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相手の感覚に沿った文章を書けるかどうか。

僕はもともと写真の専門学校に入り、フォトグラファーを目指した人間です。当時は写真や映像などの視覚的表現が好きで、文章にはあまり興味のない人間でした。

しかし、学校を卒業後に身を置いたのはスポーツ系雑誌の編集部(いろいろあって)。

写真を撮ることもあったのですが、どちらかと言えば執筆や編集、インタビューを主に行うことになり、いきなり文章と向き合うことになってしまったのです。

しかしこの時期があったおかげで、文章のルール、伝え方のテクニック、人に話を聞く時の心構えなど、数々の伝える力を学ぶことが出来ました。まぁ慣れないことの連続で、友人からはどんどん生気が失われていっていると言われていましたが笑

誰でも使える文章の力

文章というのは、伝える力がシンプルに強い技術・方法だと思っています。

正しい文章を書いて、正しく伝えることが出来れば、多くの人に自分の考えや思いを伝えることが出来る。

写真や映像とはまた違う表現ですが、日本人なら誰もが理解することができる言語を用いて、人へ思いを伝えることが出来る技術が、文章。改めて意識すると、素晴らしい技術だなぁと心から思います。

しかし、その文章への捉え方が、少し誤っていたなと、最近気づく機会がありました。

「正しい」文章の勘違い

ポスターデザインの仕事を請け負ったときのこと。とあるクライアントさんへ、修正や要望をメールでお送りすることになりました。

抜け目なく、的確に要望を伝えたかったので、分かりにくい表現は避けて、「正しく」文章を組み上げたんです。何度も見直して作った文章だったので、僕の感覚では完璧な文章だと、そう確信していました。

しかし、その文章を送信した後、なかなか返事は帰ってこなかったんです。

2日後。返信は未だになかったので、心配になって電話してみると

「よく分からなかった」

との一言…。

いやそんなはずは…と思い、自分の文章を再確認したのですが、やはり抜けなくしっかりと要望が伝えられていた文章でした。

ただ…話を聞いてみると、意識できていなかった自分のミスにすぐ気づいたんです。

「長い文章で見ると、よくわからなくなってくるんだよ。短めに、やること教えて貰ってもいいかな?」

こういった話が帰ってきました。

この時、ハッとしたんです。

そもそも、文章は正しいか正しくないかではなくて、伝わることを念頭に置かれたものじゃないか、と。

表現や文法が一般的で、正しいとされているものであっても、相手に伝わらなければ意味がない。

相手が分かりにくい構成や表現を使ってしまったら、絶対に相手には伝わらない。例えそれが、文法表現的に正しいものであっても。

正否ではなく、相手に伝わることを第一に。

この経験から、文章を「正しく」伝えるということには、そこまで重点を置かなくなりました。相手に伝われば、それが一番良い文章。何が正しくて、間違いかなんて、まぁ時代によって変化していくものですし。

ということで、文章の正否ではなく、相手に伝わる、相手の感覚に沿った文章を、今後も意識していこうと思ったのでした。

とはいいつつ、経験を積んだり、相手のことをよく理解しないと「伝わる」文章は作れないので、気づいたからには毎日精進です。今後も、文章と向き合いつつ、より相手に伝わる文章を書いていきたいと思っています。


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