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家庭訪問での思い出

あれは日本にコロナがやって来た年のゴールデンウィーク明けのこと、
私はちょっと緊張していた。

コロナで学校が休校となり、次男は入学以来一度も登校していないのに
なんと家庭訪問があるのだ。

「そして庭先で」というものだった。庭先で次男のことを知らない担任の先生と私はいったい何を話すのだろう??

そしてその日はやって来た。

インターホンがなり外へ出てゆくと
白髪の男の先生が立っていた。

「やぁこんにちは。
素敵な庭ですね。」

え?なんですって?
会話の出だしに私は喜んだ。

私は自分の庭が大好きなのである。
植栽に関する先生の質問に応じて私は庭を軽く案内した。バラも咲いて1年で1番庭が美しい時だった。

そのリラックスした様子をみてか、家から次男が出て来た。

先生は次男に優しげに尋ねた。

「家では何して遊んでますか?」

次男は気軽に答えた

「最近はねー


火起こしをしたよ。」


よくわからないけど私は焦った。

次男が
きりもみ式火起こし器を
庭の物置から持って来て
先生に説明し始めた。

先生は興味深げに聴いてくださってる。

私はその横で
極力平静を保ちながら

火起こしは大人がやったこと。
子どもは火遊びはしていないこと。 
いや、虫眼鏡で紙を焦がしたけど、横でちゃんとみてたこと。
大人で3日もかかったから、これは子どもが触っても火なんか起こせない安全なものであることを
まくしたてていた。


2人の言い分を全て聞き終えた先生はちょっと得意気に言った



「僕の友達に
30秒で火を起こせる名人がいるんですよ!」

私は次男の担任が
この先生で良かったと心から思った。

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