持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方①

2022年10月22日 07:00

　都内ベッドタウンに立地するその理容店は、創業50年を超え、創業者のご子息が中心となって事業展開をしていますが、同店のような昔ながらの理容店は、安価なカット専門店の普及や、美容室の男性客取り込みなどの攻勢を受け、厳しい状況になっています。

　そこで同店は、客単価向上策として新メニューを導入することにし、それに必要な設備資金の一部を調達するべく、小規模事業者持続化補助金に申請したところ、採択となりました。

　今回の記事からは、同店が作成した計画書を事例として採り上げ、どのような記載をすれば採択の可能性が高い計画書になるのか、そのポイントを何回かに分けてご紹介していきます。

１．持続化補助金に採択された理容店の事例から学ぶ計画書の書き方【企業概要】編

　今回見ていく<経営計画>「１．企業概要」は、自己紹介の意味合いがありますが、同店はまず、以下の内容を記載しました。

　このように、どのような事業をどのような規模でどの程度実施しているのかを示すことで、読み手は同店の全体感を把握することが可能となり、その後の記載内容の理解が進みやすくなるでしょう。

　売れ行きを説明する表現として「たくさん売れている」と「年間400万円の売上である」では、後者の方が具体的なので、読み手の納得度は高くなることが期待できます。

　そこで同店は、メニューごとの売上構成比と年間売上高を一覧表にして盛り込みました。また、顧客を性別や年代で分類し、その構成比も一覧表にして盛り込みました。

　このように数値を用いて現状を説明することは、内容が具体的になるので、読み手はイメージが湧きやすくなり、結果として計画書の理解も進みやすくなることが期待できます。

　文章だけの説明は、よっぽど文章力が高くない限り、読み手の集中力を削ぎがちとなり、結果として内容の理解が進みにくくなるリスクがあります。そこで、図表を効果的に使用するべきですが、同店は店舗の内外装の写真を当欄に盛り込みました。

　このようにビジュアルに訴求することは、イメージが湧きやすく、リアリティも高まるでしょう。さらに店主やスタッフの写真も盛り込めば、よりリアリティが高まったと思われます。

　また、店舗ビジネスに大きな影響を与える要素に「立地」があります。そこで、店舗の立地が分かる地図などもを盛り込むことも有効と考えられます。

　今回の記事では、持続化補助金に採択された理容店を事例として採り上げ、採択を引き寄せる<経営計画>「１．企業概要」の書き方のポイントとして（１）店舗の概要を示す、（２）現状を数値で説明する、（３）ビジュアルに訴求する、を挙げました。次回は「２．顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。

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