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Yahoo!広告のこれから|広告運用者が気にかけておくべき、たった3つの事

川手@RKawtrです。

昨日(2020年2月5日)Zホールディングス株式会社の2019年度第3四半期決算発表会が行われ、その中で「Yahoo!広告」についても言及がなされていました。 決算発表会で共有された「Yahoo!広告」の要点は、下記の通りです。

Yahoo!広告詳細内訳&資料

検索連動型広告
前年同四半期売上収益+24億円。表示オプションの改善がヒット。

YDN等
前年同四半期売上収益+3億円。
PCブラパネ枠を結構運用型配信にしたけど、それでもアンチトラッキングの影響、一部広告メニューの影響でマイナスがあってそこまで伸びず。

プレミアム広告
前年同四半期+18億円。高単価な動画広告が好調+ショッピング広告の成長が目覚ましく大きく伸び。

またこれらとは別に、PayPayを使った新しい動きについても、様々な言及がなされました。詳しくは実際の資料をみていただいた方がわかりやすいと思いますが、マーケターなら「paypayやべえ!ダウンロードしないと!」となってしまうのではないかと思います。そのぐらい魅力的です。(ちなみに資料は下記リンクから閲覧できます。特に「プレゼンテーション資料」は必見!!です)

PCブラパネの運用型配信など、「Yahoo!広告」はこの1年で急速に変化しています。

しかし、今後1〜2年ではさらに激変が起こるのではないかと自分は考えています。モバイル版のブラパネもPCブラパネ同様に運用型配信に切り替えとか、そんなチープな次元の変化ではなく、ここ数年の中ではトップクラスの変化が起きるのではないかと思います。Yahoo!に流れ込むユーザーの質が根底から覆り、大きくブレイクスルーが起こるのではないかと思います。(詳細後述)

私は昨年の8月に書いた記事の中で、ヤフーについて「沈む船である」と発する元社員の言葉を引用し、「私は、ヤフーを沈む船だとは思っていない」と提言しました。

今回は上記の点を踏まえ、広告運用者が今後「Yahoo!広告」に関して気にかけておくべき3つの事をご紹介できればと思います。またその中で、いかに沈む船ではないのかについても、具体的に触れていければと思います。

(1)まずは手堅く検索連動型広告から動いているという事

まず、手堅く検索広告からきているという印象です。Google 広告の仕様変更に追従し、まず手堅く今のテクノロジー、技術をそこまで投下せず、マネタイズを図っているという印象です。

半分冗談ですが、半分本気です。

海外からのアクセスにGDNを積極的に露出するというのは「良い手か」と言われればそうではないのですが、「手段選んでる場合じゃないぜ!」って雰囲気も...嫌いじゃないです。というか、むしろ結構好きです。細かいところだと、他にもこんな感じの変化が結構目まぐるしく起こっています。

他にも、例えば直近だと検索広告の表示形式が、よりSEOに近い形に変更されました。これによりクリック率やもちろんYahoo!広告(検索広告)全体の広告売上収益にも大きな影響が出ていることは間違いありません。決算発表会のスライドでは「表示オプションの改善」とのみ記載されていますが、そんな単純なことで+6%も上昇するのでしょうか。(ちなみに「事業指標推移表」という資料で、Qごとの伸びをみることが出来ますが、伸び方が2016年の拡張テキスト広告導入時と同じ感じに伸びてます)

まあ...Yahoo!が「表示オプションの改善で伸びた!」といったら「表示オプションの改善で伸びた!」んでしょう!

