見出し画像

創価学会(SGI)元二世信者の箇条書き:後半

はじめに

前回の続きです。

創価学会(SGI)元二世信者である私が、安倍元総理銃撃事件をきっかけに別の新興宗教がトレンド入りし、「いや知らんわ、与党のおっきい方にも隣国発祥の新興宗教が絡んでたとか知らんわ、まぢミリしら」となり落ち着かなくなったため、気持ちの整理を兼ねて脱会前の活動について箇条書きにしたものです。
脱会方法および、入会時のメイン活動については前回書き記しました。
今回は、年イチ・月イチ・不定期の活動内容および、役職や庶務についてと、個人的な総まとめ感想です。

全ては私の個人体験であり、脱会は十年ほど前で、うろ覚えなところも多々ありますので、あくまで参考程度にとどめてください。

自己紹介


ペンネーム:「朔楽鈴+(さくらりんた)」
実家の宗教:創価学会(SGI)
現在:脱会済み一人暮らし障害者雇用
現在家族や学生時代の友人、誰にも住所を明かさず一人暮らししています。

組織の構造について:


縦の組織系統


3代目会長であった池田氏が永遠の名誉会長としてトップに位置づけられており、その下に会長、その下に本部幹部、さらに地方ごと地域ごとにグループ長等のまとめ役がいます。会員名簿は個人名が記載されますが、信徒数をカウントする際の最小単位は「世帯」です。

横の組織構成

  • 壮年部(社会の中核を形成するミドル〜シニアの男性)

  • 婦人部(既婚女性とシニア女性)

  • 男子部(大学生~若手社会人男性)

  • 女子部(大学生~若手社会人未婚女性)

  • 少年少女部(小中高生)

となっております。なお、これは私の脱会前の名称であり、今は微妙に違うかもしれませんが、だいたいこの分け方になるかと思います。

年間行事


・新年勤行会
地域の会館に集いお祈りしてスピーチを聞いて、あと衛生について色々言われる前は帰りにレモンティー(粉溶かすタイプ)とおしゃぶり昆布をもらいます。特に嬉しくありませんでした。

・お正月の本部への訪問
学会本部は東京・信濃町にあり、全国各地から学会員が集います。よって、三が日は信濃町が死ぬほど混みます。信濃町駅周辺には各種学会で使用するテキストや数珠を売るお店や、学会本部訪問記念クッキーなどを売るお土産屋さんがあります。
僧侶と繋がっていた頃は地元の日蓮正宗寺院にお参りしていました。

・1/26 SGIの日 
・3/16 広宣流布記念の日
・5/3 創価学会の日
・11/18 創立記念日

参考:創価学会の記念日

日付部分はそれぞれ「いってんにーろく」「さんてんいちろく」などと読みます。軍隊かなって思います。
もっと細かく決まっていたりもしますが、私が覚えていて全国規模で記念日とされているものは上記となります。

これらの記念日に、外部におけるクリスマスや初詣のようにリア充が爆発できる余地は一切ありません。導師役の幹部の声に合わせてお祈りをして、名誉会長のお言葉と幹部のスピーチを聞いて鬨の声などをあげ時に歌を歌い、広宣流布(こうせんるふ)の決意を新たにするのみです。
私の時代は他宗のイベント参加全面禁止でしたので、クリスマスは今年もやって来ませんし恋人はサンタクロースを気取れません。

いらすとやさんサンタ画像ありがとうございます


元々、日蓮宗の開祖である日蓮上人(にちれんしょうにん)は、当時少し先行して流行していた念仏系諸宗派をはじめとする他宗派への対決姿勢を厭わぬ強気スタンスでした。なお、学会では日蓮上人のことを「日蓮大聖人様(にちれんだいしょうにんさま)」と言いますが、一般的な仏教史における日蓮さんの敬称を使用させていただいております。
学会では、教学(※前回参照)で必ず習う文言として「念仏無間(ねんぶつむけん)、禅天魔(ぜんてんま)、真言亡国(しんごんぼうこく)、律国賊(りつこくぞく)」という言葉があります。
意訳は
「念仏を唱えたら極楽浄土(ごくらくじょうど)に行けるどころかいちばんつらい絶え間なく苦しみがやってくる地獄に落ちる」
「禅を行う者は天に属しながら人に害をなす魔であり、天狗か魔王だ」
「真言宗は真言によって国を鎮護するなど言っているが国を滅ぼす者である」
「戒律(かいりつ)を重んじるという律宗(りっしゅう)は国に仇なす国賊だ」

といった意味になります。他宗への痛烈な皮肉を込めた文言です。
そういった伝統を踏まえ、創価学会も初期は新入会者が前に入っていた宗派の本仏が入っている仏壇ごと燃やしたり、鳥居をくぐることを禁止したり、他宗の寺で手を合わせてはならなかったり、キリスト教っぽい行事への参加を全面禁止していました。

