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#3山田コニーのおことばですが、、、(あいみょんの「青春と青春と青春」より)

RistのPRの山田です。コニーです。こんにちは。
この企画は、私やあなたの好きなことばをそっと切り取って、主観的にことばの解釈・解説を行っていきます。ことばは出会うタイミングや、出会い方によって様々な見え方ができます。あなたの解釈はあなたのものですし、私の解釈は私のものです。ただ、その出会いは偶然でも、きっとあなたの人生を変えてくれるモノになるはずです。
素晴らしい出会いに今一度向き合ってみましょう。
そこからあなた自身が生み出すことばのヒントになってくれればと考えています。
コピーだけでなく、名言や、漫画の中の一節など面白いものがあれば拾っていこうと思います。
みなさんが好きなことばの僕なりの解釈もしていこうと思いますので、好きなコピーやセリフなどがあれば是非教えてください。僕自身もあなたによってもたらされる新しい「おことば」との出会いを待っています。

今回のおことば

さて、3回目になりました。今回は歌詞考察をしていこうと思います。僕はミュージシャンでもあり、文章を書くということに関しては恐らく歌詞を書くという作業が一番多く行ってきたことなのでこだわりもあります。

そんな僕が今回ご紹介するのはこちら

ー熱すぎるコンクリートには 何度"好き"と書いても蒸発して
「青春と青春と青春」(あいみょん)

あー、出たね、天才。
最近自分よりも下の世代がどんどん売れていくのを見ていて、結構複雑な気持ちでいるんですが、あいみょんは別格でした。天才や、これは。最近はもう車でも風呂でもひたすらあいみょんですね。ほっといたらユーミンとか中島みゆきみたいなポジションにいくんやろうな、と勝手に思っています。
あいみょんは全体的に歌詞の書き方凄く面白くて、記事にしたいのがたくさんあるんですが、一旦この「青春と青春と青春」からこのおことばについて個人的解釈を書いていきたいと思います。

その前にまずは一回聞いてみてください。話はそこから。

J-POPにおける良歌詞の条件

ことばの解釈をしていく前に、個人的な前提条件を話しておきたいと思います。あくまで個人の好み。
・生活感があるor完全なるフィクション
・言葉を聞くとシーンが3カメ位で映像浮かぶ
・自分の聞きたいシチュエーションが浮かぶ
というのが、個人的ポイント。
で、この中でも重要なのが「生活感がある」。「生活感がある」というのはシーンがすぐに想像できるだけでなく、匂いや音や味とかの五感を想起できるシーンの浮かび方ができるというのが大事です。

この辺あいみょんは飛び抜けていると感じています。他の曲にも通じるところですが、かなりマニアックな描写をしているんだけど、自分の感覚器官のどこかが揺さぶられる。
今回の「青春と青春と青春」についてはもはや一本の映画作れるだろ、的な感じ。しかも普通に五感だけでなく、実態のないあの初恋の甘酸っぱさも完全に再現されている。天才かよ。

おことばですが、、、(解釈・解説)

さて、僕の歌詞感を書いてみました。この曲の歌詞全体をほんまは解説したいし、なんなら音楽的解説もしたいところですが、今回はおことばですが、、、の企画なので、ワンフレーズにフォーカスします。ただ、この歌詞に至るまでのポイントの解説がいくつか必要です。

1.年代の特定
この曲では年代の特定というのが非常に重要になります。タイトルから「青春」が入っているので、学生時分だということは分かりますが、もう少し照準を絞りたい。なので、それ以外にも年代が特定できるものが散りばめられています「夏季講習」「スイミングスクール」「図書館」など。青春と言ってしまうと、大学生くらいまで範囲が広がってしまう可能性がありますが、この辺りの単語を使うことで年齢をグッと下げて、10代しかも前半〜半ばの中学生位??までにフォーカスをあてることができます。
これはサビの終わりにくる「嗚呼、これは恋さ」を初恋として聞かせるためのポイントです。そして子供時代の初恋をする年代ということは、自分の感情がうまく言語化できなかったり、整理ができていない状況ということがよく分かります。これ全体理解にとても重要です。

2.温度を感じる表現の頻出
続いて、温度の表現ですね。今回のおことば自体にも「熱すぎる」と出ていますが、それ以外にもたくさん出てきます。「暑苦しい」「生ぬるい味の空気」間接表現でも「蜃気楼」「扇風機」等かなり夏を意識した言葉をたくさん使っています。「生ぬるい味の空気」なんかよく思いつくなと思いますが、どれだけ外の空気が熱いかよく分かりますよね。歌詞には出てないけど、多分全員の脳内が8月の煩いセミの声が聞こえているはず。これくらい温度を感じさせることで、今回のおことばの風景が絶妙に浮かび上がってくる。

本題:今回のおことばのすごさ
ポイントを整理したところで、もう一度今回のおことばを見てみましょう。

ー熱すぎるコンクリートには 何度"好き"と書いても蒸発して

じりじりと暑い、セミが煩い夏の日に、恋とは何かが分からない自分がそれでも「好き」と書いてみる。すぐに蒸発してしまうとか、この情景すごく目に浮かぶけど、多分ここまで正確に切り取れる人ってなかなかいないんじゃないかな。さっきの「生ぬるい味の空気」とかもそうやけど、まずこの時点であいみょんの言葉の技術が凄まじい。小説とか、映画とかにも稀にしかこういったすごい細かい描写って出てこない。出てきそうで出てこない、切り取り方。凡人のワイにはとりあえず無理。

で、多分このシチュエーションて、最初っから好きって書いてたわけではなくて、水を撒いてすぐに蒸発をすることを一度確認してから、何度も「好き」と書いているはずなんですよね。
この水を撒くというふとした瞬間にも、好きな人のことを考えてしまうという純粋さ。さらに言うと、すぐに蒸発するからこそ「好き」と書ける。なぜか。この時代の初恋は「好き」と言う感情はあるにせよ、「好き」を言葉にしたり、相手に伝えることが難しい。むしろ「伝えたくない」というか、「誰にも知られたくない」ことさえある。子供のころ思い出すとその感じ分かりますよね?……ね???伝えたい想いと知られたくない想いが入り混じった絶妙な感情が

ー熱すぎるコンクリートには何度"好き"と書いても蒸発して

となるわけです。知られたくない想いだからこそ、蒸発して消えてしまう。でも伝えたいから何度も書いてしまう。さらに甘酸っぱくなりません?
うわーーーーーー!!!!あまずっぺーーーーーー!!!!!!
これも全て、その前に書いた1・2のポイントがあるからより明確に浮かび上がってくるんですね。あっぱれ。

おわりに

今回あいみょんの歌詞を取り上げましたが、どうでしたか?有名なのでさらっと聞いていたかもしれません。無意識に聞いていても、作詞家というのは、無意識下に働きかけることばのテクニックをたくさん埋め込んでいます。歌詞のことばの世界は、他の文章を書くときにも印象操作にとても重要なテクニックがたくさんあるので、今後もちょこちょこ取り上げていきたいと思います。

やっぱり、歌詞楽しいな。。。では、また。

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