「表示オプションの改善」にもしかすると「広告の表示方法」そのものが含まれているかもわかりませんので。もうこれ以上は、特に言及しません。

またYDNではPCブラパネを運用型配信に部分的に解放し、即マネタイズできる枠として確保した立ち回りが個人的には好印象でした。中途半端な機能のメニューを実装しても、長期的に売上には繋がりません。「PCブラパネを手放しても大丈夫、とっておきを用意しているから」というYahoo!の頼もしい感じには、大いに期待できます。

このように、まずは手堅く「検索広告」から着手し、リスクがないところでかつ、技術的に即解決可能なところから動き始めている印象です。逆にYDNなどは現在「対アンチトラッキング」や、「新規広告メニューのための仕込み」にリソースを割いていると考えるのが自然でしょう。対アンチトラッキングは、長期的に見ても避けては通れません。大きな課題ではありますが、ゆえに解決することによるメリットも大きいので、時間をかけてでも取り組む価値のある課題であるとの判断のもと、少しづつ取り組んでいると考えるのがセオリーでしょう。

(2)いったい誰が「Yahoo!」を使っているのか

「モニターではなくてエンドユーザーの顔をみろ」とはよくいったものですが、僕らもそもそもYahoo!の利用者層を意外とよく知りません。その昔、私の親世代(50代)は初めて買ったPCのInternet Explorerの「ホームページ」(起動して一番最初にみる画面)が「Yahoo!Japan」だったりしたので、その年齢層の方の多くが、Yahoo!の検索を使い続けているイメージがありますが、スマホが普及し、例え40代・50代であったとしても、近年Google 検索に流れたユーザーも多かったのではないでしょうか。また「Yahoo!」全体で言えば、例えば普段は全く「Yahoo!Japan」の検索は使わないものの、Twitterでニュースが流れてくれば「Yahoo!ニュース」を見たり、「ヤフオク」はアプリで常時チェックしていたり、「Yahoo!天気予報」だけは見にいく人がいたりと、「Yahoo!」を誰が使っているかと言われると、即答できない人も多いのではないでしょうか。下記資料はYahoo!が公開しているYahoo!ユーザーについてのデータです。

見ていくと...どうやら40代・50代が特に多いことがわかります。逆にそれらの年齢層に比べてミレニアル世代、それ以下の年齢層の獲得には苦戦しているようにも見えます。「所得が高い層が多い」とか書かれていますが、そんなことを言っている場合ではありません。メディアにとって、若年層が獲得できていないというのは致命傷です。のちの40代・50代となる彼らが獲得できていなければメディアに未来はありません。なので若年層を「狙わない」という判断は、現時点でまずあり得ません。では、どのようにすれば特にミレニアム世代、それ以下の年齢層のユーザーを獲得できるようになるのでしょうか。

(3)Yahoo!の「今」から「未来」を予測、先回りする

前述した通り、Yahoo!は広告面ではアンチトラッキング問題、利用者面では40代・50代以下の年齢層が獲得できていないという問題を抱えています。これはメディアにとって大きな課題です。そこで救世主となるのが、PayPayなのです。たとえばYahoo!はPayPayを用いた来店コンバージョンの計測機能の提供を開始するなど、すでにPayPayを使った新しい動きを見せ始めています。しかしこれは、ほんの一部でしかありません

自分は、PayPayのもっとも優れた点は、キャッシュレス媒体が基本的に備えている「支払いをもっと便利に」という機能以外に、人間の誰しもが持ち合わせる「小銭をちょっと稼ぎたい」という心理にコミットしている点ではないかと考えています。なぜ利用者が増え続けているのかと言えば、魅力的なキャンペーンや広告展開が数多く展開されている影響はもちろん、それらがすベて「小銭を稼げるかもしれない」という人のスイッチを押すという点に集約されているからではないかと考えています。

また加盟店も、血の滲むような営業マンの努力の末、増え続けています。

このようにPayPayを伸ばすという大規模な、ほぼ博打状態の勝負は、もう後戻りできないところまで来ています。しかし、その一方で「PayPayユーザーが増えてもYahoo!Japanには影響がないのでは?」と不思議がっている方も多いはず。ここでよく考えて欲しいのが、この裏にはソフトバンクGがいるということ。

たとえば...ブラパネを経由してPayPay用のクーポンを配布し始めたら、何が起こるでしょうか。(これについては確信はありませんが、「PayPayリテールギフト」を使えば、技術上は可能かと思われます)

まず、「若年層向けにサービスの認知度を高めたい」という企業にとって、このクーポン配布は願っても無い手です。例えば大手百貨店など、若年層獲得の手段を模索する企業にとって、あまりにも安すぎる広告費に思えることは間違いありません。

