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「語り継ぐいのちの俳句」展

「語り継ぐいのちの俳句」展を見てきた。

東日本大震災で被災した俳人・高野ムツオ氏の震災詠二十数句とその自解を、写真家・佐々木隆二氏の写真と合わせて展示したものだ。

みちのくの今年の桜すべて供花

すぐ消えるされど朝(あした)の春の虹

土饅頭(どまんじゅう)百を今夏の景とせり

冬波の五体投地のきりもなし

村一つ消すは易しと雪降れり

上の写真の俳句は、狼の声全村避難民の声

展示で取り上げられた大半の俳句の出典は『萬の翅』(角川学芸出版刊)から。同書は読売文学賞、第48回蛇笏賞、小野市詩歌文学賞を受賞と、今日はじめて知った。これらの俳句の自解は、近著『語り継ぐいのちの俳句』(朔出版刊)に収められているという。会場では写真の力も加わって、句の意味すること、3月11日のあの日を振り返ることができた。

会場で印象的だった言葉。「なぜ、俳句だったのだろうか」という自問に、「おそらく、俳句を作ることが自分の存在証明であったのだろう」「被災した多くの人たちが俳句に生きる力を得ていた。現在ただ今もそうである」・・・

高野ムツオ氏だけではない。有名無名の俳人が「俳句に生きる力を得ていた」という言葉が刺さる。心のつかえのような負の感情や悲しみを表に出すことで楽になることがある。「俳句は人生の杖」という俳人・夏井いつきさん(俳句集団いつき組長)の言葉を思い出す。

高野ムツオ氏が主宰する俳誌「小熊座」を手にすることができ、俳句展を教えてくれた句友の名前を確認できたのもうれしい。

俳句展は3月、全国4カ所で開催中(無料)

■ゆいの森あらかわ(東京都荒川区)27日まで

■仙台文学館(仙台市)27日まで

■日本現代詩歌文学館(岩手県北上市)31日まで

■コラッセふくしま(福島市)3月15日まで




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