見出し画像

Born Again Now (まっちゃん)


陽性だったよ

この時期にこんな言葉を聞くとコロナの話かと思うだろう。
しかし、我が家では喜びの言葉が続いた。
その日試していたのはコロナ検査キットではなく妊娠検査キットだったからだ。


彼女と付き合い始めたのは2008年。12年間という長すぎる恋愛期間を経て
昨年結婚した。

『披露宴をするまでは子供を作らない』と言っていた彼女だったが、披露宴が終わるとすぐに産婦人科に通い始めた。

今年で35歳という年齢や不妊治療をしている友達の話を聞いている影響か、色々トライする前から通院を始めた。
年が明けると、その影響範囲が広がり、私も病院に同行することになった。

個室に連れていかれ、『旦那さんに問題ないかチェックするから』と検査キットを渡された。

『上等だ。俺の力を見せてやる。』

エゴの塊だった幼少期によく自分に言い聞かせていた言葉を久しぶりに心の中で叫んだ。

案内された個室は漫画喫茶のようで、リクライニングソファー、テレビ、ビデオ、そしてティッシュが置かれていた。

幼少期と違い、潔癖気味でデリケートな男に変わっていた私は戦闘力がなくなった。

結果がどうあれ検査をしないと個室から出られない私は、目の前に置いてあるDVDを観賞しようと手に取った。

【人妻乱交】

あまりのセンスの無さと突っ込みどころの多さに完全に弱気になり、戦意も喪失した。


いずれにしても、妊娠検査キットの結果は陽性だった。まだ安定期にもなっておらず、本当に産まれてくるかもわからない。

しかし、この出来事は妻に大きな変化を生んだ。
明治維新や第二次世界大戦後の日本のように、大きなパラダイムシフトが起きた。

これまでセルフを感じさせることなくエゴの塊のように物質世界を楽しそうに生きてきた妻。
そんな妻が、産まれてくる(であろう)子供の教育に関連する本を読み漁り、youtubeの教育に関連する動画を観ている。
(これまで資格取得の参考書以外で本を読んだことなんてなかったのに)

付き合い始めた時、『女は家庭にいるものだ』と昭和的価値感を押し付けようとした私に、
『私(妻)は一生働き続ける。夫に依存すると家庭内で立場が弱くなる』と強い目力で語っていた彼女の面影は、、、もうない。

経済力を失い夫に依存することをあんなに嫌がっていた妻だが、個人事業主として10年以上働いて得た一定の固定収入を維持しようとすらしていない。
ジェンダーの話をするつもりはないが、圧倒的な女性の強さを感じた瞬間だった。『腹をくくる』とはこういうことなのだろう。

そんなセルフとは程遠いところにいた妻が今度はボランティア活動をしたいと言い出した。
小学生の授業を手伝いに行ったことはあったが、それも妻が好きな『天気』の話を妻が好きな『子供』にするという趣味の範囲でしかなかったのに...
ボランティア活動???(笑)


とにかく、『妊娠』という出来事をキッカケとして、凄まじいスピードで大きく変わっている。彼女は、過去の彼女を捨て、妊娠という変化にアジャストさせ新しい自分を産み出している。無意識に。

そんな妻を見ていると、彼女がBorn Again を無意識にしていることがよくわかる。恐らく、彼女自身も自分の変化に気付いていないだろう。

それは、Walaを通じて私が学んでいることであり、今の社会の大きな変化で私がしなければいけないと頭で考えていることと同じだ。

妻はWalaを学んでいる訳ではないが、体内に新しい生命が宿るという大きな変化をキッカケとして彼女自身の深いところから湧き出るサインに対して素直に自らを変化をさせている。

一方で、私は、今の社会変化を感じているし、変化の必要性も学んでいる。そして、少し自分を変化させているつもりでもいる。
しかし、もっともっと深い領域から湧き出るサインを感じ、そのサインに素直に、本当のBorn Againをしなければ、いつまでも表層的なBorn Againを繰り返すだけで終わってしまうのではないだろうかと感じた。

内省の量もBorn Againの質もまだまだ全然足りていないということなのだと思う。

『君、これじゃあ全然足りないよ』

あの産婦人科の検査の時に先生に言われた言葉の通りだ。

環境にひるんで言い訳している場合じゃない。もっともっと出し切らないと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?