てもらっている医師は、

          日記:あたま爆発とおしり

          マスク外したくない

          顔、見られたくないなぁ……。 取ってみたら結局ブスなんだよ。 隠されてることに期待を込めて見てこないで。がっかりすることはわかってるでしょ。君が思う理想よりブスなんだって。 休憩を取ったのに視線がばっちり合っているので水が飲めなかった。 人に見られるのがつらい。イヤイヤ期をこじらせたようで。 マスクで覆われていると安心して話しているのに、外した途端に汚いもの見せちゃってる気分だ、落ち着かない。 あぁ。コロナには本当に助けられてたな。「見られたくない!」っていうおかしなレベル

          マスク外したくない