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漁撈:東彼杵の鰻塚漁

2022.09.21-22
長崎県の東彼杵地域(大村湾の東岸)ではユニークな方法で鰻を捕まえる漁が行なわれている。
川を遡上する鰻が石と石の間に潜り込む習性を生かして、川の中に石を積んだ塚を作り、その中に入り込んだ鰻を捕まえるのだ。
興味があって見に行ってきた。

彼杵川の鰻塚漁

長崎県東彼杵町

国道205号・彼杵大橋の上流側。川幅がだいぶん狭まっている。勾配が変化しているのか、ちょうど流れが起きている場所だ。
1つ1つの塚は直径50cm程だ。
水の中に沈んでいるものもあり、ここはあまりメンテナンスされていない印象だった。

橋の下にもいくつか築かれている。流れがあるように見えるが、翌日郡川でお会いした人の話では流れがある場所の方が良いらしい。
流れがあっても崩れないようにするためか、塚の大きさが上流部のものより一回り大きいように見える。

下流の下川橋の方に移動してみる。写真左上が上流側になる。
今は町道になっているが、橋の袂には「長崎街道」の案内看板が立っていて、旧街道の橋だ。
空中写真ではあまり写っていないが、上流の彼杵大橋の箇所と同じぐらいの数はありそうだ。また上流のものと比べて塚の形が整っていて、メンテナンスされているのがわかる。

石を積んで塚を築いている人もいた。

千綿川の鰻塚漁

長崎県東彼杵町

ここは割と小規模だった。

郡川の鰻塚漁

長崎県大村市

川幅も広く、今回見てきた中では鰻塚の数が一番多く盛んに漁が行なわれていた。写真でも川の中に入って鰻塚で作業をしている人が写っているが、何人か人も見かけた。

漁を終えて帰ろうとしていた人とすれ違ったので、声をかけてお話を聞いてみた。
収穫があったということで、捕まえた鰻を見せていただいたら70cmもある大きな鰻だった。今年一番の大物だそうだ。長さはこれ以上長くはならないが、「でかいやつ」は太ってくるそうだ。今日は「台風で(増水して、塚が水に)『埋もれていた』のでおらんかな思ったやけど、おった」と本当に嬉しそうに教えてくれた。

この方は最近始めたばかりで、最初の年はシーズンに30回も40回も見に来たらしい。いろんな人に習ったり、自分で工夫してみたり、試行錯誤しているとのこと。
場所は抽選で、お盆の頃にある。今年は流れのある場所(良い場所らしい)が取れたと言っていた。
作り方は「五右衛門風呂」のように(まわりに石を並べて)ベースを作っていく。漁の際は気付かれないように石をそっとはがしていく。その段階で逃げられることもある。ウナギバサミで挟んで捕まえる。素手で掴むこともある。鰻があばれて腕に巻き付くこともあるぞと、実演してくれた。捕まえようとして逃げられることもある。それもまた経験だそうだ。

漁をしていた人の話が聞けて、漁の雰囲気がよくわかった。なによりも実際に鰻が獲れていると見ているだけでも楽しいものだ。

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