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さまざまな表現がある「なだれ注意」警戒標識

雪国の山間部に行くと「なだれ注意」と呼ばれる警戒標識に遭遇することがある。この警戒標識は正式には定義されていないが、「(209の2)落石のおそれあり」(いわゆる「落石注意」) の雪バージョンである。落石注意に比べるとさまざまな種類があることで知られている。この記事ではそのさまざまな種類を見てみよう。


約20種類ある「なだれ注意」

警戒標識の形式をとる「なだれ注意」標識は、左右対称なものも含めて日本全国に約20種類存在する。

「なだれ注意」警戒標識
左上から右下にかけて
❶(215)その他の危険+文字、❷山+根雪+文字、❸山+根雪+文字(左右逆)
❹山+雪だるま、❺山+雪だるま(左右逆)、❻山+車+雪彗星
❼山+車+雪彗星(左右逆)、❽山+雪煙、❾山+雪煙(左右逆)

島根県八頭郡若桜町茗荷谷ダム付近 国道482号線旧道 (Googleストリートビュー)
新潟県十日町市東田尻程島スノーシェッド付近 国道353号線 (Googleストリートビュー)
新潟県十日町市室島乙宝町第一スノーシェッド付近 国道403号線 (Googleストリートビュー)
新潟県十日町市程島 国道353号線 (Googleストリートビュー)
新潟県中魚沼郡津南町大赤沢 国道405号線 (Googleストリートビュー)
新潟県十日町市孟地  国道253号線 (Googleストリートビュー) - 2019年頃までは存在、現在は撤去
❺新潟県十日町市 国道403号線沿い?(現存しているか不明)
新潟県三条市遅場 県道189号線 (Googleストリートビュー)
新潟県三条市笠堀 県道355号線 (Googleストリートビュー)
新潟県加茂市長谷 国道290号線 (Googleストリートビュー)
新潟県十日町市芋川 県道284号線 (Googleストリートビュー) - 2013年から2022年の間に柱が倒壊し横たわっている。
福島県福島市大笹生 (Googleストリートビュー)
❽❾岩手県宮古市和井内第1地割押角峠付近 国道340号線旧道 (Googleストリートビュー)

「なだれ注意」警戒標識
左上から右下にかけて
➓(209の2)落石注意+車+雪結晶、⓫(209の2)落石注意+車+雪結晶(左右逆)、⓬山+雪+車
⓭山+雪+車(左右逆)、⓮山+雪煙(青)、⓯山+雪煙(青)(左右逆)
⓰(209の2)落石注意の変形1、⓱(209の2)落石注意の変形2、⓲屋根からの落雪注意

新潟県魚沼市大湯温泉 国道352号線 (Googleストリートビュー)
新潟県小千谷市岩沢 県道413号 (Googleストリートビュー)
新潟県妙高市大鹿 県道97号線 (Googleストリートビュー) - 同じ標識が連続して2~3基連なっている
新潟県糸魚川市西飛山 県道246号線 (Googleストリートビュー)
新潟県糸魚川市西飛山 県道246号線 (Googleストリートビュー)
青森県上北郡七戸町下鳥谷部 (Googleストリートビュー)
青森県上北郡七戸町下鳥谷部 (Googleストリートビュー)
新潟県南魚沼市清水 国道291号線 (Googleストリートビュー) - 同じ標識が同じ地区のスノーシェッドの近くに2~3基ある
新潟県南魚沼市清水 国道291号線 (Googleストリートビュー)- 同じ標識が同じ地区のスノーシェッドの近くに2~3基ある
新潟県南魚沼市一村尾 県道58号線/県道59号線交差点付近 (Googleストリートビュー)
福島県南会津郡只見町叶津上白岩 国道289号線  (Googleストリートビュー)
福島県福島市大笹生 (Googleストリートビュー)
青森県十和田市奥瀬 奥入瀬渓流沿いの国道102号線 (冬季のみ「落石注意」から衣替え) (Googleストリートビュー)
福島県南会津郡只見町叶津白岩 国道289号線 (Googleストリートビュー)
福島県耶麻郡猪苗代町山神原 国道459号線 (Googleストリートビュー)
北海道宗谷郡猿払村知来別 国道238号線 (Googleストリートビュー)
北海道磯谷郡蘭越町新見 道道268号 (Googleストリートビュー)
北海道磯谷郡蘭越町湯里 道道58号 (Googleストリートビュー)
青森県上北郡七戸町道ノ上 (Googleストリートビュー)
青森県上北郡七戸町鳥谷部 (Googleストリートビュー) - 白抜きバージョン
青森県上北郡七戸町家ノ裏 (Googleストリートビュー) - 白抜きバージョン

「なだれ注意」標識は新潟県を中心に島根県、福島県、青森県、北海道などに存在する。拙作の信号機・交通標識マニアの名所マップも参考にしてほしい。

「標準形」は存在しない

(214の2) 動物が飛び出すおそれあり」や「(209の2)落石のおそれあり」とは異なり、「なだれ注意」は標識令や国土交通省では正式に定義されておらず、したがって標準形も存在しない。日本全国の道路管理者が自分の好きな図柄で設置をしている。特定の都道府県、市区町村のみで見られる図柄もあれば、中には複数の道路管理者で図柄が共有されているものもあるようだ。

また、「(215)その他の危険」と補助標識で表現しているもの、「(209の2)落石の恐れあり」と補助標識表現しているもの、標識ではなく四角い「看板」と図柄のデザイン四角い「看板」で文字のみのデザインで設置されているケースもある。

何に注意するのか?

「なだれ注意」の警戒標識は、「結局何に注意すればいいのか?」という疑問が起こる。これは「(209の2)落石の恐れあり」でも取り扱った話題であり「素早く通り過ぎればいいの?」と疑問に思っている読者もいるだろう。簡単にまとめると以下のようになる。

● 「落ちてくる雪」もしくは「道路に落ちている雪」の両方に注意するべき、というのが国土交通省の「落石注意」に関するガイドから示唆されること。
● 「落石注意」は209番台の警戒標識で「すべりやすい」「路面凹凸あり」のような路面状況を警戒する標識と同じ分類
● 確率的には「落ちてくる」瞬間よりも「道路に落ちている」状況の方が多いと思われる。

なだれは最大で時速200kmものスピードで迫ってくるとのことで、道路走行中になだれが突然山肌からやってくると事実上対処のやりようがないかもしれない。この瞬間に備えるというよりは、なだれが発生して路面に積もっているかもしれない状況に警戒すべきと解釈するのが確率的には自然である。

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