Androidエンジニアあんざいゆき氏×RIZAPテクノロジーズ社長対談〈1/3〉
▶︎プロフィール
あんざいゆき/株式会社ウフィカ代表取締役社長。Google Developer Expert for Android。Android App Developer。Android 黎明期よりアプリ開発に従事し、長年の経験や知識をもとにさまざまな企業でアプリ開発の支援や技術顧問・アドバイザリーを行う。また、カンファレンスでの講演や著作などコミュニティ活動に力を入れている。著書「Android Pattern Cookbook マーケットで埋もれないための差別化戦略」(インプレス)、「わかる!ドメイン駆動設計」など多数
鈴木隆之/RIZAPテクノロジーズ代表取締役社長。RIZAPグループ上級執行役員
↓↓↓ PART2はこちら ↓↓↓
↓↓↓ PART3はこちら ↓↓↓
あんざいさん×RIZAPテクノロジーズ社長の
意外な共通点とは?
――本日はよろしくお願いいたします。
あんざいゆきさん(以下、あんざい):よろしくお願いします。「対談したいです」と言われたのはRIZAPさんが初めてですので、何を聞かれるのかな? って思っています(笑)。
鈴木隆之社長(以下、鈴木):えっ、本当ですか? 普通にお話したいと思っていました。すみません、わがままな会社で(笑)。
――お二人がお会いするのは今日で何回目ですか?
鈴木:1回オンラインでごあいさつして、今日が2回目です。なのでちょっと緊張しますよね。
あんざい:本当ですね(笑)。
――自己紹介をお願いします。
鈴木:2022年6月に設立したRIZAPテクノロジーズ株式会社(以下、「RIZAPテクノロジーズ」。RIZAPグループのDXを推進する戦略機能子会社)の代表取締役社長をしています、鈴木と申します。
大学卒業後、2004年に野村総合研究所に入社し、そこで戦略コンサルとして5年ほど働いたのちに、自分で事業をやりたいなと思って2009年にDeNAに転職しました。モバゲータウン(DeNAが運営する携帯電話向けのポータルサイト兼ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がちょうどソーシャルゲームに参入するころですね。僕はdocomoと一緒に立ち上げた、携帯小説を投稿できたり、プロの漫画家さんのコンテンツを読み放題したりできる『エブリスタ』という事業の立ち上げを担当しました。
ちょうどAndroidスマホが登場し、docomoも「Androidスマホを売るぞ!」と意気込んでいたころです。当時docomoは、まだiPhoneの販売をしていなかったんですよね。エブリスタの事業自体もスマホベースで立ち上げており、プロダクト開発やマーケティングはAndroidメインでやっていたこともあって、実は僕のプライベート携帯はそこからずっとAndroidです。
あんざい:そうなんですね!
鈴木:はい、会社の携帯はiPhoneなんですけど。その後、2011年にリクルートに転職してOisixとのジョイントベンチャーとして設立された食品ECの会社の取締役を務め、2015年にPontaポイントを運営しているロイヤリティマーケティングに出向してのちに転籍。CDOとして、デジタルとデータの責任者をやっていました。
その後2021年の5月にRIZAPグループ株式会社に入り、現職に至ります。よろしくお願いします。
あんざい:RIZAPに入ってからは、もうずっとchocoZAPですか?
鈴木:入社時点はchocoZAPの影も形もなかったのですが、そこから3カ月後ぐらいに「(chocoZAP事業を)やろうぜ!」となりました。ほどなくして「無人でやるぞ」「じゃあアプリも作らなくては」…という流れです。
当時エンジニアは誰もいなかったので「そんなこと言われても」と思っていたころに佐藤さん(プロダクト開発統括1部部長)が入社してくれたのですが、とはいえ佐藤さんしかいない(笑)。
そこで、最初は外部の会社さんに協力をお願いする形でなんとか立ち上げて、サービスをスタートしました。
そこから本格的に作業を進めて内製化に取り組んで、今に至ります。
Android開発者の道は
1台の「Dev Phone」から
――あんざいさんがAndroidの開発を始めたきっかけはなんでしたか?
