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高次脳機能障害を持つ人の就職や復職を支援する行政サービスとは?

先日、お世話になった病院関係者を公園でお見かけし、脳の病気の治療やリハビリでお世話になった方々のことを思い出しました。

そして、病院や自宅で過ごしたことは書いたけれど、受けた行政サービスについて書いていなかったことに思い至りました。

そんなわけで、今日は私が利用させて頂いた行政サービスについて書いてみようと思います。




 

リハビリテーション病院退院後は、週に一回、30分の注意障害のリハビリを受けていましたが、どのくらいの時間、人と話せるのか、集中できるのかが心配でした。

試しに興味のある分野の講演会に行ったところ、1~2時間で頭が疲れ、元の状態に戻るまで倍以上の時間かかりました。

このため、復職して3か月の時短勤務を経て、本当に8時間勤務ができるのか不安でした。


 
私がお世話になったリハビリテーション病院には、援助が必要な患者さんの相談を受け、介護施設、病院、学校、職場、職業訓練施設などと調整を図るソーシャルワーカー(社会福祉師)がいらっしゃったので、抱えている不安を相談しました。

すると、区の障害者就労支援施設への通所のあとに、都の就労プログラムを受けられるように調整してくださいました。


区の施設では、午前中は朝会、パソコンへの文字入力練習、エクセル練習のあとに、レシートの入力、名刺づくりなどの仕事をし、昼休みのあとは、みんなで部屋の掃除をして、午前中の仕事の続きを行いました。

週4日、決まった時間に通い、ゆっくりしたペースで短い時間でしたが、通所作業を通じて病気前の生活に近づくことができました。
 



リハビリ病院退院から約1年後、高次脳機能障害のための就労準備プログラムに通いました。
 
初めに高次脳機能障害のテストを受け、作業課題による訓練に入りました。

作業課題には、注文書通りに品物を取り出す作業、指示された雑誌の取り出し・棚への戻し作業、納品書の作成、郵便物の振り分け、パソコンの入力作業などがありました。

業務日誌にその日の体調、作業内容、工夫したことなどを書いて1日が終わりです。


区の施設より、脳にかかる負担は大きく、頭痛が出たり、集中力が途切れて投げやりになるとミスが出てきました。

そのような経験から、仕事をする上での弱い部分を知り、うまく仕事をするための工夫や、うまくいかないときの気持ちとの付き合い方等を学ぶことができました。

プログラムの後半には月1回程度、「私の高次脳機能障害」と題してほかの人に自分の状況を説明するワークのほか、こちらの施設から企業に就職した方の経験を聴く機会もありました。
 


そして、プログラムの最後の最後に最終検査、作業状況や業務日誌の記録などから、復職時に弱点となりそうな点、配慮すべき点などを施設の担当の方から家族や上司に報告していただきました。

その後、時短勤務を経て、現在に至ります。



復職するまでに時間はかかりましたが、段階的に負荷を上げて復職するようにしたことはよかったと思います。

なぜなら、実際に復職して、以下のことを思い、経験したからです。

・脳のスタミナは急激に増えていかないので、スタミナがない状態で復職していたら、脳がきつくて耐えられたかわからない。
・その結果、自分は役に立たないダメ人間、と自信をなくした可能性があったかもしれないけれども、うまくいかないときの自分の心との付き合い方を練習できた。
・訓練を通して、自分がどんなときに、どんな状況になるのか知ることができ、そのときはこうしよう!と心の準備や対応する手立てができた。

など。



このような行政サービスを利用することに初めは躊躇していましたが、ソーシャルワーカーさんの「利用できるサービスは利用して、あとから恩返しをすればいいのではないでしょうか。」といった言葉が私を後押しました。

実際に経験してみて「そうだな~」と思ったので、このような方法も一つの選択肢となることを紹介させていただきました。