北緯25度線(小説ブログ)

Note で北緯25度線 という 小説を書いています。 長編小説をお楽しみいただけたら…

北緯25度線(小説ブログ)

Note で北緯25度線 という 小説を書いています。 長編小説をお楽しみいただけたら、嬉しいです。 フィクションの様な実話で、実話のようなフィクションです。 英語でのブログはこちらをご覧ください。 http://presentmoment2012.com/

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第8話 運命を変えた雫

早朝のドーハ空港は混雑していた。 多くのフライトが深夜と早朝に集中する為、自然とその時間帯は空港が混雑する。 コウジは、人をかき分けてチェックインカウンターに向かった。 ドーハ空港は、機体にボーディングブリッジがかからない為、ターミナルからバスで機体まで向かう。 その為、搭乗ゲート締切も出発時間から逆算して少し早い。 コウジは、遅れまいと早めに空港に向かっていた為、 大きなトラブルになることもなくロンドン行きの機体に搭乗した。 これから向かうロンドンは、コウジの友人が暮

    • 第25話(第一章 最終話) 語り継がれる日々

      12月18日 ヤンゴン 水木:コウジ、お前業務の引き継ぎが全然できてなかったじゃないか! こんな引き継ぎするんなら、もう次から休みの許可出さんぞ! コウジは2時間前にヤンゴンに戻り、そのままオフィスに向かうと開口一番 水木の雷が落ちた。 しかし、コウジにとってそれは圧倒的な悲しみ、辛さを紛らわすのに最適だった。 コウジはミャンマーに戻った時、決めていたことがあった。 それは、決して辛い、悲しい顔を出さないということだ。 結果を聞いてきた人には、笑って誤魔化してやろう

      • 第24話 デタラメと呼ばれた夢

        12月17日 ドーハ 結果はNoだった 翌日、コウジは、エリーと一緒に海沿いのカフェで食事をして、最後まで説得をしたが、コウジの想いは届いたのだろうが、実ることはなかった。 エリー:コウジの気持ちは十分わかったけど、私にとってコウジは良い友達でいてほしい。 コウジ:僕がドーハに来れたのなら、エリーは考え直してくれるか? エリーは少し考えながら言った。 エリー:・・・それはどうかしら。コウジは、ドーハにくると決まったわけではないでしょ? コウジ:そう。だけど今カタール

        • 第23話 荒野に咲き誇る花

          「コウジ!」 昼過ぎに、待ち合わせ場所にいくと、日差しよけのサングラスをしたエリーが手をふってくれた。 エリーは、テンションが高かった。 二人で歩き始めたときに、コウジの目線の先にきて、白い歯をみせながら、ニコニコとまた手を振ってきた。 「コウジついに来たのね! 私だよ、覚えてる?」 冗談まじりにそうでも言ってきそうな表情だった。 ヤンゴンで会った時と比べて、明るさは歴然だった。 この日は午後から、エリーと一緒に砂漠ツアーに参加した。 人生で初めて砂漠という

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        第8話 運命を変えた雫

          第22話 冷静と情熱のあいだ

          12月15日 ヤンゴンを16:30のミャンマー航空331便で出発し、 バンコクで19:55発のドーハ行き カタール航空829便に乗り換えた。 コウジは、このドーハ行きの便に乗る前に、自分自身にこう言い聞かせたのだった。 「たとえダメだったとしても、僕はドーハに来たことを後悔しない  もし、ドーハに行かなかったら、それこそ一生、後悔するはずだ」 コウジを乗せたカタール航空 829便は、定刻通りドーハに向けて出発した。 12月15日 23時 カタール・ドーハ 定刻よりも

          第22話 冷静と情熱のあいだ

          第21話 出発前夜の夢

          12月14日 コウジは28歳の誕生日を迎えた。 トレーダーホテルのバーでツカサ、リョータ、マサル、タケルらと一緒に飲んで祝っていた。 リョータ:コウジ、誕生日おめでとう! そしてドーハの奇跡を信じて乾杯!! 一気にテキーラのショットを飲み干した。 ほろ酔い気分ではあったが、 コウジは目前に迫っていたエリーとの再会が楽しみと、不安の両方が入り混じっていた。 マサル:コウジ、今の気分はどうだ? いよいよだけど コウジ:そうだなぁ、なんとか付き合いたいなぁ タケル:そうだ

          第21話 出発前夜の夢

          第20話 チッタゴン

          コウジは日曜の午後も、特に用事がなかったらトレーダーホテルのバーにいた。 家にはwifiが通っておらず、高速インターネットが使えるトレーダーホテルが、コウジにとって行きつけのネットカフェのようなものだった。 コウジがパソコンをカチャカチャいじっていると、一人の白人が話しかけて来た。 コウジ:あれ・・・君は?・・・ 白人(マックス):やあ、コウジ! 君とは前に会ったよね! 覚えているかい? マックスはドイツ人で、かれこれ2回ほど会ったことがある。 1回目は、アメリカ人の友

          第19話 寛大な支店長

          コウジはオフィスの業務後に、水木のデスクに向かった。 コウジ:あの、支店長 お話が・・・ 水木:おう、どうした? コウジ:12月15日なんですが、どうしても休みが欲しくて。 水木:・・・どれぐらい? コウジ:12月15日の午後から、12月18日の朝までです。 12月18日の朝にはオフィスに通常通り出社します。 水木は、考えこんで大きく深呼吸をした。 水木:あのさぁ、深くは聞かないけど、どうしても行かなきゃいけないの? 普通なら休みの許可をだすけど、移転というバタバタ

