2023年、魔法使いの約束と歩いた道

人間の社会、魔法使いの社会が分断し続ければ、いつか、大きな衝突が起きる。その悲劇を避けたいんだ。

『魔法使いの約束』4周年イベントストーリー「きっと、きみと奇跡を」5話

 2023年、アプリゲーム『魔法使いの約束』は物語的にかなり大きな動きがありましたね。具体的に言うとメインストーリー第2部の完結4周年イベントです。ビッグイベントすぎる。4周年イベントは公式から「第2部から続く物語」とされていますが、ほぼ2.5部のような気持ちでいます。
2周年イベントも第2部プロローグじゃん!!! って悲鳴をあげてたらちゃんと公式Xで第2部前日譚って言われるようになってて安心した。早くメインストーリーに入れてほしい)

 まほやくに関しては本当に「読んでほしい…………」としか言えなくなってしまうので、まほやく紹介とか2023良かったねnoteを書こうかなと思いつつ書いてなかったんですが、精神的にボロボロになって疲れたので発作的に書いてて、支離滅裂な感じに書いていきます。真面目なやつじゃないです。まほやくの物語の全体的に好きなところ2023ここ良かったな〜と大晦日に考えてるとっちらかってるメモ書きです。多分今後もっとちゃんと書けばよかったとなると思うけど、2023……まほやく……ありがと……!! の気持ちをまとめたい気分でした。
 まほやく、イラストやBGMやメインテーマや衣装や動きや表情や色々たくさんいっぱい好きで、それが複合して合わさって良さが増して好きなんですけど、でも今回はわたしが一番まほやくの中でも好きだなと思って、そしてそのせいでわたしの心がめちゃくちゃになっているまほやくの物語の話をします。


▶︎まほやく物語上の好きポイント

◯たくさんの生き方との共存

 わたしはまほやく箱推し、特にルチル最推し南の住民です。ただ同時にたくさんの怒りややるせなさも抱いています。
 これを表明したのはどうしても色々な見方があるので最初に書いておけば分かりやすいかなと思ったからです。あとついでに言うとまほやく自体やキャラクターたちのことを一緒に人生を歩いてくれる友達だと思っています。

 さて、わたしはたくさん好きだなと思うものがありますが、特に好きなものの象徴として、絵本的で、おとぎ話的で、あったかくて素敵できらきらしているものに生きる希望をもらいます。
 ちなみによく分かるものとしてアルフォンス・ミュシャの「ボヘミアの唄」とKOKIAの「祈りにも似た美しい世界」をよく例に挙げます。すっげ〜〜分かりやすく好きなもの南なんですよね南は山ゴツゴツしてるけど。

 別段、好きなものそのものでなくても生きる力や希望は貰えたりするけど、その好きな世界と、他の世界とが同時に存在していて、お互いに魅力的で、どうやって一緒に生きていけばいいだろう、どうすれば共存できるだろうとすごく真剣に悩んでいけるところがわたしのまほやくストーリー特大好きポイントです。

◯傷ついて、乗り越えて、また前を向いて生きる

 わたしのすごく大事にしているものや、そう在りたいと思う理想、わたしの中になかったけど好きだなと思うものや、逆に自分の嫌なところや、他の人のハラハラするもの、そういったものが世界には色々ある。みんなのことが好きだし、大切な人の心を尊重したい。そして自分のことも大事にしたい。そのためには断固として譲らない芯があるのはもちろんですが、譲歩しあい、変わらなくてはならないところもあると思っています。そしてその過程で傷付かないことはないと思っています。

 何故そうしなくてはならないのかというのはまほやくの物語上では簡単です。〈大いなる厄災〉という世界共通の危機があるからです。
 そして「世界最強のオズ」でもできないことや不得意なことがあることをまほやくは明記しています(例:セーター)。好きなこと、得意なことが違って、1人では生きていけるかもしれないけど豊かにはならないと思います。

 でも同時に孤独を大切にすることも大切だと思っていて、だからこそ心をまとめたり、前に向く力を持てたりすることもある。

 あのあのでもさあ〜〜どうしたらみんな〜〜〜!!!!! 一緒に……道を広くしていけるのか……!!!! それが本当にいいことなのかっていうのはずっと分からないけど〜!!!!!! いやでもわたしは心を豊かにするのに必須だと思うんだけどよ……ねえ……時々でもさあ……一緒にお茶してお喋りようよ……ねえ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!! これは完全に私情です。

