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#3 やさしい日本語で、お察し社会は変わるのか

GPT-4を使って「やさしい日本語」へ言い換えてみよう
https://engineers.ntt.com/entry/2023/12/20/085542#fn:1

Input

はじめに

Input資料では、日本人の就労人口の減少と、外国人労働者数の増加・グルーバル化を見据えて、日本語をやさしい日本語に言い換えるための生成系AIの活用について記載されていました。

私自身、以前から感じていたこととして、
観光地にある歴史的な建造物の案内板の多くが、大人にも難しく、小学校の子供には理解できない点です。

二条城の天守閣跡の案内板
鎌倉・鶴岡八幡宮の案内板

ChatGPTで「やさしい日本語」にしてみよう

Microsoft Edgeブラウザで、ChatGPT-4が利用出来るため、さきほどの2つの案内版をChatGPTを用いて、やさしい日本語にしてみましたが、あまり日本語の難しさは、変わりませんでした。

Microsoft EdgeブラウザのChatGPT-4(Copilot)画面
Copilot(ChatGPT-4)を利用

下記の文章を外国人でも分かるやさしい日本語にしてください。

#文章
✳原文✳

プロンプト(ChatGPTへの指示の仕方)

ChatGPT+やさしさガイドで「やさしい日本語」にしてみよう

そこで、Microsoft Edgeでは、開いているサイトのページと組み合わせて、ChatGPT-4(Copilot)が利用出来ることから、「在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」をもとに、さらに改善を試みてみました。
(92484001_01.pdf (bunka.go.jp))

在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」のPDFを開いて、ChatGPT-4(Copilot)を利用

この文書を参考に、下記の文章を外国人でも分かるやさしい日本語にしてください。

#文章
✳原文✳

プロンプト(開いているページを利用したChatGPTへの指示の仕方)

結果は、下記のとおり、格段に分かりやすくなりました。
「445メートル(正しくは445平方メートル)」等、細部に誤りは有るものの、文脈は、ばっちり合っています。

「在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」のPDFを開いて、ChatGPT4(Copilot)を利用
(参考)やさしさガイドの利用前・後での結果比較

こちらを方法をもとに、さらに難易度の高い鶴岡八幡宮の案内板をやさしい日本語に言い換えてみました。

こちらも、文脈は、おおむね合っており、格段に読みやすくなりました。
文脈の誤りも「京に於ける内裏の位置に据えて」が「京都の天皇のお家に似せて」(本来は「御所の位置付けで」が正解かと)、「小林という所の山の上」(正しくは小林郷北山という地名)と、いずれも惜しい感じではあります。

「在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」のPDFを開いて、being ChatGPT4を利用

やさしい日本語で、ローコンテクストな文化へ

外国人労働者の増加・グローバル化の文脈に戻すと、日本語は、同じ意味でも、その表現や言い回しが豊富で、特にビジネスの場面では難しい表現が好まれる(印鑑を押す→捺印する、持っていく→持参する)ことから、それを「やさしい日本語」で分かりやすく伝えることが求められます。

さらに視点を広げると、日本は、自他ともに認めるハイコンテクストな文化が根付いているため、日本人同士であれば、細かなやりとり無く、少ない会話で、高い共有レベルが実現できる利点も有りますが、

ハイコンテクストとは
良いコミュニケーションとは繊細で、含みがあり、多層的なものである。メッセージは行間で伝え、行間で受け取る。ほのめかして伝えられることが多く、はっきりと口にすることは少ない

異文化理解力(エリン・メイヤー・英治出版)

個人的には、ビジネスの場面で、多くの問題の根本にあるのは、関係者間の認識の相違であることが多いので、

ビジネスでは、ローコンテクストな、シンプルで明確、メッセージが額面通りに伝え・受け取る文化へ変革が求められることから、「やさしい日本語」がその一助になっていくことが期待できます。

・複数の意味を持つ表現は使わない
 ✖️ 結構です(良いです、要りません、の2つの意がある)

・抽象的な言葉は使わない
 ✖️ 手続きは、休日はなるべく避けてください。
 ◯ 平日に手続きをしてください。

在留支援のための やさしい日本語ガイドライン抜粋

まとめ

ChatGPTによる「やさしい日本語」の生成は、外国人労働者の受け入れ態勢の整備やインバウンドのさらなる拡大に向けて、大きく寄与していくことに疑う余地はありません。(翻訳のアプローチも有りつつ、日本語でのコミュニケーションは大切にしていきたいですね)
また、ローコンテクストな文化の醸成に向けて、ハイコンテクストな表現は、主語や目的語等、大切な品詞が行間に落ちることが少なく無いため、ChatGPTによる文章の校正についても、活躍が期待できます。

ただ、今回のように、ChatGPT単体では、効果を発揮しきれないケースも有るため、もうひと工夫をどう作れるかは、人間の知恵の見せ所なのかもしれません。(今回は、在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」を用いて、ChatGPTに「やさしい日本語」の拠り所を与えることで、効果を発現させることが出来ました)

Appendix

Microsoft Beingで、画像生成のDALL-E3が利用可能となったため、さっそく、今回の記事を画像で作成してみました。(タイトルの画像になります)
日本感を感じれるかは、悩ましいですが、雰囲気は合っており、すごい世界観の到来を感じます。

CopilotでのDALL-E3の利用方法

また、このようなイラストも生成されました。(いずれも日本語の再現が難しそうです)

DALL-E3により生成されたイラスト

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