森見登美彦さんの新著『シャーロックホームズの凱旋』を読みました。

舞台はヴィクトリア朝京都。
ね、この時代と舞台設定だけで森見さんワールドへの期待が膨らみます。

読み始めてしばらく、この京都が続くのかと思いきやミルフィーユ構造。
京都の地名と、馬車、竹林、石畳、下賀茂の糺の森が、くっきりと浮かび上がって、違和感がありません。
全編を貫くのは、語り部ワトソンによる、シャーロックへの愛情と信頼、友情です。そして妻メアリへの愛も。

シャーロックホームズシリーズは、読破していて、テレビドラマも小説も映画も好きなのですが、この森見さんの作品は違和感なくすっと入っていきます。
おそらく、シャーロキアンにも拍手で迎えられる作品かと思います。

さて、こちら森見さんのシャーロックは、悩み苦しみスランプに陥りながらもどこかつかみどころがない、つまり何かしらの謎を解いていそうなところが、まさにシャーロック。
そこに、アイリーンが登場とあらば、膨らむばかりの期待なのですが、さらにモリアーティ教授も。
モリアーティ教授については、コナンドイルの小説を飛び出していろいろな姿で登場しているので、こちらでの活躍ぶりに意外というよりもちょっとした安心感さえ感じてしまいます。

『憂国のモリアーティ』は完結したマンガです。
モリアーティがモリアーティとなっていく様子が、読み応えありました。
シャーロックもアイリーンも出てきて、なかなか良いブロマンスでもあり。

今回、森見さんのこちらを読んで、またシャーロックの世界に浸れた幸せを味わいました。
未読の方はぜひ！