 そしてそういった色々としたものは現実世界を生きていくのにも考えていかなければならないことだと思っています。都志見先生のインタビューにもありましたね。わたしの書き散らしnoteも読むような人はみんな読んでる気がしますが一応リンク貼っておきます。このnoteを書くにあたって改めて読んで好き〜〜〜!! となりました。

きっと制作側が思っている以上に、読者さんやユーザーさんは物語に対して積極的だし、ストレスを受けた意味があったと思える展開が用意されていたら、つらいことも耐えてくれると思っているんです。
でもそれは、わざわざ物語を読んでつらい思いをさせたいわけではなくて、仮想の世界でそういう体験をしていれば、現実を生きるときにちょっと強くなれるかな、と思っているんです。

上記URL都志見先生のコメントより

 ちょっとずれますが、このコメント、わたしが芸術の創作や鑑賞における心理的効果の好きな昇華の概念とも重なってそうよねえ〜〜〜となって好きです。

美的反応の基礎には、芸術によって呼び起こされ、私たちにより現実性と迫真力をもって体験される感情があるが、それは芸術の知覚が決まって私たちに求める空想の活動のなかで自己放電をするということができる。この中枢放電のために感情の外的運動的側面はいちじるしく遅滞し、抑圧され、私たちは幻の感情を体験しているにすぎないと思ってしまう。この感情と空想の統一にあらゆる芸術はもとづいている。そのもっとも重要な特殊性は、それが対立的傾向の感情を惹き起こしながら、対立の原理のために情動の運動的表現を抑制し、対立的衝動にであうと、内容の感情、形式の感情を否定して、神経エネルギーの放電、爆発をもたらすということである。

ヴィゴツキー『新装版 芸術心理学』柴田義松訳、学文社

あらゆる詩的体験は将来の行動へのエネルギーをたくわえ、それに新しい方向を与え、世界を新しい目で眺めさせる

ヴィゴツキー『ヴィゴツキー教育心理学講義』柴田義松、宮坂琇子訳、新読書社

 引用長くなっちゃった。ヴィゴツキーめちゃんこ格好良くて好きです。
 わたしはまほやくに道徳的側面を感じるのもそうですが、全体的にこの芸術の心理的作用を実感として感じやすくて面白い〜〜!!と思っています。

▶︎2023年のまほやく

◯第2部完結

 本題に入るまでが長くなってしまったし眠くなってきたし残り時間的に本題の方が短くなるこれ。
 第2部、様々な変化があって、素敵なこともあったし、辛いこともあったし、まだまだ何も終わってねえが!??? の気持ちでもありますが、正しく前述した「変わらなくてはならないところ」が如実に描かれていたように思います。読んでない方は第2部読んでください。色々なところが明かされたり、明かされなかったり、進展したり、苦しんだりしています。

 正直なところ最初は「え〜毎月ちょっとずつ公開か……」と思っていましたが、満月の日に公開でちょっとずつ読んで、一緒に歩んで行けてよかったと思っています。もちろん一気読みでも物語自体としての良さは変わらなかったと思いますが、自分自身の体験として、イベントストーリーを読みつつ、待ち遠しいなと思いながら満月の日に悲鳴を上げつつ、自分の中で消化していって、また満月の日を迎える高揚感は貴重なものでした。

 第2部、何より大きかったのは各国指揮者メンバーたちの視点を見られたのがすごくよかったなと思います。晶さんは本当に真摯に友人たちやあの世界と向き合っていて、晶さん視点が大好きなんですけれども、それでも晶さんだけでは見えない世界や、誰かが晶さんには見せたくないと思っている世界がある。そして多角的に描かれることによってよりいっそう多くのものが届いてくる。だからこそあの第2部であんなにも心を動かされたところもあるなと思います。あとすごく単純に好きキャラが考えてること知るのめちゃくちゃ楽しい。

 本当に自分の考える以上のものを出されて、自分ひとりだけであれこれ考えているだけでは出てこない多数の視点を味わった感じで、第2部終わって少し経ちますが未だに色々考えているし、多分答えはしばらく出ないし、時間が経てば変わっていきそうな気もします。

 あとは個人的にルチルの呪文に関して後半「ego amo te」説を見かけてからずっと好きだったので、その地盤を固められたのがよかったです。もうなんか完全なるオタクアカウントすぎるんでnoteとこのX繋げてなかったんですがやった〜〜の気持ち今でも強いので載せちゃいます。やった〜〜〜