あんざい:大学院生だったころにGoogleが日本でGoogle Developer Dayというイベントをやったんですよ。自由に開発ができるということと、Google Mapを外で見られるというのに衝撃を受けました。
そのときに Dev Phoneというデバイスを配っていて、それを手に入れたことが最初のきっかけですね。
当時はJavaFXでデスクトップアプリを作っていたんですけど、それをスマホに移そうと思ったのが最初でした。
ただ、もらったデバイスはWi-Fiオンリーだったので、外でGoogle Mapが見られなかったんです。
その翌年、docomoから最初のAndroid端末としてHT-03Aが発売されたので、どうしてもそれが欲しくて予約して買って、そこから本格的に開発を始めるようになりました。
鈴木:HT-03A、懐かしいですね(笑)。
あんざい:そこからAndroid開発者のコミュニティなどの勉強会に行くようになって、知り合いも増え、自分で発表をする機会も増えていきました。
大学院を出た後は院生時代にバイトしていた会社にそのまま就職したのですが、Xperiaなども出てきて、開発者コミュニティのつながりからアプリ開発が仕事として成立するようになっていったんです。
転機になったのは2011年の3月でしょうか。技術書を商業出版させていただいたのと同じ時期に3.11もあり、「やりたいように生きよう」と、新卒で入った会社を1年で「やめます」と言いました。
鈴木:本当ですか(笑)。
あんざい:はい(笑)。それで退職して会社を作って、なんだかんだ十数年やっています。
鈴木:そこからずっとAndroidアプリの開発を続けていらっしゃるんですか?
あんざい:そうですね。ただ、以前に比べて今はアプリの規模が大きいため、最初に全部決めて納品するのは無理がありますし、作っている途中で仕様を変更することもあると思うんです。ですので、会社設立当初は結構まるっとアプリを作る仕事もありましたけど、今はもう完全にこういったアドバイザーをさせていただくか、業務委託で実際にコードを書くかという仕事の仕方になっています。
あんざいさんに技術顧問就任を
お願いした理由
――あんざいさんを技術顧問としてお迎えすることになった経緯についてお聞かせください。
鈴木:はい。全体的な流れとしては、Androidに限らず、chocoZAPのシステムのクオリティーも開発の効率も上げていかなければ、という課題があるからです。
chocoZAPはすべて無人のサービスですので、入会もWEBまたはアプリ上での手続きになりますし、ジムへの入退館もQRコードをかざすだけ。ですので、アプリが落ちるとジムに入れません。
しかも会員数も昨年で100万人を超え、フィットネス業界No.1になりましたので、アプリにちょっとでも障害が起きると結構大事件になってしまいます。なおかつ、今後、より多くのお客さまにサービスを提供していこうとも思っていますので、それでもいい形で価値を提供できるよう、あんざいさんのお力添えをいただきたいと考えています。
鈴木:もう少し具体的にお話しすると、弊社では内製化に向けた採用と、FlutterからSwift、Kotlinへの切り替えも一気にやっています。
その結果、社員も業務委託の方も増えましたが、「社内だけで開発をやるのではなく、外部からも顧問の方にお入りいただいたほうがいいよね」となり、Rubyは松田明さんに、iOSは松館大輝さんにそれぞれ顧問になっていただきました。
「じゃあ、Androidは?」となったときに、社内で「あんざいさんというすごい方がいる」となりまして、ご依頼申し上げました。
あんざい:そうなんですね! 私はてっきり松館さん経由だと思っていました。
松館さんは以前 Firebase のGoogle Developer Expertをやっていたので、そのときからの知り合いです。最近、わりと一緒に仕事をすることが多いんですよ。
鈴木:そうでしたか。松館さんとはDroidKaigiの際、弊社主催のドリンクアップ(懇親会)でご一緒させていただいたのがきっかけなんです。iOSDCではなくて、Droid Kaigiという(笑)。あのときは、さっきあんざいさんがおっしゃっていたように、「Dev Phone をもらったことをきっかけに、開発を始めた」という方たちがいらっしゃって。
あんざい:それ、「Android老人会」です(笑)。
鈴木:そうそう!「老人会」っておっしゃっていました。迫力のある方たちがいるなあと思っていたんですが、そのテーブルに松館さんもいらっしゃいました。
あんざい:確かに。松館さん、「 RIZAPさんの懇親会に行く」っておっしゃっていた気がします。
PART2では、あんざいさんが技術顧問を引き受けた理由や話題のコンビニジム「chocoZAP」事業の現在地についてお届けします!
>>>PART2「開発に対するそれぞれのこだわり」へ続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?