サッカーボールの神様#2

今日も変わらず俺はあのサッカー場に向かう。
気分が悪くなるだけなのに。
食べ物を探すついでだから。
通り道だからしょうがない...ん?
俺の目の前に見たことないここたまがいる。
あいつは何から生まれたここたまなんだ...?
まあどうでもいい、話しかけられたら面倒だからさっさとこの場を去ろう

???「あれ??見たことないここたまだ!!」
げっ...気付かれてしまった...どう切り抜けよう...
???「初めまして!あなたのお名前は?」
ケリー「...お前に名乗る名前なんかねえよ、とっととあっちに行け」
???「つれないな〜いいじゃん減るもんじゃないんだからっ!」
気持ち悪いノリだなこいつ...
ケリー「じゃあお前から名乗れよ、図々しいやつだ」
???「あはは〜、そうだよね!私、『あなたに幸せ贈り届けたいのみこと』キャリーって呼んで!」
ケリー「あっそ」
キャリー「それで、あなたのお名前は?」
ケリー「はぁ...ケリーだよ」
キャリー「わぁ!私たち名前すっごく似てるね!」
ケリー「だったらなんだよ」
キャリー「仲良くなれそうだな〜って」
ケリー「冗談じゃねえよ、俺はこれから1人で生きて行くって決めてるんだ。他のやつと馴れ合う気はねえよ」
とか言ってるけど...あの公園にいたここたまに世話になっちまったけどな...
キャリー「なんで1人なの?」
ケリー「お前に関係ねえよ、じゃあ俺は食べ物探しに行くから」
俺はその場から走り去った
キャリー「あ、待って...!」

鬱陶しいやつだったな...もう二度と会いたくねえ...そんなことより昨日見つけたキノコを探さねえとな...
数時間探し回った結果、一生食っていけるくらいたくさん集まった
これであの3人組から食べ物を貰わなくて済む
あのチビ青ここたまにガチャガチャ言われずに済むと思うと気が楽で仕方ない
うん...不味くはないけど美味くもないんだよな...まあ俺にはこんくらいの食い物がちょうどいいや
俺はそれから数ヶ月の間そのキノコを食べまくった

ユラノ「あいつ...最近どうしてるんだ...?」
とくまる「あんなぶっきらぼうな奴放っておくでやんす!」
ユラノ「...いや、一回面倒を見た相手を見捨てる訳には行かないよ、筋が通らないからね」
ユラノは立ち上がり、ケリーがいるところへ向かった
とくまる「ユラノ姐さん...」
ムキテツ「ユラノはやっぱり世話焼き」

あのキノコを食べ始めて約1ヶ月...どうも最近気分がすぐれない...この前まではイライラしなかったことでイライラするようになってしまった。
キャリー「あ!ケリー!」
うわ...見つかりたくなかったのに...
キャリー「やっと見つけた...!」
ケリー「何の用だよ...」
キャリー「私が生まれた物を言うのを忘れてたなって...」
ケリー(そんなことかよ...)
キャリー「私は、“トラック”から生まれたここたまなんだ!」
ケリー「!?」
一瞬で全ての嫌な記憶が蘇った。
ゆりが死んだことも。
一人前ここたまみんなに責められたことも。
たませんにんとやらに言われたことも。
俺は気付いたらキャリーを蹴り飛ばしていた
キャリー「ケ...ケリー...?」
ケリー「てめえが...てめえがゆりを...!!!」
キャリー「ゆり...?」
ケリー「ゆりを殺したんだ!!!!」
ケリー「ここんぽいぽいここったま...スクリューシュートでゴールにシュー...」
あの時たませんにんから魔法の力を奪われて自力で魔法を取得したんだった
俺の魔法は自身の蹴る力を急上昇させるものだ
まさかこんなところで使うことになるとは
ケリー「返せ...!返せ...!ゆりを...返せ!!!」
俺は返せと繰り返しながらキャリーを蹴り続けた
キャリー「痛い...!痛いよ...!」
ケリー「黙れ!本来であればこんなもんで済まねえんだからな!」
ユラノ「何してんだい!」
ケリー「あ...?」
キャリー「...?」
ケリー「お前には関係ねえだろ、失せろ」
俺がぶっきらぼうにそういうとそのピンクのここたまは俺の頬を平手打ちした
ケリー「...は?」
ユラノ「どんな理由があろうと...男が女に手を上げるなんて言語道断だよ!!」
ケリー「黙れよ!!!お前らに...お前らに何がわかるんだよ...!!!!」
一生分泣いたはずなのに涙が溢れて来た
ケリー「ちっ...!」
俺はその場から逃げた
ユラノ(あいつのあの目...この前のダンスシューズの奴みたいだった...)
ユラノはキャリーの元に駆け寄った
ユラノ「大丈夫かい?」
キャリー「あ、ありがとう...」
ユラノ「さて...何があったか話して貰おうか」
キャリー「わ...私...ケリーを怒らせることなんて何も...」
ユラノ「あんたにとってはそうなんだろうけど、向こうからしたら許せないことだったのかも知れない」
キャリー「あ...」
ユラノ「さあ、何があったか言ってみな」
キャリー「えっと...」
キャリーはユラノに先ほどの出来事を話した
ユラノ「あぁ...」
キャリー「何か心当たりが...?」
ユラノ「...あいつの持ち主、トラックに轢かれて死んでしまったそうなんだよ」
キャリー「え...?」