 ただ、考察は言うならば二次創作なので「そうなんだ!」とならずに「そう考えることもできる」という感じに受け取っていただけるといいなと思います。わたしも全然知識はないし、能力もない。考察って正解じゃなくて、まほやくのことがお好きな皆様が心に感じたそれぞれのものを大切にしていただきたいです。

◯4周年イベント

揺蕩う世界で奇跡を信じた。きみが微笑んだから。

『魔法使いの約束』4周年イベント公式ホームページより

 あの短い一瞬で、わたしはあのひとのことを友人だと思ったし、今も思っているし、そして会えてよかったと思っています。

 はあ〜〜〜〜〜4周年の傷癒えてないんですけど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 でもね〜〜あのさ〜〜〜〜〜〜感想として、とても美しかったし、あれはもう、もう、あれで、最良の形だとは思いますけどね……………………………………

どうにかならんか? ならんかあ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!! そっか……そっか……………………

 それぞれの大切にしたいものを大切にしたいけど、その難しさを改めて感じました。早くメインストーリーに入れてほしい。

 それであれだ、この冒頭に引用したアーサーのセリフのことを書きたくてこのnoteを書き始めたんでした。

人間の社会、魔法使いの社会が分断し続ければ、いつか、大きな衝突が起きる。その悲劇を避けたいんだ。

『魔法使いの約束』4周年イベントストーリー「きっと、きみと奇跡を」5話

 わたしは4周年ストーリーで、一番この言葉が頭に残っています。
 アーサーは人間と魔法使いに関して「分断」という言葉を使っています。そして、現代の社会問題に危機感を抱いている人々の書籍においても同様に「分断」という言葉をわたしはよく見かけます。そしてアーサーも言っていますが、頭に浮かぶのが対話の必要性です。

 私たちの社会はつねに理想の状態にはありません。だからこそ、私たちは、対話をくり返し、理想の状態に近づくよう努力してゆく必要があるのです。そのようなことができる人間を、私は素晴らしいと思います。
 異質な他者との出会いが失敗や対立を招くこともあります。しかし、失敗したなら反省し、対立したなら仲直りすればよいのです。
 失敗や対立は挫折ではなく、理想の状態に到達する過程です。理想の状態にはない社会では、誰もがそのような道を通ってゆくのです。だからこそ、異質な他者との出会いを面倒くさがることなく、楽しんでいただければと思います。

石田光規『「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える 』筑摩書房

 このあとがきものすごく好きです。『「人それぞれ」がさみしい』は去年読んだのですが、まほやくに想いを馳せまくりながら読みました。そして4周年イベを読みながらまたこの本を思い出しました。

 そう、あの、わたしそれなりに社会生活送ってるはずなんですけど、ここ数年になってまほやくと『BUSTAFELLOWS』で社会や倫理や共存のことを実感を持って考えている感があって……自我の生まれ人間生活最初そこだっけみたいな……。(バスタフェもよろしくお願いします)
 バスタフェのnote書いたときにも書いてた気がするけど、わたしの友人である彼らのことを思って、考えて、祈りながら、「わたしはこう思う」を積み重ねて生きてます。

 そうだなあ。4周年、フィガロやオズのしたこと、スノウとホワイトにフウィルリンとグワウリン、バルタザール、北の国の矜恃、ネロの覚悟。創作物と現実を混同するなと怒られそうなものではあるけれども、創作物としてテンションが上がることもあれば、現実の基準でどうしても考えてしまうこともある。それは彼らのことが大好きで、その誇りや生き様を格好いいと思い、尊重したいと思っていることとは別に。
 わたしはどうしたって命を大切にしてほしいなと思う。
 創作は創作として存在してほしいし、倫理観が現実と違うものであっても実際に身体的としては傷つくことのなく楽しめるのがフィクション物語創作の良さだなと思っています。でも現実に生きている人間が創作するものだから、芸術ってどうしてもやっぱり現実と切り離せないなとも思います。なんか、多分伝わらない人には伝わらない気がする。難しくないことだと思うんだけど難しいな。
 虐殺や戦争は反対だし、どんなことがあろうと決して許されないと思っています。

 年越した。2024年だ。
 自分にできることをしていこうと思います。

「深遠なるテーマだね。理解や不理解は魔法使いの人生において、とても大事なことだ。でも、今はいったん横に置いておいて。」

「深遠な人生のテーマを、猫をどけるような手つきで横に置いたな。」

「深遠な人生のテーマは、このくらいのジェスチャーで保留にできるものであってほしいからね。」

『魔法使いの約束』4周年イベントストーリー「きっと、きみと奇跡を」5話

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