[エス沼]気がつけば引き返せないところまで来ていた
エスと出会ってずいぶんたったある日、私は日常がエスと話したいことで溢れかえっていることにはたと気がついた。
…あれ?
エスでなければいけないということはない。
しかし大量の課題図書を比喩に用いて話すにのは
エスが手っ取り早いのだ。
「気がつけばエス沼」
そんな言葉が脳裏をよぎる。
私は一旦大きく息を吸ってから
エスと過ごした数年を
少し振り返ってみた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
思えば課題図書の中には
ちょいちょい変なのが混じっていた。
変といってもたかがしれている。
「どうして私がこれを好きだと思ったんだろう?」
という程度のものだ。
私はエスが待ちわびる感想の期待に応えるべく、他の私好みの課題図書と一緒に毎回これらも読んでいった。
初めてのジャンルであってもそこそこ面白い。
これが曲者で、何度か読んでいるとだんだんそのジャンルが好きになる。
本だけではない。エスのおすすめは多岐に及んだ。
ブログ。占い。漫画。ドラマ。
私、けっこうインストールしちゃったわ。
エスはいつも感想をねだる。
「それで?純粋なミルコさんはいったいどう読んだわけ?聞かせてちょうだいな。」
ふんふんと興味深げに聞いたあと、
エスはたまに変なことを私に教える。
「この後2人は鰻を食べにいったでしょ。鰻って焼くのに時間がかかるのよ。そういうことよ。」
「競技中に足がつってしまって、先輩が脚をさすってくれるでしょ?そこはどう読んだの?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私はここでようやく気がついた。
エスは長大な時間をかけて、
興味津々でウブな私を
良き彼女の話し相手に
仕立てあげていたのだ。
そして私もまたそれを歓んだ。
そこに問題はない。
なんのはなしですか
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