また、はじめのうちはクーポン欲しさに人がYahoo!に来るだけかもしれませんが、例えば若年層がクーポン欲しさに定期的にYahoo!に流入しはじめ、Yahoo!を使い始めたら、それだけでもYahoo!にとっては美味しい話です。

彼らは確実にYahoo!IDを発行し(場合によってはここでPayPayもダウンロード)、PayPayとIDを紐付け、クーポン取得後に高確率で実店舗を訪れ、PayPayで支払い、クーポンを使用します。 彼らはその後PayPayを使用しなくなるかもしれませんが、中にはPayPayを使用し続けるユーザー、スマホを機種変してもPayPayを愛用し続けるPayPayヘビーユーザーも生まれるかもしれません。これが人生初のキャッシュレス経験となり、癖になるかもしれません。一方で、PayPayと紐づいたIDには購買データが溜まり続けます。データは「ある」だけでは意味がありません。むしろうまく「捌く」ことの方が重要です。Yahoo!がつい先日「データソリューションサービス」を発表しました。購買データをうまく「捌く」技術が社内で成熟すれば、もしかするとPayPay購買データを活用した、YDNにおけるターゲティングリスト化はもちろん、それよりもダイナミックな広告展開に応用できるシーンが生まれるかもしれません。どうも私には、この辺りが地続きに見えてならないのです。

話を元に戻します。この手のクーポンに真っ先に飛びつくのは、基本お金のない若年層が中心です。しかし、Yahoo!が今もっとも求めている層こそが彼らであり、彼らこそが未来の40代・50代なのです。なので、正直それだけで投資する価値があり、「キャッシュレス化」という波がきている今の日本ならなお、今PayPayへの投資を怠るわけにはいかないのです。そして上記一連のYahoo!の取り組みを見据えて、広告展開やメニューへの対応、営業活動もアレンジして展開していく必要性がある部分も出てくるのではないかと思います。「今」が明確にわかれば、「未来」が見えてきます。なのでグッと先回りしちゃいましょう。

最後に

ぶっちゃけ私自身、PayPayを使ったことがないのですが...と言いますのも、「100億円あげちゃうキャンペーン」に始まるPayPayの一連のキャンペーンに強烈な既視感を感じていたのですが、正体がわからず、違和感を感じていたからなんですね。しかし先日、西井さんの『サブスクリプションで売上の壁を超える方法』を読んでいた時のこと。次の一文を読んでいて、電撃が走りました。

2000年はじめのころでしょうか。街頭で、Yahoo!BBがADSL(電話回線でインターネットに接続するサービス)のモデムを無料で配っていました。このモデムを使っているユーザーは、まだ100万人規模でいるそうです。あのとき、1台配布あたりにかかっていたコストが、仮に10万円であっても、その後の月々のネット利用料を考えると、もうとっくの昔に回収できていると思います。 
   
『サブスクリプションで売上の壁を超える方法』西井敏恭・著より引用

超衝撃的でした。「せや!昔のソフトバンクの戦略やコレ!」となり、非常に合点がいったのです。また本日このnoteを書き、PayPayのすごさを体感することができたので、このnoteを書き終えたらダウンロードします(多分)。また一連のキャンペーンからは「優れたものは俺たちの力で"無料"にして、もっと日本中に広げていこう」という、かつてYahoo!が持ち合わせていた「フリー戦略」の気概を感じます。(Yahoo!メールとか個人的には無料で使えて衝撃的でした...今では当たり前ですが)

そして上記ADSLモデム然り、超長期先行投資を得意とするソフトバンクの特技とも見事に組み合わさり、ハイブリットな戦略展開が同時に展開されているのがPayPayなんだな...としみじみと認識した次第です。自分自身PayPayを使う事で、超長期先行投資の大切さと、驚異のフリー戦略を間近で学んでいければと考えています。(嘘です、ただ便乗したいだけです) 

Yahoo!やべえよ、まじ全然沈む気がしない...

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