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「飲食店のオーナーさん、そんなにスタッフのことを心配しなくてもいいから…」


「飲食店のオーナーさん、そんなにスタッフのことを心配しなくてもいいから…」
過去の私達に言いたい言葉だ。

従業員であるスタッフさんには、お給料を保証してくれる制度があるから。
雇用保険などの制度があるから。
オーナーさんが頑張りすぎると、スタッフもどんどん辛くなるから…

私達は、4年前にレストラン経営の会社を破綻させた。
一緒に働くスタッフを家族のように考えていた。
事業を縮小したり廃業しようと考える時に、一番心配になるのはスタッフのことだ。

売上が減少して資金繰りが苦しくなってくると従業員であるスタッフのお給料まで払えなくなる。
お給料日を遅くしたり分割したりしないと 払えないのだ。
給与が遅延すれば 生活がままならなくて辞めていくスタッフもいた。

ある店長さんは、僕がパートアルバイトさんの給与を立て替えましょうか?
なんて言ってくれる。
立て替えてもらっても、どうにかなるものではないからと言って
断ったが…

会社やお店が無くなったら、スタッフやスタッフの家族が困るだろう。
心配だった。

でも、本当にそうだろうか?

従業員という形で働くと雇用保険に入れる。
雇用保険という制度は
会社に何かあった時にも保証してくれる。
新しい職に就くまでの保証もある。

だから、破綻した後も弁護士さんや社会保険労務士さんの力を借りて
スタッフが雇用保険の手続きをスムーズにできるように書類を作り続けた。

このことは 後から振り返るとせめてもの償いを少しできたかな…
と思えた。

そして、先行きが見えない経営者が、無理に頑張り続けることで 
スタッフが他の良い待遇の仕事に就くことのチャンスを奪っていたのかもしれない。

後からそう感じた。

破綻したことによって、スタッフにもその家族にも大きな心配や迷惑をかけたと思う。
私達、経営者としてのちからのなさが招いた結果だ。
申し訳なくて 今でも会えないと感じている。


破綻してから数年後 やっと1人の元店長さんと会うことができた。

今は介護の仕事をしていて 娘さん家族と新築の家に住んでいた。

あの頃よりも とても幸せそうだった。

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