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子供がバスで吐くというピンチ!優しい気持ちになる話。

友人の結婚式に参加することに。
家族で参加するので私は車で行きたかったが、ペーパードライバーで高速道路などの運転ができず、頼みのパートナーは、絶対に酒を飲みたいと言って譲らない。
そこで仕方なく、香川から神戸まで、行きも帰りも高速バスを使用することになった。

ところが帰りのバスで、ごちそうを食べすぎた息子が吐いてしまった。

異臭が漂い、私は席をたつと、慌てて謝りながら、ティッシュで吐いたものを拭くけど、全然間に合わない。

ハンカチや自分のストールやありったけの布を集めてごしごし床を拭いてそれを袋に詰めて片付ける。

子供を着替えさせながら、「大丈夫だよ」といってあげるけど、自分が全然大丈夫じゃない。
とにかく臭いがひどく、早くどうにかしなくてはと焦る。

申し訳なさに泣きそうになっていると、肩を叩かれて、後ろの人がティッシュを渡してくれた。

「ありがとうございます」

お礼を言うと、ティッシュはもっと後ろの席の人からだと言う。

するとバスの後方から、次々とティッシュが私のもとにまわってきた。
いろんな人が、私たちのために、ティッシュを差し出してくれたのだ。

私は「ありがとうございます」とティッシュを受け取って、今度は逆の気持ちで泣きそうになりながら、子どもの吐いたものを拭いた。

「お母さん、落ち着いて。髪にも吐いたものついてるわよ」と近くの席の人に教えてもらって、自分がいかに髪を振り乱して、慌てていたのかを知る。

よく見ると慌てすぎて、私は靴も履いてなくて、でんせんしたストッキングで這いつくばって、床を必死になって拭いてた。ワンピースもドロドロ。

だけどみんなのおかげで、どうにか片付けることができた。

臭いはしばらく残り、ずっと申し訳ない気持ち。
バスを降りる時も運転手さんやみなさんに小さな声で謝ったけど、夜のバスなので寝ていた人もいて、本当に申し訳ない。

だけど、臭いとか文句を言ってくる人は1人もいなかったし、ティッシュをくれる人もいた。
怒るどころか「落ち着いて」と優しい言葉までかけてもらい、本当にありがたかった。

私も困った人がいたら、ティッシュをあげようと思った。
優しさに感謝して、自分も人に優しくできる人になりたいな、と思った夜だった。

そしてやっぱり、車で行けばよかったよ‥。


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