キリスト教は特に仏教枠ですらないので「人の外側に超越者をもうけそれを拝むなどとは言語道断」みたいな形で忌み嫌われていた記憶があります。
また、キリスト教と念仏系諸宗派は「すごい存在が助けてくれるから素直に身を任せるのがいい。神(阿弥陀如来)の前では善人も悪人も等しくきのこたけのこである。自分を善人だと思ってる人間は罪悪感を持たないで悪いことを行うので、必要に駆られて悪いことをしてしまった悪人よりよほどたちが悪い。悪あがきしないほうがいい」という点が思想的に似通っていますので、学会で教わる教学の勉強会では常に虚仮にされていました。

その理論からいくとイスラム教もユダヤ教もキリスト教と同じような位置づけで良いはずですが、アメリカ9.11同時多発テロでイスラム教原理主義過激派がニュースになる前は、日本においてはキリスト教ほど知名度がなかったのであまり言及されていませんでした。

なお、SGI(えすじーあい)についてですが、SGIは「SOKA GAKKAI INTERNATIOAL」の略です。近年、日本以外にも会員が増えてきまして、インターナショナルを名乗るようになりました。

・夏場の富士登山(僧侶側と袂を分かつ前)
日蓮正宗とまだ繋がっていた頃、富士の五合目にある日蓮正宗総本山大石寺にお参りしていたイベントです。
私は乗り物酔いするので新幹線+バスのコンボ辛かったです。

ここで、創価学会と日蓮正宗大石寺(にちれんしょうしゅうたいせきじ)の確執について、学会側からもたらされた情報をもとに非常にざっくり概要をご説明しますね。

簡単に言うと、集めた寄付を何に使うかで僧侶と在家が揉めました。
あと大石寺にでかい仏壇作るかで後述する「顕正会」と対立してました。
僧侶側は寺の修繕とかに使いたいし、きっちり出家して僧侶として修行している自分たちに全く敬意を払わず、第3代会長(当時)をセンセイセンセイ言うて持ち上げてるのが気に入りません。
在家側は、積極的に布教もしない癖に、なに自分たちの布教の成果に坊主が胡坐(あぐら)かいてんの?と思っていましたし、国立戒壇(こくりつかいだん=国が後ろ盾についた仏壇、兼、戒を授ける場所)を作りたいのは別団体なのに、仏壇のためのお金は自分たちの寄付金が使われるのが嫌でした。
この辺の事情は私より新興宗教を研究されてる方の方が詳しいと思います。私は創価学会側がインフォメーションした情報しか持っていないので。

手が切れてからは本部の建物名が「大誓堂(だいせいどう)」等、「大聖堂」を意識したであろう不思議な名前になったり、ベートーヴェンの第九合唱の歌詞2番「自由の戦士よ世界の友よ」を微妙に仏教風に「地湧(じゆ)の戦士よ世界の友よ」に変えて歌ったりしています。
「地湧」は、地面から湧いてくるタイプの菩薩です。絵面を想像するたびにたけのこっぽいなって思ってます。

袂を分かった後に元気になった、同じく日蓮正宗系の新興宗教が「富士大石寺顕正会(ふじたいせきじけんしょうかい)」略して「顕正会」です。
以前は「妙信講(みょうしんこう)」という名前でした。
こちらは、大石寺に国立戒壇を建立(こんりゅう)することを目指しています。
かつての創価学会がやらかしていた過激な布教方法を見事にトレースしており、それを学会員が批判しているので苦笑を禁じえません。

月間行事

・本部幹部会衛星中継(ほんぶかんぶかいえいせいちゅうけい)
地元の会館に集まり、お祈りして、学会本部で行われる幹部会の中継を見るイベントです。なおリア充(略)

・座談会(ざだんかい)
地域の会員が集まり、お祈り、近況報告、グループ長スピーチ、お楽しみ出し物、教学の勉強、お茶とお菓子で雑談などを行います。お茶とお菓子は会場提供者の自腹だったり、地域の会員が持ち寄ったりします。なお、お茶を入れたりお菓子をセットするのは女性陣の役目なので、接客スキルが自然と身に付きます。
会場は個人宅に設けた仏壇のある広い座敷であることが多いです。コロナが流行してからはZOOMで行ったりしているそうです。

・不定期開催勧誘イベント
よく芸能人会員が来ます。「○○のコンサートがあるよ、○○がコントやるよ、参加費無料!」っていう誘い方します。
前半は芸能人による信仰体験を交えたトークイベント、後半は仏法対話(ぶっぽうたいわ)という名の布教タイムです。
芸能人が来ない場合は「今度合唱(or演奏会)に出るんだけど見に来て欲しいな」「今度、映画上映するんだけど見にこない?」とかになります。映画のチョイスは、学会ならびに系列団体である民音(みんおん)が関わってはいるものの一般にも広く公開された作品のブルーレイ上映が多いです。
前半は上映イベント、後半(略)

熱心な活動家とその二世三世の場合:


月イチイベントと不定期開催をコンプリートするだけで既に私はしんどかったんですけど、熱心な活動家の場合はさらに「こういう役職に着かない?期待してる!」という話が来まして、追加の活動が乗ってきます。

なお、熱心な活動家のことを「信心強盛(しんじんごうじょう)な人」ということが多いです。
私のように教学は得意だけれど布教には消極的で成功したためしがないようなのは「二乗(にじょう)」と揶揄されたりします。
二乗とは、悟りの四段階、最高位の「如来(にょらい)」・人々を導きつつ自分も悟る「菩薩(ぼさつ)」・人から聞いて悟る「声聞(しょうもん)」・自分で瞑想等を行い悟る「縁覚(えんがく)」のうち下2つで、学会ではこの2つは良くないとされます。
前述の通り私は全く布教はできていなかったのですが、イベントに出ないと親からの嫌味が凄いのと、何事にも真面目に取り組む子でしたから、少年少女部の担当の話が回ってきました。

・少年少女部の取りまとめ、少年少女部の会合企画運営
これを担当するのは男子部女子部のお兄さんお姉さんになります。今は少年少女部じゃなくて未来部って言ってるのかな?
地域の会員が集う座談会とはまた別に、少年部の月イチ集会があります。
そこでの出し物を考えたり、教学を教えたり、お菓子を用意したり、お祈りの導師を務めたり、会場を押さえセッティングしたりするのが主な活動内容です。
このとき押さえる会場は個人宅である場合が多く、だいたいは少年少女部の親御さんのおうちであるので、たまにお菓子やスイカや麦茶やジュースの差し入れがあります。やりこなすと幹事スキルと段取り力と企画力が身に付きます。

・座談会のためのミーティング
前述した座談会のために週イチでミーティングが開かれ、企画のネタ出し、チケットや飾りつけの担当決め、その月のキャッチコピー考案、グループ長クラスの場合は自身および受け持ち会員の近況報告などが行われます。

・部別ミーティング
壮年部・婦人部・男子部・女子部それぞれで行う週イチのミーティングです。お祈り、近況報告、教学の勉強会などが行われます。

・地域の会員の取りまとめ、座談会でのスピーチ
グループ長クラスになると会員宅を訪問したり、留守の場合はメッセージを残したり、激励したり、悩みを聞いたり、座談会への参加を促したりなどのタスクが発生します。
また、5分程度のスピーチを座談会で行います。まとめるのが下手な人だと15分オーバーしたりしますが、やりこなすとスピーチスキルが身に付きます。

・会館でのボランティア
本部幹部会衛星中継を行う会館にて、壮年部男子部は警備、婦人部女子部が案内を行うボランティアです。やりこなすと接客スキルと営業スマイルが身に付きます。

さて、おわかりかと思いますが、熱心な活動家のところで挙げた活動は、やりきればすべて、ビジネス・社交の際に役立つスキルでもあるのです。
なぜならば、宗教団体としての大きな活動目標は布教です。世界広宣流布(せかいこうせんるふ)です。そのためには、朝晩の祈りで腹から声を出して通る声を醸成したり、教学を学んで相手を論破するスキルを身につけるほかに、接客・幹事・営業・スピーチ・段取り力・企画力などを身に着け、それを活かしていく必要が出てくるからです。
なお、勉学もしくは仕事と学会活動は両立させなさい、どちらも手を抜いてはいけない、とのご指導が入ります。
私はそれを真に受けて過労で倒れましたので、もうしません。

最後に

ここまでお読みくださりありがとうございます。
挿絵がほぼなく、読みづらかったかと思います。

私は、色々な人から色々な話を聞いて、自分の意思で入会、活動する場合は良いと思います。
しかし、伝統宗教が受け継がれていくのを「なんとなくやっているだけ、何が正しいかなど何も考えていない」と激しく罵っておきながら、生まれて間もない赤子の私を躊躇なくリスインする私の親のような姿勢には疑問を持たざるを得ません。

なお、我が家では教えに対して疑問を呈すると、最短2時間コースから、参考文献とともに対話(親いわく)が始まりました。
特に父は、時に真正面から論破し、時にこちらの話に共感する風に頷きながら徐々に自分の主張に寄せていくやり方で、歳の離れた小娘相手に容赦は全くありませんでした。
巻物形式の古文書初めて見たよ。
いつも最後には言い負かされてわかりました、と言っていました。父はそれを「話せばわかりあえる」だと思っていたようです
「学校で習った宇宙の始まりより釈迦(しゃか=仏教の開祖)の前世の過去仏とやらの方が明らかに昔から存在してる計算になるけど、それはどういうことなの」への納得のいく説明は、未だに得られていません。

これらのことは宗教家二世に課せられた宿命なのかもしれませんが、改善されていったら良いなと思います。

感想・疑問等はコメント欄にお書きください。
ではまた機会がありましたら。


投げ銭をもらえるとたいそうやる気が出ます。お菓子はスコーンとチョコレートとクッキーが好きです。