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ダウンライトは使うな

過激なタイトルを付けてしまいました。笑

ダウンライトとは、天井に埋め込み設置する直径10cmくらいの照明器具のことですね。もっとも一般的かつ初歩的な照明と言ってもよいでしょう。

賃貸住宅などではシーリングライト(円盤型の照明)が多いですが、注文住宅などになると、シーリングライトは野暮ったいしダウンライトがいいよね!と考えられがちです。ハウスメーカーや工務店も、黙っていればダウンライトで設計してくることが多いのではないでしょうか。

ですが、ぼくはダウンライトの使用は避けるべきと考えています。

理由は「空間の美しさを引き上げるため」です。
順を追って解説していきますね。


美しさは、無意識的認知の積み重ねによる

あなたは空間を見るときに、天井を意識しますか?

よほど建築好きでもない限り、ほとんど意識しないですよね。それが普通です。

でも、無意識には見てる(目に入ってる)はず。そして、その無意識に目に入っているものが、空間がイケてるかどうかの判断に影響をおよぼしています。

もう少しわかりやすく言うと、天井が美しいかどうかが、空間全体の印象に大きな影響を与えている、ということ。

無意識に見ているもの一つ一つの積み重ねが、なんとなく感じる「空間の良さ」を形作っているわけですが、その中でも、天井が与える影響のウエイトは意外にも高いんですよね~というのが今回の話になります。

今後、あらゆるところで意識して見てほしいんですが、天井にダウンライトなどの器具がたくさん付いている状態は、端的に言って美しくありません。

特に、図面上で「この場所には照明ほしいよね」といった感じでプロットしていくと、実際の空間ができあがったときに雑然とした印象を与えることになります。

この天井にダウンライトがついていたとしたら、、
随分と野暮ったくなってしまいます。

天井に器具を付けない照明計画を考える

天井を美しくすべきだというのはわかった。では、そのためには、どうすればよいのか?

一つの答えは、タイトル通り、ダウンライトを使わないこと。だからと言って、蛍光灯やシーリングライトのような天井付けの照明を用いては意味がありません。壁付けの照明やペンダントライト、あるいは置き型の照明を使っていきます。

そうすることで天井面がすっきりします。天井のノイズが消えると、空間自体も驚くほどすっきり見えます。良質な空間をもつ住宅は特に、天井がきれいであることがほとんどです。ぜひいろんな事例を見て確かめてみてください。

2つの副次的効果

ダウンライトを使わなければ、天井がすっきりする以外にも2つの副次的効果があります。

1)空間に陰影ができる。
(少し大げさな表現ですが)情緒的空間になります。現代は、すみずみまで煌々と照らすことが正解かのような空間づくりがとても多いです。が、「陰影礼賛」という言葉があるように、日本人は古来より暗がりのある空間に魅力を感じてきた民族。最初は暗いと感じるくらいが、快適に過ごせる明るさだったりします。

2)空間の重心が下がる。
落ち着いた空間の獲得にもつながります。空間の用途によって好し悪しありますが、個人的には、重心が低い方が総じてかっこいいと思ってます。

ロフト空間で天井が低いのですが、照明が低い位置にあることで
空間の重心が下がっていて、圧迫感がありません。

以上のように、ダウンライトを使わないという一点だけでも、画一的な空間デザインとは少し距離を置いて、空間の質をあげることができます。ぜひチャレンジしてみてほしいところです。

まぁでも、これはもちろん極論。どうしてもダウンライトを使いたい場面もあります。

次回は、どうしてもダウンライトを使いたいとき、どのように使うのがよいか?についても書いてみたいと思います。

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