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サイコパスパラダイス1

(クリスマスにプロポーズされなかったら別れよう)

彼女はそう思っていた。彼とはマッチングアプリで出会ってなんとなくお互いに控えめなところに魅かれ合い、やりとりをして、たった2日ほどで会うことになった。

まず最初に結婚観について語り合い、恋愛のスキと結婚生活の愛情は違うのかなと思っている、などと話した。

「嬉しいです☺」

彼はそう言った。プロフィール写真の5枚目の、ちょっと悪そうな顔が好きだった。

私は騙されるのが好きだ。初めてデートした時、彼は私と一緒に花畑に行きたいと言った。私は嬉しくなって、こう言った。

「はい、ぜひ☺」

2時間ほどカフェでお互いについて話した。元々は商社で働いていたが、1年ほどで警察官になったこと、職場ではあだ名で呼ばれていること。お腹の出ている上司をおなかおじさんと呼んでいることなど、いろいろな話をして私を楽しませてくれた。

運転しながら器用にアイコスを吸って、吸い殻を窓の外へ捨てる仕草が好きだった。悪い男に引っかかったものだ。そう思いながら彼の左手を握り返していた。

つづく

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