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2022年の振り返り

大晦日です。2022年も今日で最後ということで、今年の振り返りです。

正直、今年は作家人生で最悪の年でした。

今年は小説の新刊がなく、『お父さんはユーチューバー』の文庫本しか出せませんでした。作家になりたての頃は、デビュー作から二作目を出すのに一年以上かかったんですが、一年で一冊も新刊を出せなかったのはそれ以来です。

というのも去年出した『ワラグル』で、若干燃え尽き症候群みたいになりました。ほんとこれに全力を注いだので。

ワラグルは漫才の賞レースを舞台にした芸人主人公の物語です。自身の放送作家、小説家の経験をすべて込めました。

編集者さん、出版社さんや書店員さんの評判もよく、さまぁ~ずの三村さん、スピードワゴンの小沢さん、笑い飯の哲夫さん、ニューヨークの屋敷さん、モグライダーの芝さん、他にも数多くの芸人さんが読んでくださり、メディアでお薦めしてくださいました。あらためてですが、みなさん本当にありがとうございました。

本読みも、本職の芸人さんからの評価も高い。これはイケるぞ……そう期待していたんですが、結果がついてきませんでした。

もうむちゃくちゃ落ち込みました。

作家でよく言われることなんですが、力作ほど空回りに終わるんですよね。「これがヒットするとは思わなかった」というのが、その作家の代表作になったりするケースが多い。

話では聞いてたんですが、いざ自分が体験すると、精神的ダメージがやばいです。だって力が入ると書いて、『力作』ですからね。

「この先、一体何を書いたらいいんだろう……」と途方に暮れました。

やっぱりプロの作家なんで、どれだけいいものを書いても、売れないと意味がないんですよ。大事なのは結果です。

作家人生ではじめて、スランプになりました。これまで小説のアイデアに困ったことはなかったんですが、自信を持って出したワラグルが不振に終わったので、新しい作品を書こうとしても、「果たしてこれは今の読者に受けいれてもらえるんだろうか」という不安がゆらめき、書く気力がパタッと途絶えてしまうんです。

それで小説が書けなくなり、漫画原作、ウェブトゥーン原作の仕事をメインで今年はやっていました。

やってみて気付いたんですが、小説よりも漫画原作の方が、放送作家の仕事に近いんです。放送作家の経験が、よりダイレクトに活かせるなと感じました。

漫画が凄いのは、自分が想像していたイメージを、漫画家さんが絵で具現化してくれることですね。いや、ほんと漫画家さんってとんでもないです。

ウェブトゥーンでいえば、その絵をさらに着彩担当の方がカラーにしてくれるんです。もう魔法ですよ、魔法。

「そりゃ小説より漫画の方が読まれるよな」と自分で作ってみてあらためて実感しました。

その成果として『巣魔子』が出せたのは、今年のよかった点です。

ただスランプ状態だった小説の方も、半年ぐらい経ってだんだん書く気力が起きてきました。
漫画原作という別の仕事をやったのがよかったなと。よく壁にぶつかった時は、別のことをするといいと言われるんですが、まさにそんな感じです。

普段ならばプロットを書いて編集者さんに見てもらい、OKが出たら実際に原稿を書き出すという順序を踏むんですが、せっかく気力が湧いたのでいきなり小説を全部書きました。

その原稿を編集者さんに見てもらったんですが、それはボツでした。

漫画原作をやっていたので、小説のアイデア自体が漫画っぽかったんですよね。でもボツになったことに関しては、ワラグルの結果ほど落ち込まなかったです。

小説と漫画、さらにはウェブトゥーンというジャンルの違いが、より明確になった気がして、漫画原作をやり出したことが、小説でも活かせるなという実感が湧いたからです。

今は別の企画が通って、来年は小説が出せそうです。しかもワラグルを書いたことが、大変活かせそうな企画です。ワラグルを書いたことは無駄ではありませんでした。

漫画の方も、来年には新たな連載がはじまる予定です。こちらも楽しみです。またお知らせさせていただきます。

人生とは物語であり、物語とは人生です。

僕はよくいろんな人の歴史や自伝の本を読むんですが、『一見最悪だった出来事が、後々振り返ると最高の出来事だった』っていうのが頻繁に起こるんです。

最初に『今年は最悪だった』と書きましたが、訂正します。

『今年は一見最悪に見えたけど、最高の一年でした』

みなさまもぜひ今年一年を振り返って、よい大晦日をお過ごしください。

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