俺はひたすら走った。
行く宛なんてないけど。
とにかくあいつらから遠く離れたところへ。
ケリー「誰にも...俺の気持ちなんて...」

ここたま界では...
一人前ここたまA「たませんにん、このところマイナスパワーの掃除に我々を向かわせませんが大丈夫なんですか?」
たませんにん「んーなんか知らんがマイナスパワーが減っとるから大丈夫じゃろ」
一人前ここたまA「は...はぁ...」
たまシャイン「...。」
たまシャイン(マイナスパワーが勝手に消えるはずがない...あたし自身で確かめに行かなくては...)
たまシャインは人間界に向かった

キャリー「そうだったんだ...」
ユラノ「詳しいことは分かんないけど、それからあいつ...だいぶ捻くれてしまったようなんだ」
キャリー「私が...余計なことを言ったから...」
ユラノ「あんたが気にすることじゃないさ、男が女に暴力を振るうなんて見てられないからね。でもあいつにとってトラックってのはトラウマに近いんだろうね」
キャリー「私...ちゃんとケリーに謝りたい...」
ユラノ「あいつも冷静でいられなくなる気持ちもわかるから...あんた達は徹底的に話し合いな」
キャリー「うん...」

ケリー(どこだ...ここ...)
俺は見知らぬ場所に来ていた。
そりゃそうだ、闇雲に走り回ったら最後に行き着くところは高確率で知らない場所だろう...
走り疲れた俺は少し横になることにした。
ケリー(!?)
体中に強い衝撃が走った
ケリー(なんだ...これ...っ!?)
体の中から何か出て来そうな感覚に襲われた
ケリー(口から...何か...出てっ...!?)
そこで俺の記憶は途切れた

たまシャイン「っ!?急に強大なマイナスパワーが....」
たまシャインはマイナスパワーが発生した場所に向かった
たまシャイン「これは...見習いここたまが...!?」
たまシャインが目撃したのは見習いここたま(ケリー)に寄生して暴れ回ってるマイナスパワーだった
マイナスパワー「ぎゃあああああ!!」
たまシャイン(これは...私だけではどうにも...しかし今から一人前ここたま達を呼ぼうにも時間がかかる...あのマイナスパワーの意思を変えることができる者は...)
たまシャイン「そうだわ!」
たまシャインはノラたまトリオの元へ向かった

その頃ノラたまトリオはキャリーと一緒にケリーを探していた
ユラノ「全く...どこに行っちまったんだい...」
とくまる「見つけたら1発お見舞いしてやるでやんす...」
ムキテツ「とくまる...」
キャリー「...。」
とくまる「んー...」
たまシャイン「あなた達ー!!」
とくまる「たまシャイン...?」
ユラノ「アタイ達に何の用だい?悪いけど今忙しいんだ」
たまシャイン「あなたの力が必要なの...!」
ユラノ「アタイの...?」

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