アイヌを謡う【#シロクマ文芸部】
こんばんは、小説・エッセイを書いている樹立夏(いつき りつか)と申します。 このエッセイは、小牧幸助さまの下記企画に参加しております。
卒業の次は、すぐに入学式がやって来る。年度末は、何かと慌ただしい。図書館に置いてあったフライヤーを手に、その学び舎に向かった。そこは、大学というよりは、大きな自然公園のようで、敷居をまたぐと、空気にふっと余裕が生まれる。
今日は、アイヌ文化について聴講してきた。前々からアイヌファンを自称している。自称するからには、アイヌ文化を追いかけて、推していたい。せっかく北国に生まれたのだから、地の利を生かして、アイヌ文化を推していこう。
最近忙しかったから、自分へのご褒美も兼ねて、いざ、会場へ。会場はほぼ満席で、熱気に包まれていた。
この記事で特筆したいのは、アイヌの「謡」についてである。アイヌの方たちは、とにかく「謡う」。何人かで同じ節回しで謡う場合もあれば、ひとりひとり違う節回しで謡う場合もあるようだ。非常に興味深い。
神聖な儀式や、日常のあらゆるシーンで、人々は謡う。謡を記憶し、自分の口から子や孫の口へ、伝統を伝えていく。音声として伝達される言語様式の、なんと美しいことか。生きていることは謡うこと。ワクワクしてくるではないか。期待が高まる。
さて、お待ちかねの実演タイムだ。
まずは、口琴とも呼ばれる、アイヌの楽器「ムックリ」の演奏。これは……! まさに魂が震えた。森の中に迷い込んだかの如く、色々な音が聞こえてくる。鳥の書き声、水の音、もしかしたら、獣の鳴き声……?
これ、一人で演奏しているんですよね? と問いたくなるほど、色々な周波数帯の音が聞こえてくる。魔法だ。こればっかりは、文字で書き表すことができない。是非、機会があればどこかで演奏を聴いていただきたい。素晴らしい体験だった。
そして、知里幸恵さんによってまとめられた、アイヌ神謡集に出てくる謡を、会場に居合わせた人皆で謡った。その一体感。最初はカタカナを追うだけで精いっぱいだったが、少しずつ慣れ、謡う文化に触れられた気がして、とても楽しかった。
難しいことはわからない。ただ、アイヌ文化が好きである。その気持ちを大切にして、これからも推させていただきたい。
お読みいただき、ありがとうございました。
イヤイライケレ!
<終>
小牧部長、今週はエッセイ、書けました!
#シロクマ文芸部
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