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『ボボボーボ・ボーボボ』から紐解く東洋思想 2024/02/21

実家に帰省し、書斎を眺めながら物思いにふけると、『ボボボーボ・ボーボボ』という漫画が目に留まりました。『ボボボーボ・ボーボボ』は週刊少年ジャンプにて連載されていた漫画でして、アニメも2003年から2005年まで放送されていました。作品のキャッチフレーズは『不条理ギャグバトル漫画』であり、端的に言って狂ってるんですね。第12話のあらすじを記載します。以下あらすじです。ボーボボ(主人公)たちは田舎へ帰省していた。まごころ込めて植えた割り箸畑から、メルヘンチック遊園地が獲れたが、それは毛狩り隊Aブロック基地(敵の基地)となっていた。とあります。アニメで2年間このような話が放送されたことを考えると、本当に狂っていますね。

話は変わりますが、禅問答の公案の中で、『南泉斬猫』という中国の唐の時代の禅僧南泉普願に関する話がありまして、あらすじを説明しますと、南泉の弟子たちが寺で一匹の猫をはさんで何やら言い争っており、そこへ現れた南泉和尚は、猫の首をつかむと、それを突き出して弟子たちにこう言いました。
『いまこのときに、仏の道にかなう言葉を発すれば猫は斬らない。さもなければ、この猫は斬って捨てる。さあ、どうだ!』
誰も答えることができず、南泉和尚は猫を切り捨ててしまいました。夕刻になり高僧の趙州が帰ってくると、南泉和尚はお前ならどう答えたかと迫りました。すると趙州は、履いていた草履を頭に乗せ、すーっと部屋を出ていったのです。
『ああ、お前がいたならば、ワシも猫を斬らずにすんだのに、』
南泉和尚は、そう言って非常に残念がりました。何言ってるのか意味が分からないと、頭の中に大きな疑問符が浮かんできますが、禅と言うのは理屈ではないんですね。

ギャグバトル漫画に思想性を宛てがうのは、何も考えないで楽しむものを台無しにするようで、少々気が引けますが、『ボボボーボ・ボーボボ』は、『南泉斬猫』をはじめとする東洋思想の不条理の系譜を継ぐ現象だと捉えています。不条理一つとっても、『ボボボーボ・ボーボボ』に代表される不条理から生まれる笑い、『南泉斬猫』のような不条理から追求する真理への到達など、多々あります。東洋思想の深淵をひも解くには、不条理について考察するのが鍵だと感じます。難しいことはさておき、とりあえず久しぶりの『ボボボーボ・ボーボボ』は面白かったです。

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