【連載小説】日雇いと愛(1話)
父が失踪して母親に女で一つで育ててもらった。ただ感謝しているとは思えない。母親は家に仲間を連れ込みお酒を飲み散らかし、部屋はタバコのヤニまみれとなり、僕の知らない男と遊んでいた。僕は将来のことを考えるのを放棄していた。そしていつのまにか高校を卒業してしまった。大学進学するお金も頭もなかった僕は何も考えず東京に上京した。
東京に行けばなにかが変わると思っていた。
一人暮らしは心地よかった。あの嫌い続けた人達が飲んでいた酒も部屋には散らかっていなかった。村社会特有の仲間意識も