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土曜グランド劇場

水谷豊といえば、自分の世代的には傷天でもなく相棒でもなく『熱中時代』である、武田鉄矢は金八シリーズを長いことやってしまったので、モノマネ含めそのイメージから抜けれないが、水谷豊の小学校の先生=北海道訛りの北野広大役は忘れられている或いはもはや知らない人も多いかもしれない

78年10月から始まった日テレの番組『熱中時代』は民放ドラマ史上最高視聴率をとるほどの人気になり(最終回の視聴率40%超)、番組終了から半年後にTBSがパクリ、金曜夜8時の定番だった日テレ『太陽にほえろ』とテレ朝『ワールドプロレスリング』(猪木の新日本プロレス)に挟まれた時間帯に負け前提で始めたのが『3年B組金八先生』、その戦さを武田鉄矢の熱演と小山内久美子の脚本で逆転していくという歴史なのであるが、とりあえず水谷豊の場合、傷天から相棒まで一貫している役作りとして、喋りのイントネーションのクセでキャラを作っていくということがあるが、武田鉄矢に比べればモノマネする人は少ない、それこそ『熱中時代』の時代はモノマネする人もいたが、いまだにやるのは小堺一機くらいか

『熱中時代』終了後は金曜夜9時から土曜夜9時に移動して『熱中時代・刑事編』としてスタート、『熱中時代』ながら前作と関係がない水谷豊主演の新しいドラマが始まったということで、前番組がいくら人気だったとはいえ、先生役を続けるつもりはない、そもそも最終回で先生をやめて北海道に帰ってしまう設定だったので、視聴率が高いからといって続編はやれない、ということで刑事ドラマになり、恋人役で出演していたミッキーマッケンジーと水谷豊はドラマ終了後に本当に結婚までしてしまう(そして数年後離婚、そして再びドラマで共演した伊藤蘭と結婚する流れ)、主題歌「カルフォルニアコネクション」も大ヒット、水谷豊の人気は『熱中時代』先生編・刑事編でピークをむかえ、半年程ハネムーン休み、『熱中時代・刑事編』の後に始まったドラマが『ちょっとマイウェイ』である

小学校4年生当時の土曜の夜『全員集合』から『熱中時代』の流れ、子供も楽しめる『熱中時代・刑事編』から大人向きにシフトして逆に記憶に残った『ちょっとマイウェイ』、楽しかった時間から急に地味なドラマが始まったなーということで、特に面白いと思ってなかったが、ファミコンもネットもない簡単にいえば子供はマンガ読むかテレビ見るしかない時代なので習慣のように全部観た、そして日テレが油断してる間にTBSの金八ブームが起こり、日テレ的には『熱中時代』を再度やるしかないという流れで『熱中時代・先生編2』が始まる、よって子供の記憶としては『熱中時代』(刑事編と先生編2)に挟まれた地味な中継ぎドラマ、今思えばなかなかのキャスティングだったが、それでも水谷豊1人に勝てず、高視聴率ではなかったので続編が作られることもなく、主題歌がベストテン入りしたわけでもないが、中古屋で必ず見るレコード

しかし『熱中時代』(刑事編と先生編2)に挟まれた中継ぎドラマは『ちょっとマイウェイ』だけではなかった、『熱中時代』を再開することを水谷豊が拒んだのか、予想外の金八ブームで4月からの改編期に間に合わなかった中継ぎの中継ぎとして始まったのが『池中玄太80キロ』である、子供心に血の繋がってないブタみたいなオヤジ(設定は35歳)と何故一緒に住まないとならないのかと、当時の自分の年齢でいえば次女ミクの心境で観て、今度は地味というより辛いドラマであり、それを経ての『熱中時代』(先生編2)の再開は嬉しかった記憶がある

『池中玄太80キロ』はそのブタみたいなオヤジ、西田敏行の熱演でもって中継ぎの中継ぎとしてスタートしながらも好評でシリーズ化していく、水谷豊が人気になるのは子供にもわかるが、武田鉄矢(そもそも金八は岸田智史の代役だった)や西田敏行などの主役をはれないと思われたカッコ悪いオヤジが熱演で人気ドラマにしていく、かつてはドラマにもそういう振り幅があった

ということで取り残されたのが続編もなかった『ちょっとマイウェイ』、小学生には『熱中時代』がお似合いだが、大人になって見返すなら『ちょっとマイウェイ』や『池中玄太80キロ』、はたまた『熱中時代』ではない水谷豊の『あんちゃん』とかになるだろう

初出:Instagram(2017年6月22日)を加筆修正

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