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マルチカメラ収録のタイムコード同期についての検証(準備編)

複数のカメラを使って、映像収録を行うことを「マルチカメラ収録」(マルチカム収録)と言います。収録した映像を編集するためには、それぞれの映像のタイミングを合わせる「同期」の作業が必要になり、映像編集ソフトにはそのためのいくつかの機能が備わっています。

中でも精度を求めるプロフェッショナルな方々は「タイムコード」を用いた同期を行うそうです。プロ用の業務機材にはタイムコードを扱える機能がついていますが、なかなか高価で手が届きません。最近は小型化やワイヤレス化も進み、こちらの記事のような専用の機材も使われるそうです。

一方、安価でDIYできる方法として、民生機の一眼レフカメラとアナログケーブルを使ったタイムコード同期について実験をしてみました。前回書いた「マルチカメラ収録のタイムコード同期について勉強中(前編)」からお読みいただければ幸いです。

まずは概念を

用いるタイムコードは「LTC」です。かつてはテープの音声トラックに記録して使用されたもので、かれこれ20年以上前になりますが、私も音楽レコーディングの際に、マルチトラックテープとシーケンサーの同期にLTCを使っていました。

LTCはただの「音」なので、音声として再生すると「ギャーーー」みたいな機械音が鳴りっぱなしになっています。

そのLTCを一眼レフのマイク端子から入力して、映像と一緒に記録しておく方法を取ります。幸い一眼レフにはステレオ音声が記録できるので、片方のチャンネルにLTCを、もう片方に(声などの)音声も録音しておきます。これで同期のための手がかりを2つ記録しておけるということです。

接続はアナログケーブルで

カメラにLTCと音声を送る機材ですが、有線のケーブルを使いました。カメラの台数分、信号を分岐させる必要があります。私の場合、たまたま知人の撮影スタジオから処分品の「ART MX225」という機材を譲り受けて所有していましたのでこれを使いました。

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ラックマウント機材で仰々しいですが、2000円ちょっとで買える、こんなヘッドフォンアンプとかを用いれば、もっとコンパクトにできると思います。

私の手持ちの一眼レフPanasonic「GH2」のマイク入力端子は2.5mmサイズのミニミニジャックなので、変換を使います。

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マイク入力のメーターをご覧ください。LチャンにLTCを入力しているので、メーターが触れっぱなし。Rチャンにはトークの音声を入力しているので、メーターが小刻みに触れているのがわかります。このように、LとRの2チャンネルを、完全にセパレートした別々の音声トラックとして扱えます。

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話が前後しましたが、今回の実験の被写体はタイムコードを表示したiPhone(とワンちゃん)です。タイムコードを入力して表示することができるアプリはいくつか存在します。今回はTC ToolBoxを使用しました。
※iPhoneに音を入力する方法については今回割愛します

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タイムコードは29.97fpsのノンドロップフレームを用いました。ドロップフレームとノンドロップフレームの違いや、フレーム数などについては特に説明しません。興味のある方は調べてみてください。

あと、そもそもどうやってLTCを発生させているかについてもこの場では割愛させてください。ごめんなさい。話が進みませんので。

さらに、リファレンスシンクの問題についても触れません。今回用いている信号はアナログ信号であること、当方所有の一眼レフ(GH2)にはリファレンス用のシンク信号を入力する術がないためです。3台のGH2はそれぞれのクロックで自走しますが、出来るだけ条件を揃えるよう、ファームのバージョン、撮影設定、使用するSDカードなど、諸条件は可能な限り揃えています。

さて、iPhoneの画面に向けて3台の一眼レフを設置し、それぞれに同期用の信号を入力し、実験の準備が整いました。

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サンプルの音声として、以前収録した約50分間の対談音声を用います。検証用の素材として、3台のGH2のHDMIスルーアウトを映像スイッチャーに入力してスイッチングしたプログラムアウト映像も、映像レコーダーでProRes記録しておきます。

結果どうなったかは、次回に続く。長っ

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