          第19話 寛大な支店長

          第18話 オフィス移転

          11月中旬、支店長の水木が大慌てでオフィスに戻って来た。 ポーカーフェイスの水木だが、この時ばかりは怒ったような雰囲気だった。 水木:コウジさんやぁ、ここのオフィス出て行けってこの土地のオーナーが。もうあったまきた。 みんなに言ってもいいぞ。 そういって水木は奥の部屋に入って行った。 珍しく怒る水木の姿に、コウジは驚いた。 コウジは水木と一緒に交渉に入ったミャンマー人スタッフから事情を聞いた。 水木やコウジらの働くオフィスは、土地の賃貸料をめぐって対立していた。 土地

          第17話 厨二の会話

          エリーをホテルに送り届けたあと、 コウジがトレーダーホテルのバーに入ると、同世代の駐在員らが集まっていた。 「おお、今日のヒーローの登場だ!」 みんなサッカーをする仲間で、コウジがエリーに惚れているのも知っていた。 駐在員A(以下タケル):コウジ、どうだった? ゴール決めたか? 駐在員B(以下マサル):昨日、今日のスコアはどうだった? 圧勝じゃなかったか? コウジ:いや、ちょっと時間をくれって言われたよ。 駐在員C(以下リョータ):はぁ? まじかよー・・・(舌打ちをして

          第16話 夢の続きは12月

          翌日、コウジは仕事を終えてからエリーを迎えにホテルに向かった。 エリーは、日中 一人でヤンゴン市内を走る環状線に乗ったそうだった。 エリー:今日はね、電車に乗ってみたの。 コウジ:電車ってあのめっちゃくちゃ遅い電車? エリー:そうそう(笑) 車の方が速くておかしかったけど、楽しかったわよ。電車に乗っているときに、子供とか、おばあちゃんが声かけてきたけど(笑) エリーは電車の中から撮った写真をいくつも見せてくれた。 ヤンゴン市内を走る電車(環状線)はレール自体がもろいた

          第16話 夢の続きは12月

          第15話 再会の街

          2014年 11月10日 コウジは少し早めに仕事を終えて、エリーの滞在するホテルに向かった。 ホテル手前で車を降りて足早にホテルロビーに向かうが、外からうっすらエリーの姿が見えた。 エリーもコウジに気づき、外に出て来た。 LINEでは何度もやりとりしていたが、会って話すのは1月以来だった。 コウジもエリーもお互いどこか挨拶にぎこちがなかった。 コウジ:久しぶり、エリー エリー:コウジ、久しぶりね。 これ、あなたとあなたのお母さんにどうぞ。 エリーは会ってすぐに、手提げ

          第14話 11月の再会へ

          2014年 9月 エリーから連絡が入った。 「コウジ、11月に ヤンゴンのフライト入ったから会おうね」 コウジにとっては待ち侘びていた再会の連絡だった。 コウジは4月にもドーハを訪れているが、その時、エリーは不在だった為会うことができなかったのだ。 エリーからの連絡をもらってから、会えるのは2ヶ月後だったが コウジは嬉しさのあまり、早速 ツカサに話をしたのだった。 コウジ:ツカサ、聞いてくれ。 エリーが来月ヤンゴンに来るってさ! ツカサ:おぉ、それはよかったじゃないか

          第13話 絶望のビザ更新

          2014年 8月 普段通りに業務をしていると、支店長の水木がひょいとバックオフィスから顔だけ出してコウジに聞いた。 水木:コウジさん、来週だか時間ある? 本社の人がテレビ会議で話したいって。 コウジ:はい、大丈夫ですが、私何かやらかしましたっけ?・・・ 少し不安がるコウジに水木は笑いながら言った。 「そうかもね(笑) それか、赴任して2年経つだろうから、その状況ヒアリングじゃないかなぁ」 コウジは、水木から言われて はっと気づいた。 「そうか、もう2年経つのか・・・

          第13話 絶望のビザ更新

          第12話 伝説の洞窟(後編)

          コウジは、洞窟へ向かう為 仕事を終えて空港に向かったが、 空港につくとフライトディレーの案内表示があった。 「これでチャウセー到着は真っ暗か・・・先が思いやられる」 遅れること1時間後、小型の国内線はマンダレー空港へ到着 タクシー乗り場があり、チャウセーと伝えた。USD30ほどだ。 タクシーで走ること1時間。チャウセーに到着。 小さな町で、日本の田舎町とさして変わらぬ小規模な町だ。 小規模であったが銀行があった。 さらにパナソニックの看板もあることに、少し嬉しかった。

          第12話 伝説の洞窟(後編)

          第11話 伝説の洞窟(前編)

          オフィスにて 2014年 夏の暑い時期だった。 ヤンゴン支店にやってきた駐在員の男性が言った。 「国内旅行って扱ってますか?・・・  私ここにきて半年ですが、そろそろ国内のどっか出かけようと思って・・・  弊社ヤンゴン以外にオフィスないので、国内出張とかもないんですよ」 コウジは、これまで行った場所や、最近問い合わせを受ける場所などを話し、その場での対応は終わった。 対応終了後にコウジは、 「・・・土日つかってどっか行こうかな」と思いたった。 コウジは、ヤンゴン以外

          第11話 伝説の洞窟(前編)