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「世界は救えないけど豚の角煮は作れる」

読んだ。なんだか書き出さなきゃ気が済まないので書いた。

大学の頃遊んでくれていた先輩が本を出版するなんて思わなかった。
正直スゴすぎて12月下旬に逆流性食道炎になってしまった。

木曜日に届いたものの仕事が爆裂に忙しく、土曜日にようやくゆっくり手に取ることができた。
在宅勤務がデフォルトになり気が滅入っていた部分もあり、「本読むときくらい外に出よっかな」と、喫茶店へ向かう車を運転しながら、時代に逆走しているような気分だった。

本はにゃんたこさんの経験や考えが詰まったエッセイだった。
コンプレックスのこと、小さい頃の経験、日常のふとしたことなど、かなり赤裸々に書かれている。学生時代の日記なんか傑作だった。
なんだか自分が覗き見している気分になり、謎の申し訳無さが込み上げつつも読み進めた。
大学時代、めちゃくちゃ失礼だけど何考えてるか分からない部分もあったから今になってスッキリした。幸せについて小さな頃から考えられていた人なんだなって。
読み進めながら、自分の幸せについてふと振り返ってしまった。

自分は”見られ方”に敏感だったと思う。
誰からだったか、中学生の頃「なんで顔の半分だけそんなホクロがあるの?」と聞かれたのが小さな始まりだった。
「そんなの世界の誰よりも自分の顔を見ている俺が気にしていないのに、他人がなんでそんなこと聞くの?」と訳が分からなくて怒り狂いそうになったのを覚えている。
前髪の分け目なんて気にしていなかったのに、「そうか、ホクロって目立つんだなあ」と、ホクロが多い方の前髪を長く伸ばし始めたり、イケてそうだからという理由で特定のグループと人付き合いをしていたり、あまり自分の意志がなく、人からどう見られるかで物事を決めることが多かった。

高校生の頃は旧帝や地方国立を狙えるほど学力は高くないのに、少しでも良い顔がしたいから、周りに少しでもアドを取りたいからなんて理由で、名が通った大学の法学部なら体裁がいいだろうくらいの感覚で大学を決めて受験勉強をしていた。
そんなものだから、大学1年生の頃は法律の授業が本当に苦痛で、自分がやりたくもないことを選んでしまった後悔と、親に通わせて貰っているのに身が入らない申し訳無さ、それでもやらなきゃという義務感で気が滅入っていた。
FacebookやTwitterを見ていると同級生が皆楽しそうなサークルに入っていたから、自分も何か楽しそうなことやんなきゃな~とテニスサークルに入ったりもした。

そんなときにこの人と出会った。
「金髪なのに童貞だから」という謎の理由で参加を許可されたサークルの先輩だったが、来たくない飲み会にはホント全く来ないし、同じ学部なのに自分が大学3年になるまで学部棟で見たことがなかったし、謎ばかりな人だった。

浴びるように酒を飲む人なのに、酒を全く飲まない自分と遊ぶことが多くなった。CoD一緒にやってボコられてギャハギャハ言ったり、カラオケ行きまくって音楽の趣味が合うなあ~くらいの、一緒にいて何もこちらが気を負わなくていい(失礼かもだけど)フィーリングがキッカケだったと思う。

その頃の自分は「あ~これやんなきゃな~」なんてとにかく全く気にせず遊んでいた。
深夜に突然牛丼食べようとか、ミスチルばっかかかってる定食屋があるから行こうとか、ガンダム打ちたいからパチンコ行こうとか、マクロスの曲歌いたいからカラオケ行こうとか、パチンコでめちゃ勝ったから焼肉行こうとか、連絡がつかなけりゃ18時間寝てたとか、ほんとそのくらいのことだった。
そんなこんな好き放題していたら、授業も興味のある分野だけ出席するようになってしまったし、同期と良好な関係とは言えなかったテニサーも行かなくなったし、その時期に学部で関係が薄かった人とは全く関係が無くなってしまった。
大学の同期や地元の同級生にも体裁を気にしなくなっていた。

スゲェ楽だった。人生であれより楽しい時期はなかったと思う。
端から見たら「何やってんだ!!」って状況だったのだろうけど、気にしていた"他人からの見られ方"が勝手に羽を生やしてどこかへ飛んでいってしまった。

結局その時期単位が取れていないのが尾を引いて留年してしまったけど、
自分は他人の見られ方を気にして背伸びして生きても、無理やり作った理想の自分に届くほど努力はできないし、義務感を勝手に背負うくせに、その義務感に耐えられない人間なのだと気付けただけで、後々には価値のある期間だったと捉えていた。
就活ではどこに行っても留年の理由を聞かれたが、ピシッとしたスーツを着て、めちゃくちゃダラケたけど上記のように価値のある期間だったと答えていた。
だからこそ、年収や世間的なステータスを求めて毎日ハードに仕事が出来る人や、「ナメられたらおえんけぇ」と高級車を買ってしまうヤンキーはスゴイと思う。

結局、皆が知る大企業ではないが、興味のあった分野の企業でそれなりの仕事を任せてもらっているし、お金も頂いている。
幸せは直接作ることはできないけど、なんてないことが人に影響を及ぼせることを学生時代に学んだ。

今、
高速道路を3時間ぶっ通しで運転して、パーキングに寄って飲み干したカルピスソーダがうんめえな~って感じたり、
たまたまSpotifyで流れてきた曲がとてもカッコよかったり、
Tinderで2週間会話していた人が実は女装した男だったけど「いいネタできたな~」って感じられている自分がいるのは、
やる気も夢もなかった、義務感を勝手に背負った大学生の世界が救えて、豚の角煮も作れるあなたがいたからです。


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