「ふられちゃったんだって？かわいそう」
身に覚えのない情けをかけられた。

同じ職場に挨拶をかわす程度の男性がいた。
私の所に、書類を持ってきた時に
「この間スノボに行ったんだ」
社交辞令程度に、行ったことないから行ってみたい。
顔はパソコンに向けたまま答えた。
それが始まりで終わりだった。

この会話を聞いた人が
「あの2人、スノボに行くみたいだよ」
と広め
「あの2人、スノボに行ったんだってよ」
になり
「でもあの男性、別の所の彼女とまだ別れてないよね？」
「あの男性と彼女(間違っても私じゃない)が○○でデートしてたよ」
「男性もそうだけど、彼女(↑のデートしてたらしい)も遊んでるよね」
とワクワクもくもくされ

最終形態は
「私と男性はスノボに行き、付き合う事になったが
別の彼女と別れる事なく続いていて
どうやら振られるのは私の方。
大丈夫？ふられちゃったんだって？かわいそうだね。
そもそもあの男性で大丈夫なの？」

ちなみに、もう一度書くけど男性とは挨拶をかわす程度。
最初の会話が冬で、最終形態になったのが春。
数ヶ月の間に、どれだけの人間が尾ひれを足し、足を足し、どれだけの人間に広めたことか。
当事者達を差し置いて、他人だけでよくここまで大きくすることができたねと少し関心。
寧ろ、他人事だから大袈裟に広められたのか。

蛇には足を足しちゃいけないって習わなかったのかな？

結局、最初に噂を広めた人を探し当てることはできず
男性とも話をしないまま移動となっていった。
最初に噂を広めた人って思ってたけど、最初だろうが何だろうが広めた人みんなが楽しんでた。
ちなみに優しくて厳しくしてくれた人が、最終形態を教えて心配してくれた。

そんな数年前の話。
何年も経ったけど、この時の職場の人に会うとこの話になる。

今回は、優しい人が何も知らない私に噂を教えてくれたけど
現実は、有りもしない噂だらけで溢れてるんだろうね。
しかも当事者は知らないまま。

人間って暇だとろくなこと考えないよね。